2024年1月のCESで発表され、デザインやコンセプトが一新された「ROG Phone 8」に注目が集まった。同社では「第3世代」と称するレベルの進化を遂げた。
今回は先行販売されている海外版を手にする機会を得たので、レビューしたい。なお、本機種は技適を取得していないため、総務省の特例制度を利用している。特例制度では、技適のない海外の端末に対し、所定の届け出を行うとWi-FiやBluetoothの通信が可能になる。先行して販売された海外版のため、日本向けとは一部仕様が異なっている点は注意してほしい。
ROG Phone 8はゲームパフォーマンス重視のスマートフォンだ。本体のスペックは以下の通りだ。
画面サイズは6.78型と大型の部類だが、前作に比べるとかなりシェイプされた印象だ。画面はAMOLEDパネルを搭載しており、画面解像度はフルHD+となる。1〜120Hzの可変リフレッシュレート、165Hzのハイフレームレートに対応している。画面輝度も2500ニトと明るい画面となり、屋外での視認性も向上している。
大きく変わったのは、パンチホールインカメラを備える一般的なスマートフォンと同様の画面になったこと。以前までアピールしていた「映像体験を阻害する要素がない」という意味では見劣りする形となった。
今回のROG Phoneはカメラを意識したデザインで、大型化したメインカメラの出っ張りが印象的だ。センサーサイズは1/1.56型で「Zenfone」シリーズ同様に6軸のジンバル式の手ブレ補正機構を備える。本体デザインはガラスの背面と金属製のフレームの構成だ。今回選択したグレーでは、背面ガラスとフレームのコントラストが映える特徴的なものだ。
プロセッサはQualcommの最新Snapdragon 8 Gen 3を採用。同社のAndroid端末向けプロセッサとしては最上位のもので、高い性能を発揮する。もちろん、基本性能だけにとどまらず、ISP性能やAI性能が向上したことで、カメラ性能などの向上にも大きく寄与している。
メモリについてはLPDDR5X規格、容量は12GB、16GB、24GBとそれぞれグレードごとに設定されている。今回レビューするROG Phone 8では16GBも選択できるが、グローバル向けは12GBのみだ。
従来同様、プロセッサを端末の中央部に配置して放熱性能を高めており、ベイパーチャンバーをはじめとした本体の冷却機構は従来比で20%の性能向上を果たしたとしている。本体は小さくなっても冷却性能は大幅に向上しているのだ。
そんなROG Phone 8を実際に使ってみると性能の高さは折り紙付きだ。最新プロセッサと高性能な冷却機構の組み合わせによって、ファンなどなしでも長時間のゲームも問題なく遊ぶことができた。ストレージもUFS4.0規格の高速なものが採用されているため、セーブデータの読み出しも高速だ。
もちろん、最新ハイエンド機のためブラウジング、SNSや動画視聴といった基本的な動作にストレスは感じない。例えばゲームでも「原神」のような高負荷なコンテンツを1時間ほど続けてプレイしても極端に「熱い」と感じることは少なかった。
ROG Phoneらしく2つ目のUSB Type-C端子を本体側面に備える。横持ちでも本体側面の端子から充電することで、持ち手付近に突起を作らないようになっている。ここからの外部映像出力、急速充電も可能だ。
独自の機能として本体側面にROG Phone ではおなじみの「Air Trigger」を備え、ゲームコントローラーでいう「L/Rボタン」の機能を割り当てることができる。今作では各種人気ゲーム用のプリセット配置も用意されており、人気ゲーム「原神」などが対応している。ゲーミングスマホらしく、3.5mmのイヤフォンジャックもしっかり備えている。
OSについてはAndroid 14ベースの独自UI「ZenUI」を採用する。従来通りAOSPと呼ばれるAndroidの標準UI(ユーザーインタフェース)にASUS独自の便利機能が搭載される形だ。今回はゲーム用のAI機能をいくつか搭載し、ゲームのスクリーンショットから文字や画像認識で攻略情報を検索できる「AI Grabber」や、特定のゲームではAIが特定のプレイなどをアシストする「X Sense」がある。
日本でも人気の「原神」や「崩壊スターレイル」ではいくつかの機能が利用できる。例えばX Senseではアイテムの自動回収、テキストの高速更新などは地味ながら役立つ便利な機能だ。快適にゲームを遊べるという意味では、性能向上以外の方法でユーザー体験を向上させる思想が感じられる。
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