ITmedia Mobile 20周年特集

3G時代を盛り上げた「着うたフル」からサブスクまで 携帯の音楽配信を振り返るITmedia Mobile 20周年特別企画

» 2022年04月17日 10時00分 公開
[太田百合子ITmedia]

 4Gから5Gへと切り替わる今、Amazonプライムビデオ、Netflixといった有料動画配信サービスをいつでもどこでも楽しめるのが、当り前の光景になりつつある。同様に今から20年ほど前、2Gから3Gに切り替わる時代に芽吹き、その後当り前の光景として定着していったのが音楽配信サービスだ。当時を知らない世代は、音楽配信サービスのルーツの一端が着信音にあると言ったら、驚くかもしれない。

auといえば音楽というイメージを決定的にしたサービス「LISMO」

 auが着信メロディに使用できる、15〜30秒程度のボーカル入りの楽曲を配信するサービス「着うた」を開始したのは2002年12月のこと。それまでにも「bitmusic」などPC向けの音楽配信サービスはスタートしていたが、当時はまだブロードバンド普及前で配信曲も少なく利用者は少なかった。

 一方、2000年代に入って携帯電話では、16和音などを用いた「着メロ」配信サービスの人気が沸騰。その1つで「レコード会社直営♪」の名前の通り、複数のレコード会社が出資し設立されたレーベルモバイルとして、auと組んでスタートしたのがCD音源を配信する「着うた」だった。その後、ミュージック・シーオー・ジェーピーなど、他のコンテンツプロバイダーも参入。2003年12月にボーダフォン(現ソフトバンク)のボーダフォンライブ!、2004年2月にはドコモのiモードでも「着うた」サービスがスタートしている。

 着うたのサービス開始とともに、初の対応端末として登場した「A5302CA」。翌年1月には同じく対応端末の「A5303H」が発売された。両機種にはauのテレビCMソング、CHEMISTRYの新曲「My Gift to You」の着うたがプリセットされていた

着うたフル着うたフル A5302CA

和音の「着メロ」から「着うた」、一曲丸ごとの「着うたフル」に

 2004年11月にはauが、1曲フルコーラスを丸ごとダウンロードできる「着うたフル」をスタート。本格的な音楽配信サービス時代が幕を開ける。フルコーラスの配信は、着うたスタート当時からロードマップに盛り込まれていたものだった。なお、着うたが15〜30秒でせいぜい100KB程度だったのに対し、着うたフルは1曲3〜5分程度で2MBを超えるものもあった。配信ができたのは、2003年10月にスタートした下り最大2.4Mbpsの「CDMA 1X WIN」とパケット定額制プランのおかげといえる。

 PC向けには、2005年夏に日本でも「iTunes Music Store」がスタート。4日間で100万曲ダウンロードを突破するなど、注目を集める。当時、着うたフルは1曲210〜315円といったところが主流の価格帯だったが、iTunes Music Storeは1曲150円〜だった。

 2006年にはauが、携帯電話でもPCでも配信曲が楽しめる、新サービス「LISMO(au LISTEN MOBILE SERVICE)」をスタート。PC用のソフト「au Music Port」では、着うたや着うたフルのほか、写真や動画、アドレス帳、メールなどもバックアップ可能だった。当時コンテンツ・メディア事業本部長だった現社長の高橋誠氏は、「iPod+iTunesに対抗できるサービス」とアピールした。

 一方ドコモは翌年、米国のナップスターとタワーレコードが設立したNapster Japanと提携。今のサブスクリプションサービスの先取りともいえる、定額配信サービス「うた・ホーダイ」をスタートしている。

 2006年夏には、1GBの音楽用の内蔵メモリを備えた、ウォークマンケータイ「W42S」がソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(現ソニーモバイルコミュニケーションズ)から、リリースされている

着うたフル W42S

 2008年にはKDDIで一部対応端末向けに、より高音質な「着うたフルプラス」もスタート。この年、「レコード会社直営♪」サイトでは、着うたと着うたフルの有料ダウンロード数が累計10億ダウンロードを突破した。

 日本レコード協会が公開している、音楽配信売上実績の年次推移データによれば、日本の音楽配信売り上げは2008年が905億4700万円、2009年が909億8200万円でピークを迎えている。この数字は今も更新されていないことから、当時の勢いがいかにすごかったか分かるだろう。なお、2008年に大ヒットした青山テルマ×SoulJa「そばにいるね」は、「日本で最も売れたダウンロード・シングル」としてギネスに認定されている。

2008年にiPhone 3Gが上陸、音楽はスマホで聴き放題が主流に

 一方で、同じ2008年の6月にはiPodの機能を搭載する「iPhone 3G」が日本に上陸。いよいよスマートフォンの時代が到来する。2009年、レーベルモバイルは社名とサービス名を「レコチョク」に変更し、2010年にはAndroid向けのサービスもスタートさせている。

 2011年にはKDDIが定額聴き放題の「LISMO unlimited powered by レコチョク」をスタート。洋楽中心ながら約100万曲が聴き放題になるサービスとして話題を集めたが、2013年にはプラットフォームを提供していた「KKBOX」の日本進出で、サービスを「KKBOX」にリニューアルした。

着うたフル LISMOがスタート

 2012年には、好きな音楽チャンネルが聴き放題となるKDDIの「うたパス」や、ドコモの「dヒッツ」もスタート。モバイル通信が3Gから4Gへ移行するタイミングもあり、

ラジオ感覚で手軽に楽しめる音楽配信サービスが人気を集めた。また同じ頃、大手レコード会社が楽曲提供を開始したり、より高音質な「iTunes Plus」がスタートしたりするなど、iTunes Storeの音楽コンテンツがますます充実。iPhoneの人気とともに多くのユーザーを獲得していく。

 今ではすっかり定着した、定額で聴き放題のサブスクリプション型音楽配信サービスが日本で本格化するのは、LTE-Advancedがスタートした2015年のこと。この年、「LINE MUSIC」「AWA」「Apple Music」「Google Play Music」「Amazon Prime Music」といったサービスが一斉にスタートしている。

 また翌年には「Spotify」も、待望の日本でのサービスを開始。ここから音楽配信サービスは徐々に、ダウンロードからストリーミングへの移行していくことになる。日本レコード協会のデータによれば、3年後の2018年にはダウンロードとストリーミングの売り上げ金額が逆転。翌2019年にはその差が2倍以上、2020年には3倍以上に開いている。

 2018年にはGoogleによる「YouTube Music」がスタート。同じ頃「TikTok」も爆発的な流行を見せ、以降YouTubeやTilTokの投稿動画からヒット曲が生まれるケースも目立つようになってきた。逆に著名アーティストが、「YouTube」で新曲のPVを配信するようなケースも増えている。5G時代には、音楽と映像を一緒に楽しむシーンがますます広がりそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月12日 更新
  1. 「iPhone 17e」と「iPhone 17」は何が違う? 3万円の価格差をスペックから検証する (2026年03月10日)
  2. 庵野秀明、GACKT、ひろゆき、ドワンゴ川上らが集結 “カメラのいらないテレビ電話”をうたう新サービス「POPOPO」18日に発表へ (2026年03月11日)
  3. 「iPad Air(M4)」実機レビュー 「もうProじゃなくてもいい」と思えた性能、だからこそ欲しかったFace ID (2026年03月09日)
  4. 「iPhone 17e」を試して分かった“16eからの進化” ストレージ倍増と実質値下げで「10万円以下の決定版」に (2026年03月09日)
  5. 自分で修理できるスマホ「Fairphone(6th Gen.)」を見てきた わずか10分で画面交換、2033年まで長期サポート (2026年03月10日)
  6. 携帯キャリアの通信9サービス、総合満足度はpovoがトップ サブブランド勢が好調 MMDが調査 (2026年03月10日)
  7. キーボード付きスマホ「Titan 2 Elite」がUnihertzから登場 実機に触れて分かった“絶妙なサイズ感” (2026年03月09日)
  8. 60ms未満の音声遅延速度で端末をワイヤレス化「UGREEN USBオーディオトランスミッター」が30%オフの2309円に (2026年03月09日)
  9. どこでもウユニ塩湖? 3COINSで550円の「スマホ用反射ミラークリップ」を試す (2026年03月12日)
  10. 「Galaxy S26」シリーズはどこが安い? 一括価格と2年間の実質負担額を比較、お得なキャリアはココだ (2026年03月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年