9月1日にソニーが国内投入を発表した「Xperia 5 IV」。キャリアからの発表も待たれる秋冬商戦向けの新モデルとなる。
Xperia 5 IVは、60mmの望遠レンズを含む3眼カメラを搭載しながら、幅67mmのコンパクトなボディーを実現した5Gスマートフォン。前モデルの「Xperia 5 III」からサイズ的にはほとんど変わらないが、シームレスズームに対応した点や、スピーカーの最大音圧が向上した点、シリーズとして初めてワイヤレス充電に対応した点など、Xperia 5 IIIからの進化点は多い。
そんなXperia 5 IV(開発中)の実機に触れる機会を得たので、外観を中心にXperia 5 III、Xperia 1 IVとの違いをチェックした。
まずはカラーを見ていく。Xperia 5 IIIではフロストガラスのような仕上げのフロストブラック、フロストシルバーに加え、光沢感のあるグリーン、ピンクが用意されていたが、Xperia 5 IVはブラック、エクリュホワイト、グリーンの3色全てがフロストガラスのような仕上げとなっており、もう1色秋を感じさせる色が欲しかったところだ。
Xperia 5 IVの最大の魅力はいわずもがな横幅だ。Xperia 5 IIIのサイズは68(幅)×157(高さ)×8.2(奥行き)mmだったのに対し、Xperia 5 IVは67(幅)×156(高さ)×8.2(奥行き)mm。横幅と高さは丸みをそぎ落としフラットになったので、1mm減りベゼルレスになっている。奥行きは同じだ。実際に手にしてみると特に持ちにくさは感じなく、前モデルよりもさらに細さが際立ち持ちやすかった。
重量は168gから172gへと増量。先代よりも軽量にしてほしかったところだが、後述のバッテリーの増量やワイヤレス充電対応により4g増した。それでも小型かつ細いことに変わりはなく、ずっしりどっしり感はない。
Xperia 5 IIIから大きく進化したのはカメラ。背面のアウトカメラは1200万画素の超広角(16mm F2.2)、広角(24mm F1.7)、望遠(60mm F2.4)の3つレンズで構成されている。全てのレンズが120fps読み出しに対応し、瞳AFやオブジェクトトラッキング、最大60回/秒のAF/AE(自動露出)演算処理による20コマ/秒の高速連写が利用できる。
Xperia 1 IVには被写体との距離を測る3D iToFセンサーがあるが、Xperia 5 IVにはない。そのため、撮影時に被写体を追従する機能に関して、Xperia 1 IVでは強いとされていた暗所でのAFは、Xperia 5 IVではやや弱くなっているという。ただし、暗所での手ブレ補正には強く、120fps高速読み出し対応のイメージセンサーと、ソニー独自のアルゴリズムによる「FlawlessEye」対応の光学式手ブレ補正に全てのレンズが対応する。
Xperia 5 IIIは70mmと105mmの可変式望遠レンズ、Xperia 1 IVは85mmと125mmの可変式かつ光学ズーム対応の望遠レンズを搭載している。それに対して、Xperia 5 IVは望遠カメラの焦点距離が60mmの単焦点で、以降はデジタルズームで処理する。
Xperia 1 IVで初めて対応したシームレスズームは、Xperia 5 IVでも利用できる。Videography ProアプリとPhotography ProアプリのBASICモードで動画撮影をする際にはシームレスにズームできる。
ディスプレイは21:9比率かつ6.1型のフルHD+有機ELだが、輝度がXperia 5 IIIから50%向上した。屋外では試せなかったが、室内でも十分な明るさだった。通常は120Hz駆動となっているが、ゲームプレイをする際には240Hz残像低減、240Hzタッチ検出が可能に。ゲームエンハンサーを使ったストリーミング配信も可能になった。
スピーカーから鳴る音のクオリティーもXperia 5 IIIから大幅に向上している。
ソニーいわく、チューニングは厳しく行っているとのことで、定位などを正しく再現できるようになったという。ソニー・ミュージックエンタテインメント バッテリースタジオのシニア・マスタリングエンジニアであるマーク・ワイルダー氏などが関わり、制作者がリスナーに届けたい音が本当に再現できているか、これを重点的にチェックしている。
特にXperia 5 IVでも際だっているのが、本体を横にした場合にユーザーへ向かって音を届けられるスピーカーの配置。ソニーはこれを「フルステージ・ステレオスピーカー」と銘打っている。このフルステージ・ステレオスピーカーがXperia 5 IVでさらに進化した。磁気回路に追加されたマグネットの数がXperia 5 IIIよりも増えたことで、駆動力を底上げできたとしている。
スピーカーユニットは専用のエンクロージャーに内蔵している。簡単にいえば、ユニットを専用の箱に取り付けた状態で、ユニットと箱をスマートフォンに内蔵しているということだ。実はこのエンクロージャー、Xperia 5 IIIではLだけがなかったが、Xperia 5 IVではL、Rともにエンクロージャーに収まっている。これによりステレオ感が増し、特に360対応コンテンツ視聴時には音が耳全体を包み込むような体感が得られる。
無駄な振動も少なくなった。Xperiaのスピーカーから音が出ると、リアパネルがそれを受けて振動する。この仕組みはXperia 5 IIIとXperia 5 IVとで大きな差はない。だが、Xperia 5 IVの背面に両手を添えて各コンテンツを聴くと、Xperia 5 IIIよりも振動が少ないのが分かる。これは誰が手にしてもはっきりと分かるくらいの差だった。
本来はスピーカーが聴く人の方へ音を届けなければならないが、実はこの振動のせいで失われた(聞き取りづらくなる)音が多かったのだ。振動で音が逃げてしまう、と表現すれば伝わるだろうか。Xperia 5 IIIでは聞き取りづらかったシンバル、ハイハット、シンセなど繊細な音はXperia 5 IVの方が耳へダイレクトに伝わってくるような印象を受けた。
それに加えて、振動によって失われがちだった音の定位や奥行き感が、Xperia 5 IVでははっきりと再現できていた。振動によってここまでの差がでるとは正直、驚きだ。これはぜひ体験してその差を確かめてほしいというのが率直な感想だ。
速報記事でも触れたように、Xperia 5 IVは360 Reality Audio、360 Reality Audio Upmix、LDACコーデック、高音質なレコーディングが可能なアプリ「Music Pro」にも対応している。
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