12月10日、KDDIからケータイの新製品「G'zOne TYPE-XX」が発売となった。
12月6日に発売日や価格などの詳細情報が発表されたのだが、報道したネット記事により、SNS上では「伝説の最強ガラケー」として話題となった。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年12月11日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
翌朝の情報番組から「SNSでバズったワードを取り上げるコーナーで『最強のガラケー』を取り上げるのでコメントが欲しい。あと、体験会にカメラを出していなかったで、YouTubeで公開している映像を提供してくれないか」という依頼があった。
スマートフォン全盛のなか、9年ぶりに伝説の最強ガラケーが復活するとあって、マスメディアを巻き込んでの予想以上の盛り上がりを見せたのではないか。
今回のG'z One TYPE-XXで気になったのが「ガラケー」という言葉だ。
すっかり、一般的に浸透している「ガラケー」ではあるが、今回のG'zOne TYPE-XXがガラケーかと言われれば「ちがうんじゃないの?」と指摘したくなる。
そもそも、 ガラケーとは「ガラパゴスケータイ」の略称で、日本特有の機能が盛り込まれたケータイを「ガラケー」と言っていた。iPhoneが上陸し、グローバルスタンダードなスマートフォンが台頭する中、機能がてんこ盛りだが日本だけしか使われていないような端末を「ガラケー」と揶揄してきたのだ。
当時、ガラケーならではの機能といわれていたのが「赤外線通信」「ワンセグ」「防水」「おサイフケータイ」といったあたりだ。
赤外線通信は、約8年ぶりに改訂される「三省堂国語辞典」には言葉として掲載が見送られてしまったし、ワンセグが視聴できるスマートフォンはここ最近、ほとんど発売されていない。一方で防水と、おサイフケータイ機能はiPhoneでも採用されるなど、なんとか生き残った格好だ。
G'z One TYPE-XXはもちろん防水ではあるが、赤外線通信、ワンセグ、おサイフケータイには非対応だ。
折りたたみの端末を「ガラケー」と、ひとくくりにされ、すっかり認知されてしまったが、実はG'zOne TYPE-XXを「伝説の最強ガラケー」というには機能が全然足りておらず、「最強」でも何でもないのだ。
ケータイは「ガラケー」と称されることで、すっかり時代遅れな感が植え付けられてしまったし、MVNOも「格安スマホ」と名付けられたことで認知度は上がったが、MVNO事業者の首を締めてしまった感もある。
新サービスや新技術など、どんな優れていても、「どんな名前をつけられるか」によっても運命が変わってくる。この手のネーミングはメディアがつけることが多いのだが、いかにマーケティングが重要かを思い知らされた気がする。
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