楽天モバイルがiPhone 12の取り扱いを開始――3キャリアのiPhoneユーザー獲得に追い風石川温のスマホ業界新聞

» 2021年04月30日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 楽天モバイルは、4月30日よりiPhone 12シリーズ、iPhone SE、Airtagなどアップル製品を取り扱うことを発表した。国内キャリアによるiPhone取り扱いは2008年・ソフトバンク、2011年・KDDI、2013年・NTTドコモに続く4社目となる。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年4月24日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 楽天モバイルは2020年4月に本格的な商用サービスを開始。当時、2980円で使い放題のプランを提供。さらに1年間、無料のキャンペーンを仕掛けるなど料金の安さで勝負してきた。しかし、一般的なユーザーからすると「Androidスマホしか選べない」という点が、乗り換えの障壁となっていた。楽天モバイルとしては、Rakuten miniやRakuten BIGなどオリジナルのAndroidスマホを手がけていたが、iPhoneユーザーからすれば、どんなに料金プランが安くても、iPhoneが選べないとなると二の足を踏む。

 これまでの楽天モバイルもSIMフリーのiPhoneであれば、SIMカードだけを契約して使うことはできた。しかし、APNを自分で設定し、さらに一部に制約があるなど、使い勝手は必ずしも完璧では無かった。

 今回、iPhoneを正式に取り扱うことができるようになり、顧客獲得に拍車がかかることだろう。楽天モバイルはiPhoneを手にしたことで、ようやく3キャリアと戦う舞台に立てたのではないか。

 とりあえず「iPhone 12に買い換えよう」という人であれば、楽天モバイルを新規にeSIMで契約しつつ、3キャリアの契約を従量制プランで維持しておけば、データ通信料金は3ヶ月無料で、既存の契約も安価に維持しておくことが可能だ。一般のユーザーには敷居が高いが、とりあえずはiPhoneのeSIMを活用した2回線持ちというのがオススメと言えそうだ。

 楽天モバイルとしては、あとはネットワーク品質をいかに高めるかが課題だろう。

 都内ではauローミングが終わりつつあり、多摩地域では「圏外になった」という悲痛な声がSNSであふれている。まさに阿鼻叫喚といったところだ。

 さらにユーザーの声を注視してみると「レジで楽天Payを使おうと思ったら圏外で使えなかった」というクレームが結構多い。昔に比べて「音声通話が使えない」というよりも、決済の場面で使えずに困ることがあるようだ。となってくると、やはり屋内に浸透しやすいプラチナバンドの確保が急務と言えそうだ。

 楽天モバイルは4キャリアでiPhoneの本体価格が最安値だとアピールする。最安値に飛びついて楽天モバイルを契約し購入。しかし、ネットワーク品質に嫌気がさして、ahamoなどに移行するユーザーが増えてしまっては意味が無い。

 楽天モバイルとしてはiPhoneを獲得し、勢いづけるチャンスが到来しているだけに、最後の難関である「ネットワーク品質の向上」をいかに急ピッチでやり遂げるかが、勝負と言えそうだ。

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