リセールバリューの高いiPhoneがお得に “残価設定プログラム”で変わるスマホの買い方石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2021年09月18日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 9月24日に販売が始まるiPhone 13シリーズの予約開始に先立ち、大手キャリア各社が新たな販売方法を導入している。KDDIはこれまで提供してきた「かえトクプログラム」を改定し、「スマホトクするプログラム」に名称を変えつつ、au PAYカードと連動させた割引を用意する。一方で、ドコモは約2年半前に導入した「スマホおかえしプログラム」を全面的に刷新。KDDIと同じ残価設定型のプログラムの「いつでもカエドキプログラム」をiPhone 13から導入する。

 単なるアップグレードプログラムの変更には見えるが、残債の一部を免除するのと、キャリア側が設定した残価が免除されるのでは、大きな違いもある。ソフトバンクは従来型で残債の半額を免除する「トクするサポート+」を継続しているため例外になるが、ドコモやKDDIのユーザーは、今まで以上に端末の“リセールバリュー”を意識した買い方が求められるようになってくる。これによって、端末の売れ筋にも変化が起きそうだ。

残価設定型を導入したドコモ、1年での買い替えもしっかりフォロー

 ドコモは、iPhone 13シリーズの発売に合わせ、スマートフォンのアップグレードプログラムを大幅にリニューアルする。いつでもカエドキプログラムが、それだ。約2年半前にドコモが導入していたスマホおかえしプログラムは、端末代を36回で割賦にして、内12回分を端末の返却を条件に免除するというものだった。これに対し、いつでもカエドキプログラムは、ドコモ側が設定した24回目の「残価」を差し引いた形で23回分の割賦が組まれる。

いつでもカエドキプログラム ドコモは、iPhone 13の発売に合わせ、残価設定型プログラムのいつでもカエドキプログラムを導入する

 分かりやすいように、実例を出しながら解説していこう。ドコモのiPhone 13 128GBは、オンラインショップでの本体価格が11万1672円(税込み、以下同)に設定されている。スマホおかえしプログラムの場合、この11万1672円を36で割り、1カ月あたりの支払額を算出する。月あたりの端末代は3102円になり、24回支払った直後に端末を返却すれば、12回分に相当する3万7224円の支払いが免除される。ユーザーが支払う額は、7万4448円になるとういわけだ。

 これに対し、いつでもカエドキプログラムでは、iPhone 13 128GBの残価が5万5440円に設定されている。最初の23カ月分の割賦は、この残価を除いた額で組まれる。その金額は1カ月あたり2444円。1カ月目のみ、端数の20円が上乗せされる。単純な本体価格の割り算ではなく、下取り価格として適正な残価を設定した結果、月ごとの支払額や次の機種変更までの総額が下がっていることが分かるはずだ。この傾向は、iPhone 13シリーズ全体に当てはまる。

iPhone 13 ドコモが同日発表したiPhone 13の価格。128GBは11万1672円だが、残価が5万5440円に設定されているため、毎月の支払いは2444円で済む

 逆に言えば、スマホおかえしプログラムは2年後にわずか3万7224円で下取りされてしまうため、ユーザーにとって利用するメリットが薄かったといえる。市中の中古店に売却した方が、はるかに高い金額で下取りしてもらえるからだ。また、36回の割賦を前提にしていたことで、どうしても毎月の支払額が上がってしまっていた。いつでもカエドキプログラムは、こうした問題を解消した仕組みといえそうだ。

スマホおかえしプログラム スマホおかえしプログラムは、2019年の夏モデルに合わせて導入された。36回中12回の支払いが免除される一方で、下取り額が安くなっていた

 面白いのが、端末をより短い期間で買い替えるユーザーのことまで考慮されているところだ。23回目より前に端末を返却した場合、「早期利用特典」として端末ごとに設定された金額の割引を23回目の支払いまで受けることができる。上で挙げたiPhone 13 128GBの場合、12カ月目に端末を返却するとユーザー側の負担額は4万9632円まで下がる。月ごとに600円の早期利用特典が付くからだ。この特典に残価を足すと、額は6万2040円に上がる。1年利用して中古店に下取りに出した場合とそん色ない金額で、毎年iPhoneを買い替えるヘビーユーザーにもうれしい仕組みだ。

いつでもカエドキプログラム 1カ月目から22カ月目までの間に端末を返却すると、端末ごとに設定された早期利用特典を毎月受けられる。実質的に残価が高くなるというわけだ

 ドコモがいつでもカエドキプログラムをリニューアルした狙いも、ここにある。営業戦略担当部長の山本明宏氏は、「他社の同様のプログラムと比べると、やや還元額が劣ることがあった。その部分を課題と認識して、他社の状況を見ながら、新しい端末を選びやすいよう、還元しやすい方法を設定した」と語る。注目を集めやすいiPhoneの発売に合わせ、アップグレードプログラムを改定することで端末販売をテコ入れする方針だ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月26日 更新
  1. 楽天モバイルのスマホが乗っ取られる事案 同社が回線停止や楽天ID/パスワード変更などを呼びかけ (2024年04月23日)
  2. シャープ、5月8日にスマートフォンAQUOSの新製品を発表 (2024年04月24日)
  3. スマホを携帯キャリアで買うのは損? 本体のみをお得に買う方法を解説 (2024年04月24日)
  4. Vポイントの疑問に回答 Tポイントが使えなくなる? ID連携をしないとどうなる? (2024年04月23日)
  5. 貼り付ければOK、配線不要の小型ドライブレコーダー発売 スマート感知センサーで自動録画 (2024年04月25日)
  6. 通信品質で楽天モバイルの評価が急上昇 Opensignalのネットワーク体感調査で最多タイの1位 (2024年04月25日)
  7. 中古スマホが突然使えなくなる事象を解消できる? 総務省が「ネットワーク利用制限」を原則禁止する方向で調整 (2024年04月25日)
  8. ドコモ、「Xperia 10 V」を5万8850円に値下げ 「iPhone 15(128GB)」の4.4万円割引が復活 (2024年04月25日)
  9. 「iPhone 15」シリーズの価格まとめ【2024年4月最新版】 ソフトバンクのiPhone 15(128GB)が“実質12円”、一括は楽天モバイルが最安 (2024年04月05日)
  10. スマートグラス「Rokid Max 2」発表 補正レンズなくても視度調節可能 タッチ操作のリモコン「Rokid Station 2」も (2024年04月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年