このようなカメラを実現できたのは、シャープが「カメラのモジュールを作っている」(小林氏)からだという。「すり合わせで新しいことができる環境がある」(同)というのは、シャープの強みだ。一方で、よりデジタルカメラに近い本格的なカメラを搭載するにあたり、デジタルカメラを製造していないシャープだけでは解決できない課題もあった。そこで頼ったのが、老舗カメラメーカーのライカだ。
シャープは、ライカのパートナーシップを締結。AQUOS R6に搭載されるカメラは、センサーやレンズ、画質調整に至るまで、ライカと共同で開発したという。何十パターンものシミュレーションを繰り返したというレンズには、ライカのSummicronブランドを冠している。画作りについては、AQUOS R5Gまでのシャープ製スマートフォンとは別物と考えていいだろう。小林氏によると、ライカとのパートナーシップは長期的なものになるといい、AQUOS R6は、その第1弾という位置付けだ。
ライカといえば、Huaweiの名を思い浮かべる人が多いかもしれない。この2社のパートナーシップは2016年に発売されたデュアルカメラ搭載モデルの「P9」に始まり、米国の制裁により、GMS(Google Mobile Service)を搭載できなくなった現在に至るまで継続している。もっとも、同社は上記の制裁によって、半導体を新規で調達できず、2020年10月に発表された「Mate 40」シリーズ以降、ライカブランドを冠したフラグシップモデルを発売できていない。
一方で、グローバルを見ると、カメラメーカーや光学機器メーカーとのパートナーシップは、トレンドになりつつある。OPPOの派生企業にあたるOnePlusは、ハッセルブラッドとの協業で開発したカメラを搭載した「OnePlus 9」シリーズを発売。ソニーは「Xperia 1 II」以降、レンズをカール・ツァイスと共同で開発している他、中国メーカーのvivoも、同ブランドを冠したスマートフォン「X60」シリーズを投入した。制裁の影響でHuaweiが新規スマートフォンの開発に苦戦する中、ライカも新たなパートナーと手を組む必要性を感じていた可能性はありそうだ。
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