KDDIは2021年夏以降に5G SAのコンシューマー向けサービス開始を予告している。ただし、具体的なサービス内容は明らかにしていない。この点について、KDDIの泉川晴紀氏(事業創造本部 次世代基盤整備室長)は、「ご加入者ごとに適用したり、サービスに特化した形にしたり、さまざまな形態が考えられる。商用提供に向けての検討は技術開発と並行して行っている」と話した。
一案としては、auの5Gサービスの月額料金に上乗せで支払うと、ゲーム向け通信を安定して行える中で「ゲーム通信オプション」のようなものが考えられる。また、PlayStation Nowのようなクラウドゲームサービスを利用している人に対して、サービスに最適化した通信サービスを提供するという方式もあり得る。実際にゲームをプレイする人にとって価値があると感じる提供方法の検討が、普及のカギとなりそうだ。
また、今回の実証実験はXperiaスマートフォンとPlayStationシリーズを展開するソニーと、auサービスを提供するKDDIの2社が協力して実施しているが、両者の連携はあくまで技術検証にとどまっており、両者が共同でゲーム向けサービスを提供する計画はないとしている。
ソニーのゲーム部門においてはKDDIとの実証実験で得た知見を基にPSリモートプレイやPlayStation Nowのクラウドゲーミングサービスを改良していくことになる。5G SAネットワークの高度化が進めば、リモートプレイでの4K/120fps対応なども現実味を帯びてくるだろう。
5G SAサービスの展開にあたっては、スマートフォン側の対応状況も気になるところだ。auの現行の5Gスマートフォンは公式には全て5G NSAのみ対応とされており、5G SAへの対応の有無は明らかにされていない。
ただし、5G SA向けの新サービスを利用したい場合に、必ずしも5G NSA対応スマートフォンから買い換えが必要になるわけではなさそうだ。例えばiPhone 12シリーズは中国キャリアの5G SAサービスへ接続可能な仕様となっている。
また、今回のデモンストレーションにおいては、au版の「Xperia 1 III」を5G SA対応に“改造”し、試験機として活用していた。改造といってもハードウェアはそのままで、内部のソフトウェアの書き換えのみで対応できたとしている。
こうした状況から、現行のau 5Gスマートフォンでも、一部はソフトウェアアップデートで5G SA対応を実現できる可能性がある。ただし、ソニーの担当者によると「5G SA対応による検証や新たな認証の取得などが必要となる」としており、一定の費用がかかる対応となるようだ。KDDIでは5G SAサービスに対応する予定の機種を公表していないが、既存の機種での対応も前向きに検討しているという。
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