KDDI×menu提携の狙い au経済圏の拡大、ID連携によるシームレスなサービスを(1/2 ページ)

» 2021年06月03日 06時00分 公開
[房野麻子ITmedia]

 KDDIは、フードデリバリー事業を展開するmenu(メニュー)と資本業務提携。KDDIがmenuの発行する株式を取得し、持分法適用関連会社化した。出資額は50億円で、株式の20%を取得することになる。6月2日開催したオンラインで説明会で、両者が出資の狙いを語った。

au、menu KDDI パーソナル事業本部 サービス統括本部 副統括本部長の多田一国氏(左)とmenu 代表取締役の渡邉真氏(写真提供:KDDI)

フードデリバリーは「アフターコロナでも伸びる市場」

 KDDIの多田氏は、資本業務提携によってmenuがau経済圏とどう結び付くのかを説明した。

 KDDIは通信サービスで3000万超、auスマートパスで1500万超、au PAYで3200万超の会員を抱えている。これらの会員は、eコマースやauでんき、auの各種金融サービス、リアル店舗やネットでau PAYを利用することでau経済圏を形作っている。また、2020年5月から、auのポイントは1億超の会員基盤を持つPontaポイントに変更され、ポイントサービスの魅力も高まっている。

au、menu 3000万超の会員が、auの各種サービスや決済を利用している。Pontaポイントの採用でau経済圏が拡大した

 中でもauスマートパスは、有料のサブスクリプションとしては国内最大級の会員基盤で「他社にはない強み」と多田氏。au経済圏を利用してもらうため、会員向けに各種特典を提供している。例えば、Pontaポイントをau PAYマーケットなどで使える限定ポイントに交換すると、ポイントの価値が1.5倍になる。この「ポイント交換所」を利用した会員は「その後、au経済圏のサービスやPonta経済圏のサービスをau PAYで、高頻度かつ選択的に使うという循環サイクルに入ることが確認できている」(多田氏)。

au、menu 経済圏成長のサイクルを狙う

 とはいえ、au経済圏に入ってもらうためには魅力的なサービスが必要だ。これまではau PAYで大規模なポイント還元キャンペーンを展開して利用を増やしているが、当然「これは特殊なシチュエーション」(多田氏)。何をしたい、何を買おうという起点(KDDIは「ファーストワンマイル」と表現)が重要だと、KDDI側も認識している。

 そこで選んだのが飲食だ。なぜなら「コロナ禍を問わず、最も頻度の高い日常的なコト消費。市場規模も大きく、週1回以上外食する人も多い」(多田氏)からだという。

au、menu コト消費によるリアル接点の強化として、まず選んだのが「飲食」だ

 飲食業界はコロナ禍でダメージを受けた業界だが、フードデリバリーの需要は高まっている。海外ではコロナ禍以前からフードデリバリーの利用が盛んだったが、日本ではコロナ禍でその良さが再認識された。飲食店舗にとっては新たな収益機会になることから、参入意欲も高まっているという。「アフターコロナ、ニューノーマル時代でも伸びる市場」との認識で、「KDDIとしても貢献したい、フードデリバリーをもっと身近なものにしたいということでmenuと資本業務提携した」(多田氏)

au、menu menuを支援することで、フードデリバリーを身近にし、au経済圏の拡大を狙う

事業の比率は「ほぼデリバリー」

 menuはもともと、テークアウトサービスとして2019年4月にリリースされた。半年後、Uber Eatsをはじめとしたフードデリバリーの盛り上がりに応じる形で、この市場への参入を決めていたが、コロナ禍の影響で、2020年4月のデリバリーサービス開始当初から事業が急速に伸長。現在、menuアプリを介してデリバリーもテークアウトもオーダーできるが、事業の比率は「ほぼデリバリー」(menuの渡邉氏)だという。

au、menu menuのアプリでデリバリーもテークアウトも注文できる

 コロナ禍において、加盟店店舗数や登録配達員数、アプリダウンロード数は大きく伸びている。申込店舗数は2020年4月から6月に大きく伸びたが、「この1年でさらに2倍に増えた」(渡邉氏)。

au、menu 直近1年間でmenuの業績は急成長している

 サービス提供エリアの拡大にも努め、2021年6月現在、47都道府県でサービス展開しいている。加盟店舗数は6万件、「登録している配達員の数も業界上位との認識」と渡邉氏は胸を張る。

 2021年に入ってからは、プロモーションも積極的に展開し、購入回数の増加につながっている。特に4月、5月で注文数が急増しているのは、マンガ「ONE PIECE」のキャラクターが登場するCMの影響が大きいという。

au、menu ユーザーの購入回数も伸びている。3月〜5月が特に急激に伸びているのは「ONE PIECE」のCMの影響が大きいという。

 ONE PIECEとのコラボはCMだけでない。デリバリーの注文をすると挑戦できるガチャガチャで、ONE PIECEのキャラクターを使ったオリジナルのシールや缶バッジがもらえる取り組みを展開している。アプリに搭載されたガチャガチャは、menu特有の機能の1つ。menuの親会社であるレアゾン・ホールディングスはベンチャーながら複数の事業を展開しており、その1つにスマホゲーム事業がある。「(親会社の)ゲーム開発のナレッジを生かし、アプリとしての楽しさを追求していこうと考えている」(渡邉氏)

au、menu グッズのイラストは描き下ろし。デリバリーの楽しさや高揚感を演出している

 また、加盟店舗には予約の取れない有名店や、行列のできる人気店もそろえる。アプリ内の「至高の銘店」特集には、ミシュランで星を獲得している店舗や、menu独占の店舗もあるという。チェーン展開している企業も拡充している最中で、「KDDIとの連携によって促進していきたい」と渡邉氏は語った。

 さらに、注文の需給予測に基づいた配達報酬のダイナミックプライシングや、店舗検索のロジックを自社で開発するなど、データを活用したmenuの独自AIによる最適化も行っている。「この領域はロジックとともにデータ量が競争力に直結するので、今回の提携がさらなる競争力につながると期待している」(渡邉氏)

au、menu menuの独自性
au、menu 構築された配送網を他にも生かしていく。既に日用品領域におけるコンビニとの連携を実現している

 KDDIと協力することで、今後も事業拡大を加速していく。目標については明らかにしなかったが、「少なくとも、業界トップシェアの店舗数にはしていこうと考えている」(渡邉氏)と意気込んだ。

au、menu KDDIとの資本業務提携で事業規模を拡大していく
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