Pixel 6a最大の特徴は、プロセッサにハイエンド級の処理性能と機械学習処理に強みを持つ「Google Tensor」と6GBメモリを搭載した点だ。上位モデルPixel 6 Pro/6と同じもので、5万円台Androidスマホでは突出した処理性能を実現している。メモリはPixel 6 Pro/6の12GB/8GBと比べると少ないが、複数のアプリをよほど積極的に活用しない限り実用上の差は少ない。ストレージは128GBで、microSDには非対応だ。
iPhone SE(第3世代)は13シリーズと同じ最新ハイエンドチップの「Apple A15 Bionic」を搭載。メモリ容量は各種アプリで確認する限り4GBだ。iPhone SEシリーズは以前から低価格帯で画面サイズやバッテリー持ちに制約があるものの、アプリやゲームの動作に関してはハイエンドと同等の快適さを実現している。
では、総合ベンチマークアプリの「AnTuTu」で比較してみよう。参考として、最新ハイエンドチップのSnapdragon 8 Gen1と、5万前後のミドルクラスで採用の多いSnapdragon 695 5Gの参考値も併記している。
結果だが、Pixel 6aがiPhone SE(第3世代)に肉薄している。ここ1〜2年のハイエンドスマホと呼べる性能だ。最新のSnapdragon 8 Gen 1と比べるGPU性能で差をつけられているが、これら2機種でも大半のアプリやゲームを快適に動かせる。同じ5万円前後のミドルクラスで採用されているSnapdragon 695 5Gの結果と比べると、圧倒的な性能を実現していることが分かるだろう。
高い処理性能を要求するゲーム用途だが、Pixel 6aもiPhone SE(第3世代)ともに「ウマ娘 プリティーダービー」はもちろん、PCや家庭用ゲーム機級の処理性能を求める「原神」も中設定(30fps)で問題なく動かせた。動作の軽快さについては、iPhone SE(第3世代)の方が画面の解像度が低い分負荷が軽く有利だ。だが、実際のプレイに関しては大画面のPixel 6aの方が遊びやすいといえる。
ゲームなど高付加処理時の放熱だが、Pixel 6aは側面の金属フレーム部分を中心に熱くなる。直接手で触れる部分に熱が集まっているので、ケース無しだと利用者は熱くなりやすいスマホだと感じるだろう。
また、Pixel 6aは発売前の試用だからか気になる点が幾つか見られた。同じチップの上位モデルPixel 6では発売後のアップデートで一部ゲームの動作がやや快適になっていたが、Pixel 6aではややぎこちなかった。また、Pixel 6と違い「設定→アプリ→ゲームの設定」からゲーム支援のゲームダッシュボードを有効にできなくなっている。
だが、「Digital Wellbeingと保護者による使用制限→サイレントモード→スケジュール」にはゲーム支援の設定が残っており、時々気まぐれにゲーム中にゲーム支援の機能が動作するなど不可解な点がある。
試用した発売前のモデルは、最新状態のPixel 6 Pro/6と比べるとカーネルなどのバージョンが古いことが関係しているのかもしれない。発売後のアップデートで改善されることを期待したい。
搭載バッテリーだが、Pixel 6aは4410mAhと大容量の部類。iPhone SE(第3世代)は非公開だが、iPhoneシリーズの中で一番動作時間が短い。
実際にYouTubeの1080pライブ映像を再生し続けて、バッテリーの持ちを計測してみた結果が以下の通りだ。
なお、画面の明るさは両モデルでディスプレイパネルの種類や明るさとスライドバーの対応基準が異なる。そこで、明るさを輝度計測と目視の印象の両面で近づけ、Pixel 6aを70%、iPhone SE(第3世代)を50%に設定してテストした(自動調整はオフ)。
結果、Pixel 6aの方が大画面にもかかわらず、バッテリー駆動時間は倍とまで行かないが長く持つことが確認できた。実際に外で使っても、Pixel 6aは1日の持ち歩き程度ならバッテリーがなくなることは少ないだろう。AQUOSなど一部メーカー製のように徹底的に消費電力を抑えて数日持つわけではないが、少々ヘビーに使っても1日は持つという印象だ。一方、iPhone SE(第3世代)は少々ヘビーに使うと1日持たずにバッテリー不足に陥ることもあり、モバイルバッテリーを常時携帯したくなる。
充電はPixel 6aがUSB Type-CのUSB PDに対応。iPhone SE(第3世代)も付属のLightningケーブルを用いてUSB PD充電器につなげば最大20W充電が可能だ。いずれも、別途USB PDで20W以上対応の充電器を用意しておけば急速充電を利用できる。一般的なスマホと同じく、0%から50〜70%あたりに達するまでの充電が高速で、満充電に近づくと安全性やバッテリー寿命を考慮して充電のペースが落ちていく。
USB PD対応充電器で、0%から30分後の充電量と100%までの時間を以下に掲載する。
バッテリー容量の違いはあるものの、Pixel 6aもiPhone SE(第3世代)も30分あれば半日使える程度は充電できる。充電し忘れても朝の準備中にある程度充電して、また昼ごろに再充電できれば1日持つだろう。
Pixel 6aはワイヤレス充電に非対応だ。とはいえ、4410mAhもの大容量バッテリーになると高出力のワイヤレス充電器でも非常に時間がかかる他、近年はワイヤレスイヤフォンのバッテリーの駆動時間は長いので、無くても問題はないだろう。
iPhone SE(第3世代)はワイヤレス充電対応だが、MagSafeの磁力での吸着や最大15W充電には非対応、一部機器で最大7.5W充電ができるだけにとどまり、やや影の薄い機能となっている。
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