ゲオが税込み1万円を切る価格で、完全ワイヤレスイヤフォンを販売しているのをご存じだろうか。ゲオがおすすめする3モデルの音質、耳への付け心地を中心にレビューする。記事内の価格は全て税込み。
GRFD-TWS T39はアクティブノイズキャンセリング(ANC)を搭載した完全ワイヤレスイヤフォン。左右それぞれに8mmのダイナミックドライバーを1個ずつ搭載し、低音域が強みとされているモデル。価格は6578円となっている。付属の充電ケースはワイヤレス充電に対応し、イヤフォンのみIPX5等級の防水性能を確保している。
GRFD-TWS DT06は3278円ながら、aptXコーデックに対応したモデルで、雑音をカットしてクリアな通話が可能なQualcomm cVc(Clear Voice Capture)8.0を採用した点が売りの1つとなっている。イヤフォンのみIPX4等級の防滴性能を確保している。片耳当たりの重量は約4.2gと3モデルの中で最も軽量だ。
GRFD-SWE100QT13の最大の売りは価格が2178円と3モデルの中で最も安い点。上記2モデルほど高機能ではないが、イヤフォンのみIPX5等級の防水性能を確保している。
まずは気になる音質からチェックしていく。GRFD-TWS T39は全体的なクリアさが際立ち好印象。音場は他の2モデルよりも広く、ドンドンシャリシャリという印象よりも少しワンランク上の上質な音が響くイメージだ。弦楽器もきれいに再現できているし、音圧の高い楽曲でもそれぞれが潰れすぎずバランスよく聞こえる。8mmのダイナミックドライバーが音質に大きく貢献していると感じた。6578円でも他の2モデルと大して変わらないでしょ? と少しなめていたが、実際は価格以上のクオリティーである。
GRFD-TWS DT06はやや中音域が強めにでる印象。音場は狭く迫力に欠ける。ギターのカッティングやハイハット、それにボーカルはクリアに聞こえるが、それでも全体的にはもう少しずっしりと響いてほしい部分があった。その点はやはり低価格の裏返しなのかもしれない。
GRFD-SWE100QT13は低音域よりも高音域の方がはっきりと聞こえる印象だ。ただし、リズミカルな楽曲で使用されるクラップやシンバルなどの繊細な音がややつぶれがち。よくシャリシャリした音という言い方をするが、GRFD-SWE100QT13はまさにそれに該当する。とはいえ、低価格なイヤフォンとしては十分音質がいいと思う。音場はそこまで広くなく、かなり耳元で音が鳴っているような印象だ。
通話時の音質に関して結論からいうと、実使用においてもうたい文言通りクリアだった。
3モデルの共通点は周囲のさまざまな雑音を除去できるとされるENC(Environment Noise Cancellation)デュアルマイクを搭載している点。このうちGRFD-TWS T39とGRFD-SWE100QT13は、デジタル信号処理に特化した機能を持つマイクロプロセッサの一種であるDSP(デジタルシグナルプロセッサ)を搭載している。
GRFD-TWS DT06にはDSPではなくcVc8.0が備わり、通話中のノイズを軽減できていたものの、他の2モデルとの差はほとんど感じられなかった。
ANCのON/外音取り込みモード/OFFを切り替えるには左右どちらかのイヤフォンを約4秒押し続ける。
実際にANCをONにして装着してみると、周囲の環境音は聞き取りづらくなるが、電車の接近音や駅構内の案内放送など、大きな音は完全にかき消されない。外音取り込みモードにすると、音楽がかなり聞き取りづらくなる代わりに、ANCをONにしたときよりも数メートル離れた場所にいる人の話し声が聞こえやすくなり、環境音もやや大げさに聞こえた。OFFにすると、音楽と周囲の音の両方が他のモードよりもやや聞き取りやすくなる。
あいにく飛行機に乗る予定がなかったため、空港や機内では試せなかったが、カフェや人の話し声がやや騒がしい環境なら、GRFD-TWS T39のANCが役立つと感じた。
GRFD-TWS T39と、GRFD-SWE100QT13の装着感ははっきりいって不快。それは昔のAirPodsのように耳からうどんが垂れたような形状で、本体の一部が耳たぶに接触するから。耳の穴に合うかどうかではなく、この形状そのものが好ましくない。一方で、首を振ったり走ってみたりしたときに、耳から落ちることはなかった。この形状ゆえに親指と人差し指でつまんで取り付け/取り外しがしやすい点は評価しておきたい。
残るGRFD-TWS DT06はどうなのかというと、指でつまめる面積は上記2モデルよりも少ないが、その分だけ付け心地はよかった。
ちなみに、片耳の重量はGRFD-TWS DT06が約4.2g、GRFD-SWE100QT13が約4.4g、GRFD-TWS T39が約4.6gとなっている。3モデルのグラム数の体感差はほとんど感じられないが、それでもGRFD-TWS DT06はコンパクトな点と重量が相まって長時間利用しても負担が少ないと感じた。
続いて接続方式についてチェックしてみる。3モデル全てが左右同時伝送方式を採用しているため、極端に電波が干渉しやすい環境で使わなければ、安定した接続が可能だ。
数ある完全ワイヤレスイヤフォンの中には、スマートフォンから左のイヤフォンへ、さらに左のイヤフォンから右のイヤフォンへという順に、音声信号のデータを受け渡すリレー方式を採用する製品も存在するが、左右同時伝送方式では左右のイヤフォンがそれぞれ個別にデバイスと通信を行うため、音声遅延が発生したり、左右のどちらか一方が極端に電池持ちが激しかったり……といったデメリットはないとされている。
最後にバッテリー容量や充電時間などについて触れておく。
イヤフォン(片耳)のバッテリー容量はGRFD-TWS T39が45mAh、GRFD-TWS DT06が43mAh、GRFD-SWE100QT13が45mAh。充電ケースのバッテリー容量はGRFD-TWS T39が600mAh、GRFD-TWS DT06が380mAh、GRFD-SWE100QT13が380mAhとなっている。
充電ケースの充電にかかる時間はGRFD-TWS T39が約3時間、GRFD-TWS DT06が約2時間、GRFD-SWE100QT13が約2時間となっている。充電ケースはいずれもUSB Type-Cケーブルで行えるが、充電ケースをワイヤレスで充電できるのはGRFD-TWS T39のみ。
連続音楽再生時間はGRFD-TWS T39のANC ONで約6時間、OFFで約8時間、GRFD-TWS DT06で約7.5時間、GRFD-SWE100QT13で約8時間となっている。
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