ソフトバンクは12月22日、同社の子会社であるウィルコム沖縄を2022年4月1日付で吸収合併することを発表した。これにより、沖縄県内における「Y!mobile(ワイモバイル)」ブランドの通信サービスも他の46都道府県と同様にソフトバンクが提供することになる。
ウィルコム沖縄は、アステル沖縄が運営していたPHS事業を引き継ぐべく、DDIポケット(後のウィルコム)と沖縄電力(アステル沖縄の親会社)の共同出資で2004年12月に設立された。
2010年2月、親会社のウィルコムが2010年2月に会社更生法の適用を申請し、同年10月にソフトバンク(現在のソフトバンクグループ)の支援の元で経営再建を始めることが固まったが、最終的にウィルコム沖縄はウィルコムの子会社として存続することになった。
2014年6月1日、親会社のウィルコムはソフトバンク傘下に入ったイー・アクセスに吸収合併されたが、ウィルコム沖縄はイー・アクセスの子会社として存続。イー・アクセスは同年7月1日付で社名を「ワイモバイル」に改め、さらに2015年4月1日付でソフトバンクモバイル(現在のソフトバンク)に吸収合併されたが、ウィルコム沖縄は社名を変えることなく現在に至るまで続いてきた。
現在のウィルコム沖縄は、沖縄県内におけるY!mobileブランドの通信サービスの提供会社である。同県内でY!mobileブランドの携帯電話を新規契約すると、契約先は「ソフトバンク」ではなく「ウィルコム沖縄」となる。ただし、端末の分割払い(割賦)など、一部の契約についてはソフトバンクと結ぶことになる。
ソフトバンクによるウィルコム沖縄の吸収合併自体は、以前から検討されていた。沖縄県内ではY!mobileブランドが“別会社”であるがゆえに、「ソフトバンク(SoftBank)」ブランドとの一体化が難しかったからだ(参考記事)。
先述の通り、ウィルコム沖縄は地元企業からの出資も受けていたため、吸収合併が簡単に進められる状況ではなかった。しかし2019年4月頃、ソフトバンクは地元企業からウィルコム沖縄の株式を全て買い取り、ウィルコム沖縄を完全子会社化した(参考リンク)。
それから約3年――ソフトバンクブランドとY!mobileブランドの一体化の“総仕上げ”として、ウィルコム沖縄はソフトバンクに吸収合併されることになる。
2022年4月1日以降、沖縄県内におけるY!mobileブランドの通信サービスの提供主体はソフトバンクとなる。同年3月31日までにウィルコム沖縄と結んだ契約は、特に手続きをすることなくソフトバンクに継承される。
今回の吸収合併により、沖縄県内には存在しなかったY!mobileブランドを取り扱うソフトバンクショップの登場が期待される。
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