9月24日に販売が始まるiPhone 13シリーズの予約開始に先立ち、大手キャリア各社が新たな販売方法を導入している。KDDIはこれまで提供してきた「かえトクプログラム」を改定し、「スマホトクするプログラム」に名称を変えつつ、au PAYカードと連動させた割引を用意する。一方で、ドコモは約2年半前に導入した「スマホおかえしプログラム」を全面的に刷新。KDDIと同じ残価設定型のプログラムの「いつでもカエドキプログラム」をiPhone 13から導入する。
単なるアップグレードプログラムの変更には見えるが、残債の一部を免除するのと、キャリア側が設定した残価が免除されるのでは、大きな違いもある。ソフトバンクは従来型で残債の半額を免除する「トクするサポート+」を継続しているため例外になるが、ドコモやKDDIのユーザーは、今まで以上に端末の“リセールバリュー”を意識した買い方が求められるようになってくる。これによって、端末の売れ筋にも変化が起きそうだ。
ドコモは、iPhone 13シリーズの発売に合わせ、スマートフォンのアップグレードプログラムを大幅にリニューアルする。いつでもカエドキプログラムが、それだ。約2年半前にドコモが導入していたスマホおかえしプログラムは、端末代を36回で割賦にして、内12回分を端末の返却を条件に免除するというものだった。これに対し、いつでもカエドキプログラムは、ドコモ側が設定した24回目の「残価」を差し引いた形で23回分の割賦が組まれる。
分かりやすいように、実例を出しながら解説していこう。ドコモのiPhone 13 128GBは、オンラインショップでの本体価格が11万1672円(税込み、以下同)に設定されている。スマホおかえしプログラムの場合、この11万1672円を36で割り、1カ月あたりの支払額を算出する。月あたりの端末代は3102円になり、24回支払った直後に端末を返却すれば、12回分に相当する3万7224円の支払いが免除される。ユーザーが支払う額は、7万4448円になるとういわけだ。
これに対し、いつでもカエドキプログラムでは、iPhone 13 128GBの残価が5万5440円に設定されている。最初の23カ月分の割賦は、この残価を除いた額で組まれる。その金額は1カ月あたり2444円。1カ月目のみ、端数の20円が上乗せされる。単純な本体価格の割り算ではなく、下取り価格として適正な残価を設定した結果、月ごとの支払額や次の機種変更までの総額が下がっていることが分かるはずだ。この傾向は、iPhone 13シリーズ全体に当てはまる。
逆に言えば、スマホおかえしプログラムは2年後にわずか3万7224円で下取りされてしまうため、ユーザーにとって利用するメリットが薄かったといえる。市中の中古店に売却した方が、はるかに高い金額で下取りしてもらえるからだ。また、36回の割賦を前提にしていたことで、どうしても毎月の支払額が上がってしまっていた。いつでもカエドキプログラムは、こうした問題を解消した仕組みといえそうだ。
面白いのが、端末をより短い期間で買い替えるユーザーのことまで考慮されているところだ。23回目より前に端末を返却した場合、「早期利用特典」として端末ごとに設定された金額の割引を23回目の支払いまで受けることができる。上で挙げたiPhone 13 128GBの場合、12カ月目に端末を返却するとユーザー側の負担額は4万9632円まで下がる。月ごとに600円の早期利用特典が付くからだ。この特典に残価を足すと、額は6万2040円に上がる。1年利用して中古店に下取りに出した場合とそん色ない金額で、毎年iPhoneを買い替えるヘビーユーザーにもうれしい仕組みだ。
ドコモがいつでもカエドキプログラムをリニューアルした狙いも、ここにある。営業戦略担当部長の山本明宏氏は、「他社の同様のプログラムと比べると、やや還元額が劣ることがあった。その部分を課題と認識して、他社の状況を見ながら、新しい端末を選びやすいよう、還元しやすい方法を設定した」と語る。注目を集めやすいiPhoneの発売に合わせ、アップグレードプログラムを改定することで端末販売をテコ入れする方針だ。
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