世界を変える5G
インタビュー
» 2021年04月07日 06時00分 公開

SIMフリーでも「みんなに5G」を シャープに聞く「AQUOS sense5G」開発の舞台裏SIMロックフリースマホメーカーに聞く(1/4 ページ)

歴代シリーズが大ヒットを飛ばしているAQUOS senseの最新モデル「AQUOS sense5G」が発売された。これまでのsenseシリーズの特徴であるコストパフォーマンスの高さを受け継ぎながら、文字通り5Gに対応したモデルだ。SIMロックフリースマホで5G対応機種が少ない中で、シャープが5Gスマホを出す狙いとは?

[石野純也,ITmedia]

 2020年3月にスタートした5Gだが、サービス開始から1年たち、端末のミドルレンジ化が進んでいる。そんな中、歴代シリーズが大ヒットを飛ばしているAQUOS senseの最新モデルが、2月に登場した。「AQUOS sense5G」がそれだ。同モデルは、大手キャリアに採用されているだけでなく、3月にはシャープ自身がSIMロックフリーモデルを発売。MVNO各社の採用も進んでいる。

AQUOS sense5G 3月にSIMロックフリーモデルも発売された、シャープの「AQUOS sense5G」

 AQUOS sense5Gは、これまでのsenseシリーズの特徴であるコストパフォーマンスの高さを受け継ぎながら、文字通り5Gに対応したモデルだ。ど真ん中のミドルレンジモデルだが、背面にトリプルカメラを搭載するなど、これまでのsenseシリーズの不満点を解消している。プロセッサにはSnapdragon 690 5Gをいち早く採用。パフォーマンスを見ても、Snapdragon 720を搭載したAQUOS sense4とそん色ない実力だ。

 一方で、SIMロックフリースマートフォンを見ると、5G対応モデルはまだまだ限定的。組み合わせて使う側のMVNOのネットワークも、5Gへの対応状況はまちまちだ。自社でネットワークを敷設するMNOほど5Gへのかじは切れていない。このタイミングでシャープがSIMロックフリーでAQUOS sense5Gを発売した理由はどこにあるのか。通信事業本部 パーソナル通信事業部長の小林繁氏と、通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 課長の清水寛幸氏に話を聞いた。

SIMフリーをやることで端末の完成度が上がる

AQUOS sense5G 通信事業本部 パーソナル通信事業部長の小林繁氏(写真提供:シャープ)

―― AQUOS sense5Gですが、SIMフリー版も発売されました。まだ5G対応のSIMフリーモデルは市場にもそこまで出回っていないと思います。特にミドルレンジモデルは少ないと思いますが、その狙いを教えてください。

清水氏 確かに(5Gに対応した)MVNOの数はそこまで多くはなく、一部の事業者がオプションとして始めている状況です。ですが、キャリア版と同じようにSIMフリー版を世の中に届けたいというのが本音です。AQUOS sense5Gで、みんなに5Gを届けたいという思いがあるからです。立ち上がりつつあるオープン市場での5Gの普及に貢献したいというところから、スタートしています。

小林氏 弊社は国内で特にSIMフリーに力を入れているメーカーの1社と自負していますし、直近では、SIMフリーの需要も上がってきています。(今までの)2倍ぐらいはいけるんじゃないだろうかというところです。実際、MM総研のSIMフリー端末のシェアでも、いいところまで来ていて、2位と3位(シャープ)はほとんど差がありません。

 SIMフリーとはいっても、必ずしもMVNOで使われるわけではありません。昨今の政策の考え方を反映してか、大手キャリアのSIMをSIMフリー端末に挿すという使い方も出てきています。ですから、実際にご利用いただいているし、ビジネスとしても需要が見込めるということです。5GだからSIMフリーをやる、やらないではなく、お客さまがいる限りやるというのがシャープの考え方です。

 とはいえ、SIMフリーだけで圧倒的にビジネスが大きくなるかというと、そんなことはありません。一方で、SIMフリーのお客さまは、とても端末にお詳しい方が多く、時には厳しい意見をいただく一方で、細部までよく見てくださいます。結果的に、自社の商品の完成度を上げるためにも、SIMフリーのお客さまに満足していただくことはとても重要です。これは回りまわって、大手キャリアに納入する端末の満足度を上げることにもつながります。

―― 確かに、povoやLINEMOでは端末を販売しませんし、楽天モバイルも端末をセットで買っても持ち込んでもいいというようなキャリアだと思います。

小林氏 おっしゃるように、SIMフリーを前提とした料金プランが出てきています。5Gが当たり前になれば、自分に合ったプランのSIMカードを挿して使う方も増えてきます。楽天モバイルは、まさにそういったところがあるキャリアですね。キャリア側も、以前はあまりSIMフリー端末を売るモチベーションが強くありませんでしたが、昨今の総務省の動きや、不正競争的な圧力に対する監視の観点もあり、トレンドが変わってきています。

どのSIMを挿しても接続性を担保する

AQUOS sense5G 通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部 課長の清水寛幸氏(写真提供:シャープ)

―― ただ、4キャリアで使えるとなると、周波数対応がなかなか難しいと思います。AQUOS sense5Gは、1.7GHz帯や3.5GHz帯などの4Gから転用した5Gにも対応するのでしょうか。

清水氏 対応は検討中です。

小林氏 5Gは黎明(れいめい)期なので、ネットワークの適合性には難しいところがあります。LTEもVoLTEの問題などがありましたが、各キャリアとお付き合いしていかないと、確実性に若干の不安が出てしまう。逆に弊社はそういう部分をバッチリ押さえているので、安心して選んでいただけると思います。(対応周波数については)前向きに検討中というところです。

―― AQUOS sense5Gは、n77、n78、n79の3つに対応していますが、端末によっては全対応していないケースもあります。SIMフリー端末で対応するのは、なかなか大変なのでしょうか。

清水氏 基板にアンテナを載せなければいけないのと同時に、今のサイズに収めなければなりません。(AQUOS sense5Gも)電池容量と持ちやすいサイズをうまくまとめるところは大変でした。

小林氏 Webサイトでバンド構成は明記しているので、SIMフリー版をお買い上げになる方は、よく見ていただければと思います。Appleがやっているような、幅広いバンドへの対応はコストに直結します。それが本当にお客さまに求められているのかどうか、ですね。(弊社は)日本のSIMフリーを考えて作っていて、どのSIMカードを挿しても、ある程度接続性が担保されるようにしています。AQUOS sense5Gでは5Gが加わり、そのハードルは確かに上がりました。

AQUOS sense5G AQUOS sense5Gは国内キャリアの幅広いバンドに対応しており、SIMロックフリーモデルはDSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)もサポートする
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