なぜ10GBまで1GB刻みに? 「イオンモバイル」新料金プランの狙いを聞くMVNOに聞く(3/4 ページ)

» 2021年05月11日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

ahamoで乗り換えが止まるも、4月1日以降に山が戻ってきた

―― 一方で、ARPUは下がったのではないでしょうか。

井原氏 単価が下がったので、落ちましたね。全員一律で下がったので。一方で、容量は増えています。

―― 値下げ発表が比較的早かったですが、どういった経緯でこの金額が決まっていったのでしょうか。

井原氏 もともと接続料は下がると言われていました。将来原価方式で33万2000円(ドコモの21年度、10Mbpsあたり)という金額は出ていましたが、それ以上に下がるという話は出てきていました。音声の基本料も、総務省や構成員からは、確実に下がるという話が出ていました。イオンモバイルは、MVNEから回線を仕入れていますが、その辺も含めてご相談させていただき、何とか3月頭に発表することができました。

―― 50万のユーザーというお話がありましたが、料金プラン改定後、獲得は増えていますでしょうか。

井原氏 純増数は上がっています。特にECが伸びています。19年ぐらいにMVNOは少しシュリンクしていましたが、それ以前に戻ってきた手応えがあります。(料金プランの改定で)市場自体が活性化しているのもありますが、その中でも伸びています。

河野氏 4月1日以降は、乗り換えも多いですね。ahamoの発表以降、乗り換えが止まっていたため、3月はいつものような山はありませんでしたが、4月1日以降、一気に山が戻ってきました。乗り換えということで、長く使っていただけるお客さまの契約が増えているのだと思います。

―― それは、MVNOの料金改定を待っていたということでしょうか。

河野氏 そうだと思います。

井原氏 結果として全員が値下げになるので、いつ契約しても変わらないんですけどね(笑)。ただ、MNOが転出料を無料にした影響もあると思います。

申し込み手順を短縮したことでオンラインでの申し込みも増加

―― ECの伸びが大きいとのことですが、現状、どの程度の比率なのでしょうか。

井原氏 以前は8%程度でしたが、最近は30%程度がオンラインです。昨年(2020年)4月以降、コロナもあり、比率は一気に上がっていきました。申し込み手順が24工程もあり、煩雑過ぎたので、それを8工程に縮めたのが大きいと思います。

間野氏 エントリーパッケージを店舗で購入して、Webで申し込めるサービスを昨年9月にほぼ全店のイオンで開始しました。そこでも、ECの申し込みが増えています。

井原氏 PayPayモールにも11月に出店させていただきました。SIMでは一番売れています。

河野氏 一方で、店舗への来店は60代、70代の方が多いですね。ガラケーを使っていて、スマホに変えたいが不安という声を多く聞きます。1年半ぐらい前から、Googleアカウントの設定やLINEの引き継ぎを有償でやらせていただいていますが、こちらも非常に好評で、イオンに行ったらやってくれたという口コミが広がっています。今後、3Gのサービスがどんどん終了する中で、サポート体制が整っているのはイオンモバイルとして差別化ができるところです。

―― MVNO全体を見ても価格競争が激しく、イオンモバイルより安い会社もありますが、この動きをどう見ていますか。

河野氏 今までは業界最安級をうたってきました。今回も頑張って交渉はしてきましたが、既存ユーザーへの値下げを最優先にすると、なかなか難しい。ARPUが下がってしまうことを踏まえると、現状の価格が現時点での最大限の結果だと考えています。もちろん、今後も接続料は下がっていきますので、これで終わりではありませんし、1GB刻みというところを評価していただければ戦っていけると思います。

井原氏 それに加えて、今お話ししたように、われわれには211の店舗があります。店舗がある通信事業者という限定の仕方をすれば、業界最安です。故障修理対応はお店でやっていますし、コールセンターもフリーダイヤル、チャットもやっています。そこまで含めて見ていただければ、安いのではないでしょうか。

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