美品の“3つ星スマホ”のみを販売 中古スマホサービス「にこスマ」の戦略:伊藤忠のネットワークを活用して日本人好みのスマホを厳選(1/2 ページ)

» 2021年06月16日 15時30分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 2019年10月の改正電気通信事業法で携帯電話の割引が規制されるなどして、携帯電話の販売ランキングは買いやすいミドルレンジのスマートフォンが上位を占めるようになった。また、世界的に中古端末の注目度も上がっており、複数の調査会社が中古スマホ市場は今後も拡大を続けると予想している。

 日本では2020年に、中古通信端末市場の健全な発展と消費者保護を目的としてリユースモバイル・ジャパン(RMJ)が設立され、現在、20社以上の企業が会員として登録されている。RMJでは、安心・安全な機器の売買を行うための必要事項をガイドラインにまとめており、そのガイドラインに沿って運営している企業にお墨付きを与える「リユースモバイル事業者認証制度」を設けている。

 一方、RMJに参加せず、独自の基準を設けて中古スマホを提供している企業もある。中古端末販売サイト「にこスマ」を運営するBelong(ビロング)もその1社だ。今回はBelongの代表取締役社長 CEOである井上大輔氏にインタビュー。にこスマの成り立ちやサービス内容、こだわりについてうかがった。

にこスマ 中古iPhoneを中心に取り扱う「にこスマ」

中古スマホはアングラなイメージだった

 にこスマを運営するBelongは、2019年2月に設立されたばかりの若い会社だ。伊藤忠商事の100%グループ会社で、社長の井上氏と副社長でCOOの清水剛志氏は伊藤忠商事の社員でもある。

 ふたりとも長年モバイル業界に携わってきたが、2014年頃から、ほぼ同時期に伊藤忠商事の社員として米国に駐在。そのときに中古スマホ市場の盛り上がりを目にし、伊藤忠グループでも取り組むべき事業ではないかと話し合ったという。しかし、当時は「iPhone 5s」や「iPhone 6」が販売されていた時代。端末の進化が速く、中古市場に出てくるような2世代前のモデルは、OSアップデートに対応できないという機能面の問題があった。

 「中古スマホはまだアングラなイメージで、日本人が本当に中古スマホを買うのか確信できなかった。清水と一緒にパイロットサイトを作りましたが、日本にはまだちょっと早いと思っていました」(井上氏)

 それが、2016年に井上氏、2018年に清水氏が帰国する頃には、フリマアプリの「メルカリ」が定着し、日本人のリユースに対する心の障壁が低くなっていた。また、スマホの進化も落ち着き、OSバージョンアップもiPhoneであれば4、5年対応可能になった。さらに、総務省の働きかけによって通信と端末の分離が行われ、中古スマホが流通しやすくなった。中古でも十分使える環境が日本でも整ってきた。

 「よくガソリンとクルマの話に例えて説明しています。ガソリンは『ahamo』や『povo』といった形で業界構造がぐるっと変わっていますが、クルマは2、3年に1回、若者から年配まで10万円の端末に買い換える。誰もが新車のBMWに乗る不思議なマーケットになっているようなものです。みんながリユース品に流れないにしても、『私は新車の軽自動車でいい』とか『私は中古のBMWがいい』という人はにこスマで買ってもらうような、デバイスの世界に多様なバリエーションを持ち寄りたいという思いでやっています」(井上氏)

世界各国のチャネルを通じて端末を調達

 実際ににこスマが始まったのは2019年。最初は2人とも退職して会社を立ち上げようと考えていたが、当時の上司たちの理解を得て社内ベンチャーという形になった。1年後の2020年8月に正式に伊藤忠からプレスリリースが出ている。

 伊藤忠商事の100%グループ会社という立場は、端末調達に大きく貢献している。

 「世界各国に、携帯電話に精通した駐在員がいます。大きいところでは、米国や香港を中心としたアジア、最近は欧州やドバイを中心とした中東など、世界中にあるチャネルを利用して、日本の法令や基準に適した端末を調達し、それらを直接、最終消費者にWebサイトを通じて売っているのが大きな特徴です」(井上氏)

 アングラなプレイヤーも多いとされる中古市場で、日本の法令や基準に適した端末を調達するのは容易なことではない。いかに信頼できるパートナーと組めるかが重要と井上氏は語る。

 「生身の伊藤忠の人間が各国にいて、日々、調査して生の情報を得ています。初めて取引する場合は訪問して、実際のものを見るまで仕入れない。そういった商社の機能が非常に重要です。海外でも国内でも、ちゃんと信頼関係ができれば、日本のお客さまが望むクオリティーの端末はもちろんあります。ただ、信頼関係は一朝一夕にできるものではありません」(井上氏)

 にこスマの品質基準はパートナーにも理解されるようになり、仕入れは安定しているというが、技適のない端末が届いたこともあり、最初は大変だったと井上氏は振り返った。

 日本では「Belong買い取り」という名称で、一般ユーザーからの買い取りサービスも展開している。2020年4月にはインターネットイニシアティブのIIJmioモバイルサービスと連携。IIJmioユーザーは、IIJmioのサイトに貼られたリンクからBelong買い取りのページにアクセスできる。

にこスマ IIJmioの端末紹介ページなどにあるバナーからアクセスできるBelong買い取りのページ。QRコードを買い取りしてもらいたい端末で読み取り、SafariやChromeでアクセスすると、自動で検査が行われ、買い取り価格の見積もりができる。eKYCでの本人確認にも対応し、国内の買い取りにも注力している
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月05日 更新
  1. ドコモがほぼ全ての料金プランを値上げ それよりも端末の値上げが気になるこの頃 (2026年10月03日)
  2. KDDIのローミング終了で楽天モバイルはどう変わる? 心もとない700MHz帯、独り立ちのカギは5Gにあり (2026年10月03日)
  3. 高市首相がAppleに要請――「自殺防止機能の搭載を」 生成AIへの相談増加を受け (2026年10月03日)
  4. ドコモがRCSで同意未取得の不備 約1万6000件に影響、対象ユーザーは利用停止に (2026年10月04日)
  5. ahamoがついに料金プランを改定。段階制へ――「40GB」が業界の新たなスタンダードになるのか (2026年10月04日)
  6. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  7. あなたの街の「スマホ決済」キャンペーンまとめ【2026年10月版】〜PayPay、d払い、au PAY、楽天ペイ (2026年10月03日)
  8. 「Androidのマイナンバーカード」は10月20日スタート予定 今の「スマホ用電子証明書」と何が違う? (2026年10月02日)
  9. WAON POINTやAEON Payのキャンペーンまとめ【10月4日最新版】 ポイント10〜20倍の獲得チャンス多数 (2026年10月04日)
  10. 免許証画像が漏れると何が“ヤバい”のか タイムズカーで最大約660万件の個人情報漏えいで考えられる「3つのリスク」 (2026年09月29日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー