A15 Bionicを搭載していることもあり、パフォーマンスは非常に高い。アプリは起動が速く、処理能力を求められるゲームなどでもスムーズに動く。ディスプレイが小さいため、少々操作はしづらいかもしれないが、動画の編集をするにも十分なスペックだ。ベンチマークアプリでiPhone 13 Proと比較したが、そん色ない結果を得られた。まずは、以下に掲載する「Geekbench 5」のスコアを見てほしい。
ご覧の通り、iPhone SEとiPhone 13 Proの結果はほぼ同じ。iPhone SEはシングルコアスコアが1736、マルチコアスコアが4680で、ハイエンドモデル並みの数値をたたき出した。スマートフォン全体を見渡しても、5万円台のミドルレンジモデルでこのパフォーマンスを出せる端末はないだろう。iPhone 13 Proはシングルコアスコアが1729、マルチコアスコアが4667で、誤差の範囲に収まっている。
次に、GPUの性能を測るMetalコアだが、こちらもiPhone 13 Proとほぼ同程度の数値になった。iPhone SEは1万3494、iPhone 13 Proは1万4126で、やや違いはあるが、おおむね近い数値と言ってもいいレベルだ。これが第3世代のiPhone SEには、iPhone 13シリーズと同じA15 Bionicを搭載している証拠だ。なお、Geekbench 5によると、メモリ(RAM)は4GBで、6GBのiPhone 13 Proより少ない。この点は価格なりの違いといえる。
CPUやGPUだけでなく、メモリやストレージの性能まで総合的に見る「AnTuTu Benchmark」では、スコアにやや差が出た。総合得点はiPhone SEが74万8714なのに対し、iPhone 13 Proは80万6790。CPUやGPUに微差が出た他、ROM(ストレージ)の差が数値に影響したようだ。もっとも、70万点超えの端末はAndroidだとSnapdragon 888を採用するようなハイエンドモデル。iPhoneの中ではエントリーモデルという位置付けだが、十分ハイエンドモデルと呼べる性能であることが分かる。
5Gに対応しているのも、iPhone SEの魅力だ。どのエリアで使うかにもよるが、n78(3.7GHz帯など)やn79(4.5GHz帯)で利用する場合、4Gのころでは出づらかった高いスループットを記録した。試しにこの環境でアプリをダウンロードしてみたが、自宅のWi-Fi以上の早さでインストールが完了した。5G接続には画質が向上するFaceTime HDを利用できるなど、速度によらないメリットもある。
ただし、iPhone SEは他の5Gスマートフォンと異なり、アンテナが2×2 MIMOになっている点には注意が必要だ。特に上記の5G用に割り当てられた新周波数帯の場合、4×4 MIMOの5G端末と比べると、速度は低くなりがちだ。4Gから周波数を転用したような4×4 MIMOが効かない場所では、他の端末と同程度の速度になるため、極端に不利になるわけではないが、スループットで1Gbpsを超えるケースはほぼないと見てよさそうだ。
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