世界を変える5G

SIMフリーでも「みんなに5G」を シャープに聞く「AQUOS sense5G」開発の舞台裏:SIMロックフリースマホメーカーに聞く(3/4 ページ)

» 2021年04月07日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

“ちゃんと撮れるカメラ”を3つ載せる

―― 外観はほぼ同じで微差があるということですが、中身に違いはありますか。例えば、「テザリングオート」はAQUOS sense5Gだけの機能でしょうか。

AQUOS sense5G 現在はAQUOS sense5Gでのみ利用できる「テザリングオート」

清水氏 5Gの用途の1つとして提案する機能ですが、それ以前に、AQUOSシリーズの体験として届けていきたいという思いがありました。ただ、開発日程上、結果的にAQUOS sense4には搭載できなかったので、バージョンアップで提供していきたいと考えています。

小林氏 もともと企画したときには、一人暮らしの方が家の中で使うことを想定していました。最近は、テレビでもYouTubeが見られますし、弊社のヘルシオもネットワークにつながりますからね。個人的には逆で、家の外に出たときに自動でオンになるようにしています。出かけたときだけ、自動でタブレットなどがつながるので便利ですね。

清水氏 家でルーターとして使えるよう、AQUOS sense5Gからは、Wi-Fiの出力も上げています。

―― なるほど。その違いは大きいですね。次にカメラですが、AQUOS sense4、sense5Gから、ついにトリプルカメラになりました。このニーズは高かったのでしょうか。

清水氏 AQUOS sense4、sense5Gでは、“ちゃんと撮れるカメラ”を3つ載せることを大事にしました。ズームのニーズが意外とあったので、その理由です。ズームは、遠くのものを撮るときに使うのはもちろんですが、手元にあるものを大きく写したいときの画角調整にも使われます。例えば、料理を撮るときに影が映らないようにしたり、人の顔を撮るときにゆがまなかったりといったニーズがあることに気付きました。

AQUOS sense5G ミッドレンジスマホとしては珍しく、超広角カメラと望遠カメラの両方を搭載している

―― とはいえ、この価格帯の端末に載せるには、コスト的な問題をクリアしなければなりません。

清水氏 おっしゃる通りです。(他のメーカーがミドルレンジモデルに搭載している)深度測定用のカメラやマクロ用カメラの方が、お手頃なのは確かです。そこは迷うところではありましたが、踏ん張って何とかしました。

小林氏 会社の中でも「本当に3つもいるのか」という声があり、プレッシャーに耐えながら実現しています(笑)。AQUOS senseシリーズは、やはり商品企画が難しい。その部分に本当にお金をかけた方がいいのか、それとも削って安くした方がいいのかは、なかなか即答ができません。商品自体やブランドが育ってきたことは大きいですが、そういったバランス感覚は、会社にもついてきたと思います。

―― 確かに、今までの日本メーカーにはあまりなかった感覚かもしれません。

小林氏 事業を統括する立場で言うと、スタンダードラインの商品は、フラグシップモデルがあり、収益基盤が安定している中で出すという歴史が長く続いてきましたが、シャープは、AQUOS senseを出す前後ぐらいのタイミングで、AQUOS senseこそが主力モデルと位置付けています。ビジネスがAQUOS senseで決まっていると言っても過言ではない。ブランドが目指す方向性も分かってきたことで、社員一人一人のメンバーがバリューを意識するようになりました。お金をかけてバリューを積んだ方がいいのか、それとも安くした方がいいのかを議論できるようになったということです。

 その分、たくさん作れればさらにお得になり、お得になって多くの方に使っていただければ、お客さまの声も集まりやすくなります。「ちょうどいい」がコンセプトのAQUOS senseですが、本当にちょうどいい回転ができるようになりました。

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