―― FeliCaの搭載を積極的に進めていますが、一方で利用率は全体の2割ほどというデータもあります。FeliCaの必要性はどう認識されているのでしょうか。
ワン氏 Xiaomiは、2021年に入ってから、多種多様なデバイスを投入してきました。FeliCaがあって防水がないものや、FeliCaと防水の両方があるもの、両方がないものなどさまざまです。われわれはデータを取り、日本で最も求められる製品はどのようなものなのかを理解しようとしています。来年(2022年)になれば、さらに正確にマーケットに求められる製品を開発できると考えています。
その中でも、FeliCaはかなり重要な機能だと認識しています。確かにご指摘の通り、利用率はそれほど高くない。では、どうして重要なのかというと、付加してもボーナスポイントは稼げない一方で、搭載されていないとマイナスポイントになってしまうからです。別の言い方をすると、この機能が載っているからといって高い代金を払ってもらえるようなものではありませんが、載っていないと別の製品にユーザーが流れてしまう。そういう位置付けの機能です。
FeliCaがどうしても必要という人と、あればいいよねという人の比率がどれぐらいかは分かりませんが、製品(の売れ行き)に影響を与える要素だと考えています。
―― Snapdragon 480 5Gはエントリーモデル向けのチップセットですが、性能をどう評価しているのでしょうか。
ワン氏 一般論として、スマホ向けのチップセットは毎年劇的に改善されています。今ではエントリーレベルの端末も5Gに対応していて、かなりのスピードが出ます。エントリーレベルのユーザーは、必ずしも最高のスペックや最高の性能を求めているわけではありません。日常的に使う機能が、心地よく使えることが必要です。電話やチャットアプリ、ブラウジングなどを気持ちよく使いたいということです。
なぜSnapdragon 480 5Gなのかというと、まず、高速な5Gに対応できることが挙げられます。クアルコムが開発したということで、信頼性が高く、ユーザーの普段使いのニーズには十分対応できるという理由で選択しています。加えて言えば、Snapdragon 480 5Gはディスプレイの高速なリフレッシュレート(90Hz)や、高画素なカメラ(4800万画素)の処理にも十分対応できるチップセットです。
―― KDDIと協力して開発したというお話ですが、KDDI独占という理解でよろしいでしょうか。どういった形で協業したのか、何かエピソードがあれば教えてください。
ワン氏 まず、本製品はKDDIエクスクルーシブです。エピソードは、ハードウェアとソフトウェアに分けてお話しします。ハードウェアに関しては、日本専用モデルということもあり、XiaomiとKDDIで柔軟にスペックを選択しました。ある意味、両社が共同でプロジェクトマネジャー的な役割を担っています。KDDIからは、日本市場に関する知見をご提供いただきました。ローカルな知見に関しては、XiaomiよりKDDIの方が深いからです。Xiaomiからは、プロダクトに関する知見を提供しながら、製品を作り上げていきました。
プロセッサの選定や防水、FeliCaといったカスタイマイズは、KDDIからの知見に基づいています。これに対し、高速なリフレッシュレートや4800万画素のカメラ、大容量バッテリーはXiaomiが提供した機能です。18Wの急速充電も、Xiaomiの独自機能です。そういったものをお互いに持ちより、ハードウェアを作り上げていきました。
次にソフトウェアですが、今回は2回目のコレボレーションになるため、Mi 10 Lite 5Gで得られたフィードバックを元にいろいろな改善を施し、ユーザーインタフェースやユーザーエクスペリエンスの最適化を行いました。また、KDDIのエコシステムを深くインテグレーションすることにも取り組んでいます。その一例として、電源ボタンを2回クリックするとau PAYアプリが立ち上がるようになっています。
―― 先ほど、100億円の投資を行ったというお話がありましたが、そのコストはRemi Note 10 JEだけでペイするのでしょうか。それとも、日本市場に投入するモデル全体で回収していくのでしょうか。
ワン氏 ぜひこの製品で回収したいと考えています。そうでないと、この事業が赤字になってしまいますからね(笑)。いずれにしても研究開発費は大きくかかるものですが、このモデルは日本でのみ販売するものなので、日本市場で回収しなければなりません。ただ、製品の位置付けやKDDIの強力な販路を考えると、投資は十分有意義なものになると考えています。大きな利益を得られるわけではありませんが、赤字になることは避けたいと思いながら運営しています。
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