本社と2年がかりで実現 モトローラが「moto g52j 5G」でおサイフケータイ対応を果たせた背景(3/3 ページ)

» 2022年06月30日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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motorola edge 30 PROはモトローラのアイデンティティーになる位置付け

―― 次に、motorola edge 30 PROのお話を伺います。edgeシリーズはシリーズとして比較的新しいこともあるので、改めて、この端末の位置付けを教えてください。

松原氏 グローバルでは少し前から出していたシリーズですが、モトローラのアイデンティティーとなるような位置付けの製品で、日本には昨年(2021年)、「motorola edge 20」を初めて投入しました。価格帯としては少しプレミアムラインに踏み込んでいるため、数としてそれほど多く出るものではありません。発売する上で、数量の話は常につきまといます。ただ、これも私が就任したときから、ラインアップをある程度拡充するのは重要だと言い続けてきました。売れ筋のものだけではダメですからね。日本でもどんどん出していきたいということで、昨年から投入を始めています。

モトローラ ハイエンド機ながら10万円未満に抑えた「motorola edge 30 PRO」

―― プレミアムラインと言いつつも、10万円を超えていないので、最近のハイエンドモデルと比べると安いようにも見えます。

松原氏 そこはこだわっているところです。惜しみなく機能を入れ込んで10数万円にするのではなく、キャラクターをはっきり出し、なるべくお求めやすくすることで、皆さんに使っていただける。最新のテクノロジーを気軽に体感できることを目指しています。これは、昨年のmotorola edge 20もそうですし、その前の「moto g100」もそうでした。価格が10万円を下回ることには、気を使っています。ただし、今後は相当やらなければ(10万円を切るのは)難しくなるかもしれません。

―― これも買うなら今ですかね。

松原氏 そこは強調しておいてください(笑)。

―― ただ、これだけのお金を払うとなると、やはりおサイフケータイも使いたいと思ってしまいます。

松原氏 お約束はできませんが、ごもっともなお声なので、今後もチャレンジはしてきたいと考えています。

―― 先ほどお話とは逆に、ロットが少ない分、価格に跳ね返りやすくなってしまうということでしょうか。

松原氏 今はそうなってしまいます。あの手、この手は考えているので、そこはブレークスルーしたいところです。とはいえ、載せると10数万円になってしまうのは、悩ましですね。

―― moto g52j 5Gとmotorola edge 30 PROが同時発売になっていましたが、motorola edge 30 PROは本来、もっと発売日が早かったと思います。なぜ延期になってしまったのでしょうか。

松原氏 いろいろな理由があり、どれと言うとは難しいのですが、サプライチェーンの問題や、ロジスティックの問題が複雑に絡んでいます。焦ってやってはいましたが、なかなかそこがうまくいかずに、結果としてお待たせすることになってしまいました。申し訳ないと思っています。

モトローラにしかないブランドバリューがある

―― 最後に、ビジネスに関して伺っていきます。先ほど北米やラテンアメリカ、欧州で伸びているというお話がありましたが、日本ではいかがでしょうか。

松原氏 今は北米やラテンアメリカがリードしている状況ですが、後追いで欧州も急速に伸びています。日本も含むアジア・パシフィックは第3ウエーブに入っています。私が入る前は、だいぶバジェットモード(節約重視)でオペレーションしていたところがありますが、会社としてリソースも投入してきました。おかげさまで、現状はかなり伸びています。もともとかなり小さかったこともありますが、数倍ぐらいには伸びています。

 アジア・パシフィックで言うと、今はインドが伸びていて、その次がオーストラリアです。オーストラリアは3大キャリアでの取り扱いが始まりましたが、日本も伸び率は同じぐらいです。

モトローラ アジア・パシフィックの業績も伸びている

―― となると、日本でもキャリア経由の販売が増えれば、さらに伸びそうですが、そこはいかがでしょうか。

松原氏 ステップ・バイ・ステップだと考えています。まず消費者の方々に支持していただけるようなブランドに育てていかなければならない。まだまだなので、急がず、着実に、ステップ・バイ・ステップで進めていきます。

―― 一方で、OPPOやXiaomiなどの中国メーカーが日本市場でアクセルを踏み始めています。ここにはどう対抗していくのでしょうか。

松原氏 確かに中国メーカーはかなりスタートが速く、投資もしているので、いい成果が出ています。弊社も後追いのような形で再スタートを切りましたが、モトローラには(中国メーカーとは)別のブランドバリューがあると思っています。グローバルのスケールを生かしたコストメリットやスピード感はありますが、独自のカラーも打ち出せるブランドだと思っています。そこはどんどん追求していきたいですね。まだまだスタート地点だと思っているので、まずはいい製品を出し、勢いが出てきたと認識していただけるよう、努力していきます。

取材を終えて:日本市場でのローカライズをどこまで続けていけるか

 OPPOやXiaomiといった中国メーカーが続々と日本に上陸し、ローカライズも素早く進めている中、モトローラはやや出遅れている印象もあった。moto g52j 5Gは、その遅れを挽回するための起点となる1台といえる。おサイフケータイや防水・防塵に対応し、価格もオープンマーケットでの売れ筋に近い。もともと製品の品質には定評があっただけに、反響も大きかったようだ。

 こうした取り組みをきちんと続けていくことができれば、日本市場での存在感は徐々に大きくなりそうだ。評判を積み重ねていけば、キャリアでの販売が拡大することも十分ありえるだろう。今は日本専用モデルにとどまっているおサイフケータイだが、今後はプレミアムモデルに広がっていくことにも期待したい。

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