伊藤忠商事グループのBelongが9月2日、中古スマートフォン「にこスマ」初となるポップアップストアを、西武渋谷店の「CHOOSEBASE SHIBUYA(チューズベース シブヤ)」にオープン。「iPhone 8(64GB)」と「iPhone SE(第1世代、64GB)」を販売している。
CHOOSEBASE SHIBUYAは、オンラインとオフラインを融合させた「OMO(Online Merges with Offline)ストア」として、西武渋谷店パーキング館1階で展開。半年ごとにテーマを設定しており、そこに共感するブランドの製品を取りそろえている。現在は「サステナビリティ」というテーマと「タイムリミット」というキーワードを掲げており、「手に取った商品が作る未来が途切れたら――」というメッセージのもと、51ブランドが参画。製品はそごう・西武側でキュレーションをした上で展示している。
中古スマホ事業は、スマートフォンの寿命(タイムリミット)を延ばす取り組みともいえるが、にこスマが出店したのは、CHOOSEBASE SHIBUYAのコアターゲットであるミレニアル世代やZ世代といった若年層と、にこスマのユーザー層がマッチしたことも大きいという。
ただ、ポップアップストアといっても、各ブランドの製品が整然と並べられているだけで、専任のスタッフが常駐しているわけではない。各ブランドのロゴの展示もなく、価格すら記載されていない。展示内容は「シンプル」の一言に尽きる。
では、このような業態の店舗に出店する意義はどこにあるのか。にこスマはこれまでECサイトでのみ展開してきたが、Belongの大野正稔氏によると、「写真だけでは外観が分からないので実物を見たい」という声が寄せられていたという。ポップアップストアをふらっと訪れて、中古スマホの存在を知ってほしいという狙いもあるそうだ。
にこスマではSIMロックなし、ネットワーク利用制限なし、外観の状態が優れているもの、バッテリー残量80%以上をクリアした「三つ星スマホ」のみを扱っているが、外観の状態は実際のモノを見ないと分からない面もある。外観については傷の多さによってA、B、C、Jの4段階でグレードを設定しており、CHOOSEBASE SHIBUYAではA〜Cグレードのサンプル品を展示している。端末の電源を入れることはできないが、実際にiPhone 8/SEを手に取ってじっくりと外観を確認できる。
筆者も展示中のiPhone 8/SEを手に取ってみたが、Aグレードの製品は傷がなく、新品同然だと感じた。中古スマホというと、使い古されて、傷があって当たり前というイメージがありそうだが、実物を手に取ってもらうことで、そんなネガティブなイメージを覆すことも期待できる。
決済の方法もユニークだ。各製品のそばにはQRコードが設置されており、スマートフォンで読み取る。するとECサイトへ遷移するので、買い物かごに入れると決済用のQRコードが発行される。
レジでその画面を読み取ることで決済が完了する。“西武Pay”ともいえる仕組みで、リアル店舗、ECサイト、キャッシュレス決済をうまく活用している印象を受けた。他にクレジットカード、PayPay、LINE Payで決済することもできる。商品の在庫自体はCHOOSEBASE SHIBUYA側で持っており、決済が終了したら、隣のピックアップカウンターから商品が渡される。
製品の価格はにこスマのECサイトと変えておらず、iPhone 8(64GB)のAグレードは2万4000円(税込み、以下同)、iPhone SE(第1世代)のAグレードは1万4000円。「1万円台でiPhoneを買えるとなると、若い方にも響くのでは」と大野氏は期待を寄せる。
にこスマではiPhone X〜iPhone 11シリーズのモデルも扱っているが、ポップアップストアで8とSE(第1世代)のみを販売しているのは、特に人気の高いシリーズだからだという。ホームボタンを備えたiPhone人気は根強く、小型のSE(第1世代)は安さも手伝っていまだに支持されている。ポップアップストアでのラインアップ拡充も検討しているそうで、今後の展開にも期待したい。
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