グローバルでシェアを伸ばすOPPOだが、Reno Aシリーズのヒットやキャリア市場への参入などもあり、日本でも着実に存在感を高めている。2機種の発表会で披露された、SIMロックフリーAndroidスマートフォンのシェアは、3四半期連続で1位。集計方法が異なるMM総研の2020年度通期シェアでも、SIMロックフリースマートフォンでは3位につけている。iOSのAppleを“別枠”として除くと、Androidの中では「AQUOS sense」シリーズを擁するシャープに肉薄するシェアの高さだ。
SIMロックフリースマートフォン市場は、当初HuaweiとASUSがトップ争いを繰り広げていたが、前者は米国の制裁によって新モデルを出せない状況が続いている。ASUSも、ハイエンドモデルにラインアップを絞った結果、シェアを急速に落としていった。日本市場に特化した端末などのラインアップが評価されたことに加え、こうした市場の変化にうまく対応できたのも、OPPOが躍進した要因の1つといえる。ポストHuaweiのポジションに収まったというわけだ。
ただし、キャリアモデルを含めた全スマートフォンメーカーで集計した販売台数シェアでは、依然としてOPPOは「その他」に含まれている。先に挙げたMM総研のデータを見ても、Apple、シャープ、サムスン、FCNT、京セラ、ソニーの順に続くが、OPPOの名は見当たらない。想定的に、徐々にキャリアから端末を購入するユーザーの割合は減っているものの、総販売台数のシェアに影響を与える比率にはなっていないということだ。OPPOとしても、「キャリア市場で(買って)使っていただきたいのが本音」(河野氏)だという。
こうした観点で捉えると、今後の課題も見えてくる。1つが、キャリアモデルの比率を増やすこと。2020年にKDDIやソフトバンクでの取り扱いは始まったが、最大手のドコモには進出できていない。鶏が先か卵が先かの問題にはなるが、その過程でフラグシップモデルの国内仕様への対応も必要になってくるだろう。
一方で、ahamoやpovo、LINEMOの開始や、サブブランドが台頭した結果、日本でも徐々にSIMロックフリースマートフォンと大手キャリアを組み合わせて使うユーザーは増えている。キャリア市場を開拓しつつ、SIMフリー市場でさらにシェアを上げていく両にらみの戦い方が求められている。どちらかと言うとキャリアでの販売に向いたFind X3 Proと、オープンマーケットで幅広く売れそうなReno5 Aを同時に発表したのは、まさに今のOPPOが置かれた状況を象徴しているといえそうだ。
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