WILLERとKDDIが出資するCommunity Mobilityは4月21日、相乗り交通サービス「mobi(モビ)」の展開エリアを今夏をめどに全国22エリアへ拡大する方針を発表した。
mobiは、タクシーとバスの中間のような相乗り交通サービス。半径約2キロの運行エリアの中に多数の仮想バス停が設定されており、乗客が乗り降りしたい地点を自由に選んで利用できる。運行車両に決まったルートやダイヤはなく、予約状況に応じてAIによるアルゴリズムがルートを設定する。
運賃は1乗車300円(子どもは150円)。乗り放題型の月額料金も設定しており、1人5000円で乗り放題となる。乗り放題運賃には、プラス500円で家族の登録も可能となっており、例えば3人家族で利用する場合、月6000円で利用できる(金額は全て税込み)。
新会社設立を記念して、先着1000人を対象に、5月30日までに月額サービスに加入すると最初の30日間は無料で、2カ月目は1980円となるキャンペーンを実施する。
mobiは2021年6月にWILLERの新規事業として、京都府京丹後市エリアから運行を開始。2021年12月にKDDIとの提携を発表し、合弁会社のCommunity Mobilityを設立した。Community Mobilityはmobi事業を引き継いで4月1日に事業を開始しており、今回の発表会は、合弁設立後初の方針発表会となる。
2021年12月時点で、mobiの運行エリアは東京都渋谷区、愛知県名古屋市千種区、京都府京丹後市の3カ所となっていたが、合弁会社設立に前後して、新たにサービスエリアが追加された。
大阪では、大阪市北区と福島区で4月1日より運行を開始。大阪駅/梅田駅と接続するエリアで、月額サービスでは1エリア分の料金で両方のエリアを利用できる。交通が混雑する梅田駅周辺にはあえて乗降地点を設けず、地域住民が鉄道駅などに気軽に移動できるようなエリア設計としている。
また、東京都豊島区(大塚駅周辺)では4月20日より運行を開始。豊島区はもともと2021年に提供が予告されていたエリアだが、地域のタクシー会社との調整の影響でサービス開始が延期されていた。運行エリアに繁華街の池袋駅中心は含まれておらず、住宅街が広がる東池袋駅〜大塚駅周辺がエリアとなっている。WILLERが池袋で運行するコミュニティーバス「IKEBUS」との接続性を高めて、回遊性を向上させるという。
mobiのサービスエリア拡大については、2021年末時点で「20カ所を目指す」としていたが、このたび“新規展開検討中エリア”が公表された。地域の自治体や交通事業者との調整を進めており、今夏をめどに順次運行を開始する見込みとしている。全てのエリアで運行を開始すると、全国22エリアと体制になる。
22エリアは大都市の中心部から、郊外のニュータウン、公共交通の維持が課題となっている地方都市、観光需要も見込む島しょ部など、さまざまな前提条件を含む地域が含まれている。mobiではこの22エリアをいわば“モデルケース”として、各地域の交通事業者とタッグを組んで、地域のニーズや実情にあわせてサービス内容を改善し続けていく方針だ。
なお、2021年末の発表では全国の各地域でエリア展開する方針を示していたが、今回発表された“検討中エリア”には九州のエリアが含まれていない。WILLERによると、現時点では九州での展開エリアが決まっていないが意図的に九州を除外しているわけではなく、意欲の高い自治体との連携を優先した結果、たまたま九州が含まれない結果となったとのことだ。
新たな企業との提携として、イオン、イーオン、吉本興業との提携が発表された。イオンとは、千葉県旭市に新規オープンする「イオンタウン旭」など、全国のショッピングモールへ送迎手段として協力する。イオンが主導する地域貢献活動などにも協力していくという。
KDDI傘下で英会話教室を運営するイーオンとは、生徒や保護者の送迎や教室の職員スタッフの送迎などでmobiを活用する方針。吉本興業とはサービスの宣伝活用で協力。「あなたの街に“住みます”プロジェクト」に参加しているお笑い芸人とタイアップして、mobiの使い方を紹介するコンテンツを制作したり、イベントを実施したりする予定だ。
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