NTTグループ結集でXR体験を刷新 ドコモ新会社「NTTコノキュー」の狙い(3/3 ページ)

» 2022年09月29日 09時30分 公開
[石井徹ITmedia]
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「XRといえばコノキュー」と言われたい

 NTTコノキューは事業開始時点で600億円という資産を有し、NTTグループ各社のXR事業部から転籍・出向した200人程度の人員で事業を開始する。NTTドコモとしては、「スマートライフ事業」の一部と位置付けられており、中期経営計画においてドコモが表明した「2025年度に非通信領域での売上高2兆円達成」という目標の一部を担う事業となる。

 ARやVR、メタバースなどXR関連ビジネスは、世界的に注目が集まっている。2026年度に国内市場規模が1兆円を超えるとする予測(矢野経済研究所)もあるなど、今後大きな成長が見込まれる。

 ただし、現状のXR関連市場は期待先行の状況にあり、MetaやMicrosoftなど、米IT大手が大規模な投資を行っている他、日本の携帯キャリアではソフトバンクやKDDIなども新事業の一環としてサービスを展開している。

 この現状のXRサービスについて丸山氏は「ネットワーク、サービス、デバイスの各分野ともに、現状は価値あるサービスを提供できるギリギリの性能にあり、XRの普及のためにはこれから全体の技術レベルアップが必要」と指摘する。

NTT QONOQ AKBサーリアルのメンバーと、NTTコノキューの丸山誠治社長、同社マーケティング部門の赤沼純氏

 より具体的には「ネットワークは5Gの通信速度でようやく実用的になるという状況だ。デバイスは、レンダリング(画面描画)処理はサーバで行うクラウドレンダリングが理想だが、現状では一部しか実現できておらず、PC向けVRでは高価なグラフィックボードが必須となり、身近で手軽とはいえない」と丸山氏は話す。

 NTTコノキューが自社でサービス、ネットワーク、デバイスの各分野の技術開発を進める“全方位戦略”を取る背景には、こうした技術的課題がある。

 特にXRデバイスについては、現在市場で販売されている製品では重すぎる、価格が高すぎるといった難点もあり、NTTコノキューでは自社のXRサービスに最適化したデバイスを開発し、装着感を改善する方針だ。丸山氏によると、メガネ型デバイスで、VRやARに対応した製品の開発を検討しているという。

 また、ARやVR上でのサービスをどのように企業の収益へとつなげていくかは、各社が模索する段階にある。丸山社長は「XR関連ビジネスは確立したビジネスモデルはないと認識している」として、収益化につながるビジネスモデルを確立することも同社の目標だと説明した。

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