2021年で創刊20周年を迎えた「ITmedia Mobile」。今回、ITmedia Mobileの20年を振り返る企画として、国内キャリアが2001年から2020年に発売した主要な「ケータイ」「スマートフォン」をピックアップしてまとめた。第3回目はソフトバンクのケータイだ。
ソフトバンクは、2006年に孫正義氏率いるソフトバンク(現ソフトバンクグループ)がボーダフォン日本法人を買収し、ソフトバンクモバイルとして携帯電話事業に参入したことから始まる。
さらにさかのぼっていくと、原点は旧国鉄などの鉄道系通信事業者である日本テレコムとなる。日本テレコムがJR東日本などと出資して1991年にデジタルホングループを、日産自動車と出資して1994年にデジタルツーカーグループを設立し、携帯電話事業に参入したのだ。
「J-フォン(ジェイフォン)」は最初、デジタルホンとデジタルツーカーの共通ブランドとして1997年に生まれた。2000年には吸収合併によって企業のJ-フォンが誕生し、国内初のカメラ付き携帯電話として有名な「J-SH04」が登場した。写真付きメールの「写メール」(写メ)という言葉も、このとき生まれている。写メールのヒットでJ-フォンの市場シェアは大きく上昇した。
ITmedia Mobileが始まった2001年は、J-フォンや日本テレコムが英Vodafoneグループとなった年だ(ボーダフォンへのブランド・社名の変更は2003年)。翌年には3GサービスのVodafone Global Standard(VGS)を開始する。
VGSに対応した端末として最初に発表されたのは、NEC製の3G/GSMデュアルモード端末「V-N701」、フィンランドNokia製の「Nokia 6650」、3Gのみに対応した三洋電機製の「V-SA701」の3機種。しかし、屋内や地下の通信エリアの問題で、2004年後期までは引き続き2G端末が主力だった。
ボーダフォンが3Gに本腰を入れた2004年冬モデルには、7機種の3G端末が投入された。シャープ、NECといった国内メーカー端末の他に、Nokiaやモトローラ、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズといった海外メーカー製端末が半数以上を占めた。
従来の日本のケータイにないデザインは注目されたが、Vodafoneグループが定めた世界共通のUI(ユーザーインタフェース)が日本のユーザーには不評だった。またソフトウェアの不具合も多く、ボーダフォンによる3G導入は成功したとは言いがたい。
結局、日本のボーダフォンは3年で撤退し、2006年にソフトバンクに携帯電話事業を譲渡した。そのため、2006年に発売されたボーダフォン端末は、一部を除きソフトバンクブランドでも販売されている。
J-フォン、ボーダフォン当時もそうだったが、ソフトバンクのケータイはシャープ製端末なしには語れない。
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