Eコマースの取扱高は国内3位にとどまっており、「まだまだダメ。何としても1位になる」と宮川氏。特に頭を悩ませているというのが「配送」で、「翌日に届く、数時間後に届くなど、もっと力を入れないといけないと考えている」とした。ソフトバンク、LINE、PayPay、Yahoo!のユーザーをグループが抱えるECサービスに送客することで、取扱高を拡大していく。
PayPayは2021年5月時点でユーザー数が3900万人を突破しており、2020年度の決済回数は前年比約2.5倍の20億回となる。加盟店数は2020年度時点で316万を超えた。今回初めて公表するという決済取扱高(GMV)は、2020年度で前年比2.6倍となる3.2兆円に上る。
ユーザー向けの各種キャンペーンや、店舗向けの決済手数料無料などによって赤字が続いているPayPayだが、収益化は「当然狙っている」と宮川氏。ただしその時期については「加盟店にチャージをする(決済手数料を課す)タイミングがどこかで来るが、(収益化は)まだ開示するタイミングにはない」と明言を避けた。「PayPayも将来的には独立していってほしいと思っている。自立していくためには収益が必要だが、(収益化は)遠くない世界で起こりうる」(宮川氏)
PayPayの決済手数料は2021年9月まで無料としている。手数料の無料化が撤廃された後、店舗側のPayPay離れが懸念されるが、榛葉淳副社長は「これだけのユーザーに支持をいただき、300万を超す拠点がある。手数料を頂戴することになっても、取引先から見たらビジネスが広がっていくので、メリットを訴求していく」との考えを示した。なお、ユーザーに対する投資は、2020年度は2019年度から減ったそうで、1ユーザーあたりのコスト効率は改善されているそうだ。
質疑応答でNTT持株会社の総務省への接待問題について見解を問われた宮川氏は「行政がゆがめられたかどうかの発言をすべきかもしれないが、第三者委員会での見解を聞いた上で、議論をさせていただく。(その前に)踏み込んだ会話をして宮川ショックと言われないようにしたい」と言葉を選んだ。
楽天モバイルとソフトバンク元社員を提訴した件で、損害賠償の金額を約1000億円とした理由については、基地局建設の前倒しの効果、新規契約者の獲得、契約者の解約率低下、(KDDIの)ローミングコスト削減などを加味したという。「一通り計算してその資料を裁判所に提出した。(計算式が)正しいかどうかは裁判所で議論することになる」(宮川氏)
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