“実質0円”の施策も 「Pixel 7/7 Pro」で日本攻略を狙うGoogle、足りないピースは?石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

» 2022年10月08日 10時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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 Googleは、10月6日に同社の最新スマートフォン「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」を発表した。翌7日には、日本で記者説明会を開催し、同シリーズを投入する狙いや、日本での価格戦略などを明かした。Pixel 7は、2022年5月の開発者向けイベント「Google I/O」で投入が予告されており、外観のデザインや最大の特徴である第2世代の「Tensor」を搭載することは明らかになっていた。

 一方で、Pixelはハードウェア単体ではなく、ソフトウェアやAIが融合しているところに真の価値がある。新たに搭載される「Google Tensor G2」の上で、何ができるようになるのかが重要だといえる。裏を返せば、外観や搭載するチップだけを公開しても、2機種の全貌は見えない。発表より前にデザインを公開してもまったく問題がないというわけだ。では、Pixel 7、7 ProはTensor G2で何を実現したのか。その新機能ともに、日本での価格戦略を読み解いていく。

Pixel 7 Googleは、「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」の2機種を発表した。日本ではKDDIやソフトバンクも販売する

Google Tensor G2を搭載し、さらに進化したPixelのAI

 発表会に登壇したGoogleとAlphabetのCEO、スンダー・ピチャイ氏が「PixelにはGoogleのテクノロジーの根幹を組み合わせている」と語っていたように、同シリーズのコンセプトは初期のころから一貫している。それが、ハードウェアとソフトウェア、AIを掛け合わせることだ。「長年AIファーストの企業だった」(同)Googleが、得意とする技術をハードウェアの上で展開するためのスマートフォンとも言い換えることができる。

Pixel 7 Pixelのコンセプトを改めて語ったGoogleのピチャイ氏

 Pixel 7、7 Proは、そのAIをさらに進化させたスマートフォンだ。2機種とも、同社が独自に設計したGoogle Tensor G2を搭載し、機械学習の処理をさらに高速化するとともに、消費電力も落としている。GoogleでPixel Phonesプロダクトマネジメント ディレクターを務めるピーター・プルナスキー氏によると、「ML(Machine Learning=機械学習)モデルは60%高速化しており、電力効率も20%上がっている」という。

Pixel 7 Tensor G2により、PixelのAIがさらに高速、省電力化し、さまざまな新機能を実現できたという

 これによって実現したのが、顔認証やボケ補正、Pixel 7 Proでの30倍ズームといった新機能だ。顔認証は、かつて「Pixel 4」や「Pixel 4 XL」で採用されていたが、これは赤外線カメラやドットプロジェクターによって実現していたもの。採用されている技術や、顔を立体的に捉えて認証をより厳格にするコンセプトはiPhoneのFace IDに近い。インカメラに写る画像だけで分析していたわけではないということだ。

Pixel 7 顔認証に対応していたPixel 4、4 XL。超小型レーダーのSoliで、顔が近づいたことを検知し、認証を行っていた

 一方で、この仕組みはPixel 4、4 XLの1世代で終わってしまい、以降の端末には指紋認証が採用されていた。インカメラもイメージセンサーのみになり、同時に顔認証には非対応となった。カメラだけで平面的に捉える方式では、十分なセキュリティを確保できなかったということだろう。実際、他社のスマートフォンには、指紋認証と顔認証を併用できる端末もあるが、安全性が低下することを明記しているケースが多い。

 これに対し、Googleは機械学習を活用し、顔認証を復活させた。プルナスキー氏によると、「インカメラでは高度な機械学習モデルを使って顔認識を行い、便利な認証のためにベースとなるロックを解除できる」という。決済などの重要な情報にアクセスする際には顔認証は利用できないため、指紋認証やSoliほどの安全性はないとみられるが、少なくとも、機械学習を組み合わせることで、やや厳しめな画面ロック解除の基準はクリアできたといえそうだ。

Pixel 7
Pixel 7 Pixel 7、7 Proでは顔認証が復活。指紋認証と併用できる
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