mineoが平日昼間以外は快適な使い放題プランを投入――「容量制限」より「時間制限」はユーザーにどう響くか石川温のスマホ業界新聞

» 2022年03月06日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 mineoを手がけるオプテージは月額990円で1.5Mbps、データ通信が使い放題となる「マイそく」を3月7日より開始すると発表した。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年2月26日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 面白いのが、データ使い放題なのだが、平日の昼間(12〜13時、祝日含む)だけは32kbpsに速度が低下するというものだ。

 そもそも、MVNOはキャリアから帯域を借りて通信サービスを提供しているが、どうしてもユーザーの通信が集中する平日の昼休み時間は速度が落ちるという弱点が存在する。

 帯域を思う存分、借りられればいいのだが、安価な通信サービスを提供するには、昼休みの時間帯のトラフィックに余裕を持たせるのは難しい。昼間の時間帯にそこそこの通信速度を提供したとしても、今度はそれ以外の時間はトラフィックがスカスカとなってしまい、あまり効率的な運用とは言えなくなってくるのだ。

 IIJなどは法人向けに監視カメラやIoT向け回線を提供しており、昼間以外の時間帯にそうしたトラフィックを流すことで、効率的なネットワーク運用を実現しつつある。

 minioとしては既存のユーザーがマイそくに切り替えることで効率的なネットワーク運用につながっていくはずだ。

 実際、mineoでは昼間の時間帯のパケットを人に譲れるサービスを提供しているが、常時、5万人ほどのユーザーが利用しているという。

 「昼間に使わない」というユーザーは当然、一定数いるわけで、マイそくにはそれなりの市場規模が存在しそうだ。

 mineoが上手いことユーザーの獲得に繋げることができれば、他のMVNOも追随してくる可能性は十分にあるのではないか。

 昼間のトラフィックを避けるという点においては、MVNOにとってはかなり魅力的な設計なのは間違いない。

 個人的には、マイそくの「平日昼間以外の23時間が使い放題」という時間軸をベースにしているというのがユーザーにわかりやすく響くのではないかと期待している。

 1GBや3GBといった容量で言われてもどれだけ使えるのかはわかりにくい。それならば、時間で区切ってくれた方が生活の肌感覚にマッチしている。

 どこかのMVNOには「1日1時間だけデータ通信が使えるSIM」とか作ってもらいたい。

 5歳の子どもが、とにかくiPadでYouTubeを見たがって困っている。「スクリーンタイム」で使用時間を設定しているが、すぐに「時間延長しろ」を求められる。

 1日1時間しかデータが流れないSIMであれば、子どもも素直に諦めてくれそうな気がしている。

 子どもにiPadを使わせる上で、使用時間を決めている親は多いと思う。そんな家族向けに時間設定できるSIMをどこかのMVNOが提供してくれれば、意外と人気が出るのではないだろうか。

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