中国で第4のキャリア「China Broadnet」がサービス開始 ゼロからどこまでユーザーを獲得できる?山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2022年07月08日 13時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

 中国で4社目となる通信事業者、China Broadnet(チャイナブロードネット、中国広電)が2022年6月27日から中国各地で5Gサービスを開始した。中国は現時点で世界最大の携帯電話契約者数を誇るだけではなく、5G契約者数でも他の国を大きくリードしている。China Mobile(中国移動)、China Telecom(中国電信)、China Unicom(中国聯通コム)に次ぐ第4のプレイヤーの登場で、中国は世界に先駆けて国内全土の「オール5Gネットワーク」化を広げようとしている。

中国広電 中国でサービスを開始したChina Broadnet

国際競争力を高めるために先行して5Gをスタート

 中国の通信事業は2008年に3Gサービスが始まり、4Gは2013年に開始された。どちらも事業免許の正式交付前にテストサービスが先行で開始され、大都市などである程度のインフラが整ったのちに免許が交付されてきた。そして5Gは2019年6月に既存の3事業者に加え、新たにChina Broadnetに免許を交付。4社は免許交付後から順次5Gサービスを開始していった。中国の5Gは当初2020年頃に事業者免許が交付される予定だったが、2019年4月に韓国と米国で5Gが始まり、その後、欧州でもサービスインが続くなど、他国の状況を見て前倒しされた格好となった。

 中国は3Gで独自技術「TD-SCDMA」の世界展開に失敗し、4Gでは世界に約10年遅れてのサービスインとなったことから、5Gでは後れを取られまいと先に免許交付を行い事業者のサービス開始を促した。これは5Gが従来の「通信インフラ」から、あらゆるものをつなげる「社会インフラ」になることを見越し、関連産業の国際競争力を高める目的もあった。Huaweiなどのインフラ企業、世界の過半数のシェアを握る国内スマートフォンメーカー、またインターネットサービスなど中国が世界の技術をリードするためには5Gの開始で世界に後れを取るわけにはいかなかったのだ。

China Broadnetはデータ強化で勝負をかける

 China Mobile、China Telecom、China Unicomの3社は2019年10月31日に5Gの料金プランを公開し、翌11月から順次サービスを開始していった。この3社は既に既存のインフラを持っており、5Gの展開準備は免許交付前から行っていた。一方China Broadnetは一から携帯電話ネットワークを構築する必要もあり、免許交付から3年たってようやくのサービス開始となったのだ。

 China Broadnetの料金プランは最低額が月額38元(約780円)で通話50分、データ10GBから、5G向けのデータ量を増やした「5Gパッケージ」は最低プランが月額118元(約2400円)で200分+40GB、そして最上位プランの月額588元(約1万2000円)、1600分+398GBまで合計10の料金体系を提供する。既存の3事業者の近似の料金と比べると、音声通話は少なくデータ量は多い。5Gネットワークによるサービスを展開することもあり、データ強化型の料金で勝負をかけるようだ。

中国広電 China Broadnetの料金プラン

ゼロからどこまで顧客を獲得できるかは未知数

 China Broadnetが新たに加わったことで、中国の通信業界はどのように変わるのだろうか。まずは既存3社の力関係を確認しておこう。2021年末時点の3者の携帯電話加入者数は、China Mobileが9億5689.2万人、China Telecomが3億7243万人、China Unicomが3億1711.5万人で、3社の合計は16億強に達する。この中で加入者の比率を比べると58%、23%、19%となり、China Mobileだけで過半数を占めている。

 このような状況の中で、China Broadnetがゼロからどこまで顧客を獲得できるかは未知数だ。まずは親会社が全国展開している本業のCATVの顧客の加入を促すとともに、キャンペーンなどによる低料金を提供しユーザー増を図るだろう。192で始まる新番号もいわゆる「良番」がそろっており、5Gの加入を機に電話番号を変えようという消費者も多いだろう。中国ではほぼ全てのスマートフォンがデュアルSIMに対応しているため「1枚は既存事業者のSIM、もう1枚は新しくChina BroadnetのSIM」とすれば、現在の電話番号を維持したまま新番号を使うこともできる。

中国広電 China Broadnetの携帯電話番号は192から始まる

 China Broadnetに対し既存の3事業者も値下げなどに踏み切るだろうから、今後は5G料金の値下げやさまざまな優待キャンペーンなどが活発に行われるだろう。消費者にとっては競合会社が増えることでメリットを受けることができそうだ。

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