モトローラも参戦 オープン市場で「おサイフケータイ対応スマホ」が増えている理由石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2022年06月04日 08時00分 公開
[石野純也ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

オープンマーケットで拡大するFeliCaとおサイフケータイ

 おサイフケータイはもともと、フィーチャーフォン用の機能として開発されたものだが、auで発売されたシャープ製の「IS03」でスマートフォンにも移植され、今ではキャリアモデルのスタンダードな機能になっている。国内メーカー、海外メーカー問わず、一般的な機能といえる。

 一方で、オープンマーケットではコストの都合や、実装にハードルがあり、なかなか採用が進んでいなかった。こうした流れを変えたのは、スマホのアクセサリーメーカーであるトリニティが2017年に発売した「NuAns NEO[Reloaded]」や、OPPOが2019年に発売した「Reno A」だ。日本向けの特別モデルとして開発されたReno Aは、オープンマーケットでの評価が高く、手ごろな価格帯と相まって販売も好調だった。

モトローラ トリニティのNuAns NEO[Reloaded]。Androidスマートフォンを初めて開発したメーカーがいきなりおサイフケータイに対応し、大きな話題を集めた
モトローラ OPPOが2019年に発売したReno A。おサイフケータイ対応はもちろん、テレビCMに指原莉乃さんを起用したことでも注目された1台だ

 そんなOPPOに対抗する形で、同じ中国メーカーとして日本に新規参入したXiaomiも2021年に発売した端末からおサイフケータイに対応を始める。当初はキャリアモデルのみの展開だったが、同年7月に発売した「Mi 11 Lite 5G」でオープンマーケットモデルがおサイフケータイに対応。2022年には、「Redmi Note 11 Pro 5G」も同様の形で、グローバルモデルをベースにFeliCaを搭載した。

モトローラ OPPOに対抗する形で日本に参入したXiaomiも、2021年から積極的にFeliCaを搭載している。写真は最新モデルの「Redmi Note 11 Pro 5G」

 また、2018年にGoogleのPixelが日本に上陸した際にも、「Pixel 3」および「Pixel 3 XL」はおサイフケータイに対応していた。以降のPixelは、廉価モデルに位置付けられるaシリーズも含め、日本版は全てFeliCaをサポートしており、Google自身もプラットフォームとしての「Google Pay」でFeliCaベースのサービスを提供する。2021年には、ASUSや中国のスタートアップであるUnihertz(ユニハーツ)も、日本市場向けのモデルに初めておサイフケータイを載せた。

モトローラ GoogleのPixelも、日本上陸第1弾のPixel 3、3 XLからFeliCaを搭載する

 キャリア向けモデルでノウハウがあり、当初からおサイフケータイに対応していたシャープやソニー、FCNTを含め、今ではオープンマーケットの端末でも、FeliCa搭載やおサイフケータイ対応が当たり前になりつつある。一定以上のシェアを持つメーカーに限定すると、モトローラは最後発だった。松原氏も「日本でFeliCaや防水は重要であるということは、常にグローバルの研究開発とし続けていた」としながら、検討を重ねてきたことを明かす。

 では、なぜここ2、3年でおサイフケータイ対応のオープンマーケットモデルが急増しているのか。背景には、キャッシュレス決済需要の高まりや、オープンマーケットの市場規模拡大、さらにはFeliCa側の技術的な進展で対応のハードルが下がっていることがある。モトローラがmoto g52j 5Gを投入できた理由も、ここから考察することが可能だ。

 キャッシュレス決済に関しては周知の通りで、政府の掛け声のもとで、2020年ごろから急速に普及が進んでいる。キャッシュレスの中にはもともとシェアの高いクレジットカードが含まれている他、PayPayをはじめとするQRコード決済やクレジットカードブランドのNFC決済といった“ライバル”も登場した一方で、ICカードやフィーチャーフォンの時代から決済インフラが整っていたFeliCaの利用も、キャッシュレス化の波に乗り、着実に伸びている。

 調査会社インフキュリオンが5月25日に発表した「決済動向2022年4月調査」では、QRコード決済がFeliCaでの決済を初めて上回ったことが話題になった一方で、FeliCaの利用率も2020年ごろから大幅に伸びていることが分かる。1年前との利用増減比較を見ても、7%が「かなり増えた」、26%が「増えた」と回答しており、「減った」はわずか7%にとどまる。FeliCaにはICカードも含まれるため、これだけで断定はできないが、政府のキャッシュレス推進を機に、おサイフケータイをはじめとするFeliCaのユーザーが増えたといえる。

モトローラ 調査会社インフキュリオンが5月に発表したデータでは、QRコード決済の利用率が注目されたが、FeliCa決済もキャッシュレス化の波を受け、着実に伸びていることが読み取れる
モトローラ 利用率が「かなり増えた」「増えた」というユーザーは、「減った」を大きく上回っている

 電子マネー推進検討会が2021年8月に発表したユーザー調査では、スマートフォン所有者のうち、84.1%の端末がFeliCaを搭載しているという。利用率は、44.4%。内訳を見るとiPhoneが24.3%で影響も大きいことが分かるが、Androidも18.7%、iPhoneとAndroidの両方で利用するユーザーも1.4%と、プラットフォームのシェアに近い数値が出ている。対応端末を持つユーザーのうち、半数弱がFeliCaを利用しているというわけだ。ここまで普及や利用が進むと、FeliCaに非対応なことは販売時のネガティブな要因になる。

モトローラ 電子マネー推進検討会のユーザー調査では、84.1%のユーザーがFeliCa搭載端末を利用していることが分かる
モトローラ 84.1%中、20.1%のユーザーはAndroidでおサイフケータイを利用する

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月07日 更新
  1. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【5月4日最新版】 1万ポイント還元や最大20%還元などの施策が充実 (2024年05月04日)
  2. 4万円台からの「Nothing Phone (2a)」は誰向けか Phone (2)との比較で分かったこと (2024年05月05日)
  3. ガストやバーミヤンの「テーブル決済サービス」、楽天ペイも利用可能に レジへ行かずに卓上会計 (2024年05月05日)
  4. 皆さんは「スマホにガラスコーティング」してますか? 私はしていません (2024年05月04日)
  5. 改札で困らないように モバイルSuicaで「オートチャージ」を設定する方法 (2024年05月06日)
  6. 楽天モバイルがeSIMの不正乗っ取りについて注意喚起――安心安全に使えるeSIM環境を業界を挙げて取り組むべき (2024年05月05日)
  7. ダイソーで110円の「ガラスコーティング液」は本当に使える? 試してみた結果 (2024年04月29日)
  8. Evernoteからの乗り換えでオススメのメモアプリ5選 無料で使うならどれがいい? (2024年02月13日)
  9. GWのUターンラッシュでスマホを活用する技 道路の渋滞情報と、電車の混雑状況を確認しやすいアプリはどれ? (2024年05月05日)
  10. 最新デジアナ文具でスケジュールも手書きしてアップ!? サラサラ書き心地の良いゲルインキタイプも登場──NeoLAB「Neo smartpen A1」 (2024年05月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年