au/UQ mobile/povo携帯電話の通信障害は解消 焦点は「再発防止策」と「情報周知」に(2/2 ページ)

» 2022年07月06日 00時00分 公開
[井上翔ITmedia]
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質疑応答の主なやりとり

 説明の終了後、説明会に登壇した吉村和幸専務(技術統括本部長)と山本和弘執行役員(技術統括本部 副統括本部長 兼 エンジニアリング推進本部長)が質疑に応じた。その中でも、特に注目すべきやりとりについて体裁を整えてお伝えする。

補償について

―― 契約約款では(24時間以上連続して通信できなかった場合に)補償を行うことになっていると思うのですが、どのように対応するか決まっていることがあれば教えてください。

吉村専務 まず、原因究明と再発防止策の検討をしっかりと行います。その過程で、影響の範囲等を確認した上で、お客さまに対する補償も検討します。個人のお客さまはもちろん、法人のお客さまも同様です。

損害賠償 KDDIと沖縄セルラー電話の携帯電話の契約約款には「損害賠償」の項目があり、自社の責によって全く通信できない状況が24時間以上継続した場合は日割りで賠償(補償)することになっている(画像はKDDIと契約する「au 5G」の契約約款より)

総務省からの技官派遣について

―― 総務省がKDDIに(連絡係として)技官を連絡したという話を伺いました(参考記事)。どのような活躍をされたのでしょうか。

吉村専務 総務省の技官の方々に来ていただいて、さまざまな助言をいただきました。中でも「利用者に対するきめ細かい情報開示が必要」という助言はありがたかったです。

―― あまり技術的な助言はなかったのでしょうか。

吉村専務 技術的な部分については、どれというわけではないですが、いろいろな視点でご質問などをいただきました。異なる視点を入れたという点では良かったと思っています。

ネットワーク構成について

―― 7月4日にネットワークから切り離したVoLTE交換機なのですが、これは現在も切り離された状態なのでしょうか。

山本執行役員 6台は切り離した状態のままです。今後、故障の内容や原因を調査して、正常に動作することを確認できてから(ネットワークに)組み込もうと考えています。その際は、輻輳などトラフィックに影響を与えない形で検証した上で実施します。

切り離し 過剰な制御信号を出していた6台のVoLTE交換機は、現在も切り離されたままになっている

―― 「緊急時に他事業者へとローミング(ネットワークの借用)ができれば今回のようなことは起きなかった」という指摘もあるのですが、ローミングの有効性はどう考えていますか。

吉村専務 ローミングについては、端末やトラフィックなど、技術的に解決しなければならない課題がたくさんあります。すぐにできるものだとは考えていません。総務省でもいろいろと検証するそうなので、一緒に検討していければと思っています。

―― 今回のようなケースにおいて、緊急速報メール(ETWS:地震津波警報システム)を使ってユーザーに告知することは可能だったのでしょうか。

吉村専務 今回はデータ通信については問題なかったので(技術的な側面から)周知できたかどうかは検討してみようとは思いますが、緊急速報メールは災害での利用が前提なので、すぐに使おうということにはならないと思います。今後、周知の方法は考えていこうと考えています。

―― ローミングに関連するのですが、緊急通報(110番/118番/119番)だけでも他キャリア経由で行える仕組みがあれば「命に関わる問題」を回避できるのかなと思います。海外を見てみると、一部の国ではSIMカードのない端末でも緊急通報だけはできる仕組みを取り入れていますが、KDDIとしてこのような仕組みをどう考えていますか。(筆者注:日本では法令の都合でSIMカードのない携帯電話を携帯電話ネットワークにつなげられないため「SIMなし緊急通報」ができない)

吉村専務 海外の事例は聞いております。総務省でも会合において「災害時における他社ネットワークの利用」については検討されています。「せめて緊急呼(緊急通報)だけでもできないか?」という意見も出ていますので、引き続き弊社としても一緒に検討できればと思っています。

―― 記憶が確かなら、先ほどの質問で出た話は2011年の東日本大震災直後に検討されたものだと思います(参考リンク)。それから11年たちましたが、それとは別に検討されているものでしょうか。

吉村専務 2021年の夏頃から、総務省で通信の強靱(きょうじん)化を図る検討の1つとして挙がっていると認識しています。まだ初期段階という認識です。



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