「Pixel 6a」と「iPhone SE(第3世代)」を徹底比較 コスパに優れているのはどちら?(3/3 ページ)

» 2022年07月31日 07時00分 公開
[島徹ITmedia]
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利用の多い超広角&夜景モードが便利 被写体を消せる消しゴムマジックも

 Pixle 6aは広角1220万画素と、超広角1200万画素のカメラを搭載。インカメラは800万画素だ。夜景モードや星空撮影にも対応する。動画は最大4K/60p対応、240FPSスローモーション撮影も可能だ。

 iPhone SE(第3世代)は広角1200万画素、インカメラ700万画素となっている。夜景モードには対応していない。動画は最大4K/60p対応、240FPSスローモーション撮影も可能だ。

Pixel対iPhone 左からiPhone SE(第3世代)、Pixel 6a。Pixel 6aは超広角カメラも搭載し、狭い場所や広い風景の撮影に強い

 カメラの性能は、Pixel 6aが超広角と夜景モード対応という点で圧倒的に使いやすい。きれいな風景を撮りたい、狭い場所で多くの人を撮りたいときにこれらの機能は便利だ。超解像ズームの解像感もPixel 6aの方がやや良好。インカメラもPixel 6aの方が明暗差に強いという印象だ。

 発色はPixel 6aが見栄えの良い鮮やかな写真へと補正する一方で、iPhone SE(第3世代)は標準設定だと肉眼の印象を尊重しつつやや補正する程度に収めている。とはいえ、Pixel 6aも一般の利用者がきれいに撮れてうれしいと感じる程度の補正なので問題はない。気になるのは、Pixel 6aは従来モデルと同様に撮影後の写真をすぐに表示しようとすると、後処理の時間やや待たされる点ぐらいだ。

Pixel対iPhone Pixel 6aの広角で撮影
Pixel対iPhone Pixel 6aの超広角で撮影
Pixel対iPhone Pixel 6aのデジタルズームで撮影
Pixel対iPhone iPhone SE(第3世代)のカメラで撮影
Pixel対iPhone iPhone SE(第3世代)のデジタルズームで撮影

 夜景の撮影については、Pixel 6aのみ夜景モードに対応。撮影から5秒間本体をしっかり持っておけば、暗い夜景も明るく撮影できる。

Pixel対iPhone Pixel 6aで夜景モード撮影。約5秒間、中央のガイドがあまりぶれないようにカメラを構えて撮る
Pixel対iPhone Pixel 6aの夜景モード
Pixel対iPhone 通常撮影。夜景モードは手前の店舗やビルを明るく撮影できている
Pixel対iPhone iPhone SE(第3世代)は夜景モード非搭載。奥の明るいビルの照明周りが白飛びし、手前の建物は暗く細部もあまり描写できていない

 ちなみに、夜景モードを上位機種Pixel 6 Pro/6(1/1.31型センサー)とPixel 6a(1/2.55型センサー)で比較すると、センサーサイズの大きいPixel 6の方が低ノイズで明るい。これは星空撮影モードの品質にも大きく影響する。旅や登山用に星空撮影を含む小型カメラとしてPixelの購入を検討している人は、Pixel 6 Pro/6を選ぶことをオススメする。

Pixel対iPhone 上位モデルPixel 6の夜景モード。センサーが大きいこともあり、Pixel 6aと比べより明るくローノイズで撮影できている

 Pixel 6から引き継いだ機能として、撮影した写真で不要な被写体を消す、または目立たなくする消しゴムマジックを搭載。これはフォトアプリの編集から利用できる。観光地での撮影に便利だ。

Pixel対iPhonePixel対iPhone 消しゴムマジックを使えば、人通りの多い観光地などの写真を、人の少ない写真へと加工できる

 Pixel 6aのカメラ周りの機能は、センサーサイズを小さくしながらも撮影処理でうまくハイエンド並の撮影体験を維持している。iPhone SE(第3世代)より便利なのはもちろん、どちらかといえばiPhone 13に近い実力を持っているといえる。

アップデートや対応ネットワークはどうか

 この他の点だが、Pixel 6aではPixel 6と同様にオフラインでも使える通訳・翻訳機能や、リアルタイムで文字起こし可能なボイスレコーダーといった機能も搭載している。海外の情報に積極的に触れたい人、ボイスレコーダーの利用が多い人にとってはこの機能だのためだけに買う価値がある。

Pixel対iPhone オフラインでも利用できる音声認識対応の翻訳機能。オンライン環境なら二人の会話を高速かつ自動的に認識してそれぞれの言語に逐次翻訳してくれる

 Pixel 6aのOSアップデートは最低3年、セキュリティアップデートは最低5年だ。iPhone SE(第3世代)のアップデート提供も相当長いと思われるのでこの点は互角だろう。

 通信周りだが、au回線とソフトバンク回線は自社でも販売するだけあって問題なく利用できる。また、NTTドコモや楽天モバイルの回線にも対応している。Googleストアから購入してY!mobileやUQモバイル、楽天モバイルで使う人も多いだろう。

 ドコモ回線の場合、5G Subー6うちn78には対応しているが、n79に非対応という点がやや話題となっている。だが、外で両方を持ち歩いたところ、n79対応のiPhone SE(第3世代)の方がアンテナピクトに5Gと表示されるエリアは広いが、実際に高速通信が可能なエリアはさほど差がなかった。今後はドコモも4G周波数帯の5G転用が進むとみられるので、利用者目線からするとよほど比較しなければ違いを認識できなくなるだろう。

Pixel対iPhone ドコモの5Gも問題なく利用できる。筆者の試した限りでは、現在も5Gの高速通信を安定して利用できるエリアは限られており、n79対応・非対応をあまり気にする必要はないように思えた

 むしろ、ahamoでXperia 1 IIやGalaxy S20が安価に販売されており、Pixel 6aとどちらを選ぶべきかの方が悩みどころだろう。

Pixel 6aのコスパや性能は非常に良好 あとは日本市場での信頼感だ

 ここまでPixel 6aをiPhone SE(第3世代)と比較しつつ紹介してきた。画面サイズや音、処理性能、カメラなど多くの点で同等かそれ以上の性能をもった、非常に魅力的なモデルに仕上がっている。本体の性能だけでいえば、今オススメのスマホはPixel 6aといっていいだろう。今後iPhoneの高値に付いていく気がなく、Androidへの移行を考えている人にとっても魅力的に映るのではないだろうか。

 ただ、Pixel 6aを手放しでオススメできない点もある。というのも、PixelシリーズはハイエンドPixel 4、ミドルハイのPixel 5、独自チップの大画面Pixel 6と毎回コンセプトが変わっており、継続して買い換えにくい。次のPixel 7は早期にPixel 6の後継モデルだと発表しているが、人に勧められるほどの信頼を得るにはまだ時間が必要だろう。

Pixel対iPhone Googleは5月にPixel 7 ProとPixel 7を今秋発売と発表。次世代Tensor搭載や、Pixel 6シリーズを踏襲したデザインを公開している

 また、ゲーム動作の話題でも触れたが、歴代Pixelは発売直後の状態だと完成度があまり高くないのも気になる。ガジェット好きが遊びで買うならそれも楽しめるのだが、一般の利用者がメインのスマホとして購入する場合は不安しかない。日本の利用者をより多く取り込むには地道に支持を集める必要がある。

 実際に触っていても、今からスマホを買うならPixel 6aは画面サイズや性能、価格の面で指名買いしたくなる魅力にあふれたモデルとなっている。店頭での販売価格も含めて要注目のモデルなのは間違いない。

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