シャープに聞く「AQUOS R7」の進化点 1型センサーのカメラとIGZOディスプレイは何が変わったのか開発陣に聞く(2/3 ページ)

» 2022年08月12日 11時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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滑らかさと省電力を両立させた6.6型Pro IGZO OLEDのディスプレイ

―― ディスプレイに関してAQUOS R6から進化したポイントを教えてください。

岡坂氏 AQUOS R7でもAQUOS R6から引き続き10億色表示などを継承しています。一般的な動画コンテンツで求められる性能はそれほど多くないと認識していますが、AQUOS R7のディスプレイ性能を生かして快適に映像コンテンツを楽しんでもらうべく、フレーム補間やAI超解像といった映像処理に力を入れました。

関氏 フレーム補間はテレビでよく用いられる用語ですが、それをAQUOS R7でも搭載しました。前後フレームから中間フレームを予測生成することで、フレームレート数を倍増させることが可能になります。それにより、滑らではっきりとした映像を楽しんでもらえます。

AQUOS R7 前後フレームから中間フレームを予測生成するフレーム補間

 もう1つのAI超解像については、AIを用いた超解像アルゴリズムで低解像度の動画をリアルタイムに変換します。元の映像の解像度に合わせたディテール復元を行うため、きめ細かで解像感の高い映像を再現できるというものになります。例えば、元の映像では視認しづらかった草木や枝のディテールが、AI超解像によってはっきりと見えるようにしています。

AQUOS R7 関氏

―― なるほど。解像度はどうなるのでしょうか。

関氏 例えば、720×480ピクセルの映像をそのままスマートフォンで表示すると、ぼかしたような映像に見えてしまいます。それを1920×1080ピクセル相当にアップさせています。ただ、AQUOS R7のディスプレイは4Kパネルではないため、仮に必要以上に解像度を向上させても見た目に大きな変化がでない。ですから、フルHDから4Kへは対応しません。

AQUOS R7 元の映像では視認しづらかった草木や枝のディテールが、AI超解像によってはっきりと見える

―― DRMコンテンツはAI超解像には対応していません。

関氏 先々を考えると検討すべきだと思いますが、NetflixやHuluなど有料系の動画は非対応です。

平嶋氏 DRMの保護処理が入っているものには、われわれメーカーが手を入れられません。基本的にはAQUOS R7のディスプレイよりも解像度の低いコンテンツを持ち上げるイメージです。

―― 120Hz駆動に関しては、他社が追い付いてきたようです。シャープの優位性はどこにあるとお考えでしょうか。

岡坂氏 大きく2点あります。まず1点目が240Hz駆動です。おっしゃるように120Hz駆動のスマートフォンが増えているなか、われわれは120Hz駆動の合間に黒画面を挿入することで、残像の少ない240Hz駆動を実現しています。動きの速いゲームなどで高いスコアを狙いたい方にとって重宝すると考えています。

AQUOS R7 岡坂氏

 2点目は常にアイドリングストップです。常時120Hz駆動ですとバッテリー消費への影響が大きくなりますので、表示の更新がないときには書き換え速度を1Hzまで低下させて、動きの多いシーンでは120Hzまで可変駆動させます。これにより、消費電力を削減できます。

 ちなみに、他社にも書き換え速度を変えることが可能な製品が存在しますが、われわれはこのような技術を液晶モデルから取り入れてきたので、その点に関しては先行していると自負しています。

指紋センサーに対応した保護フィルムが増加

―― AQUOS R7はQualcomm 3D Sonic Max(3D超音波指紋センサー)ですが、これまでのAQUOS R6のセンサーと何が違いますか。

平嶋氏 結論から申し上げると同じものになります。メリットは一般的な超音波式センサーと比べ、AQUOS R7の方が認識できる領域が広いことです。センサーを狙って指を置かなくても、しっかりと認識できますので、即座にロックを解除できます。AQUOS R6から継続して同じものを使うことで、検証期間やチューニング期間が長くなります。アクセサリーメーカーさんと早い段階から共同検証が行えます。

AQUOS R7 スピーディーにロックを解除できるAQUOS R7の3D超音波指紋センサー

―― 保護フィルムの種類によっては指紋認証ができないという課題がありました。これは改善されたのでしょうか。

平嶋氏 AQUOS R6に対応した指紋認証の保護フィルムはそれほど多く存在していませんので、お客さまにご不便をおかけしていたと認識しています。超音波式であるがゆえに薄さや偏光特性、素材などによっては認証できないことを把握していました。特にブルーライトカットの表面処理が施されたフィルムや、硬くて分厚いフィルムですと認証しづらいことが分かっています。

 具体的な数はお伝えできませんが、AQUOS R7では対応する保護フィルムの種類が増えています。とはいえ、技術的なブレークスルー、調整によって改善できるように、引き続き取り組んでいく考えです。

―― 市販の保護フィルムがAQUOS R7の指紋認証に対応しているか否かを、ユーザーが見分ける方法はありますでしょうか。

平嶋氏 家電量販店で売られているもの(そのメーカー)にも記載を弊社側からお願いしていますので、すぐに見分けられるようになっています。オンラインで販売されているものに関しましては、DESIGN FOR AQUOSというページから対応/非対応を確認できます。

AQUOS R7 平嶋氏

―― 光学式だとどうなるのでしょう?

平嶋氏 フィルムの観点でいうと超音波式よりも光学式の方が認証しやすいです。ただし、超音波式の方が光学式よりも認証速度が速いですし、センサーが小さいのでスペースを取らないです。メリットとデメリットがそれぞれにあると考えています。AQUOS R7のデザイン性を重視したりするという意味では超音波式を採用したかったです。

―― 認証精度はAQUOS R6から向上したのでしょうか。

平嶋氏 長期に渡り検証を行いましたから、少なからず向上していると思います。ですが、冬場などで指が乾燥し過ぎて使えない……という課題は残っていますし、これは超音波式と光学式のどちらにも当てはまることだと思います。

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