Pixelの代名詞ともいえるAIを使ったカメラ機能にも、Tensor G2の処理能力を生かした新機能としてボケ補正が加わった。ただし、ボケ補正は手ブレやピンボケなどを解消できる機能。カメラではなく、Googleフォトに実装されており、過去に撮った写真にも適用できる。クラウドサービスのGoogleフォトではあるが、この機能もTensor G2を使い、端末上で処理を行っている。Pixel 7、7 Proの独自機能として搭載されているのは、そのためだ。
さらに、Pixel 7は最大8倍、Pixel 7 Proは最大30倍の超解像ズームに対応した。前モデルは、「Pixel 6」が最大7倍、「Pixel 6 Pro」が最大20倍で、どちらのモデルもズーム倍率は向上している。Pixel 7 Proにはペリスコープ型の望遠カメラが搭載されているが、この倍率は光学5倍。ここから先は、機械学習を組み合わせて写真の高画質化を行っている。Pixel 6 Proは光学4倍、超解像ズーム20倍だったため、ハードウェアと同時にソフトウェアやAIも進化した格好だ。
光学5倍を30倍まで引き延ばしと聞くと、ガビガビになった写真を想像してしまうかもしれないが、Pixel 7 Proの超解像ズームはいい意味で期待を裏切る仕上がりだった。数メートル離れた人の背ほどのボードに書かれた小さなサイン(ピチャイ氏が書いたものだ)がクッキリ写し出されており、ご覧の通り、筆圧のかかり具合まで判別できる。あくまで発表会の会場に展示されていた端末で試しただけだが、このズームからも機械学習の進化が感じられた。
Pixel 7 Proの望遠カメラは、4800万画素のクアッドベイヤーセンサーを搭載している。そのため、配列変換処理(リモザイク)をかけ、切り出しを行うことで10倍まで写真を引き伸ばせる。その写真をさらに3倍拡大するときが、超解像ズームの出番だ。また、2.5倍から5倍の範囲を撮影する際には、5000万画素のメインカメラと4800万画素の望遠カメラで撮った写真を合成し、仕上がりを向上させているという。
背景などに写り込んだ人や物を消せる「消しゴムマジック」も、さらに精度が上がっているという。Tensor G2を採用することで、「こうした既存の機能も、よりよく動かせるようになった」(同)。現時点では対応していないが、ボイスレコーダーの文字起こしでは、話者特定が可能になるなど、プロセッサの性能を向上させた恩恵は大きい。
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