Googleの新スマートフォン「Pixel 7」と「Pixel 7 Pro」が10月13日に発売されます。対象スマートフォンの下取り価格の大幅アップや次回以降に利用できるストアクレジットの付与により、Pixel 7は実質0円、Pixel 7 Proも実質2万7800円(税込み、以下同)で購入できる施策が大きな話題になっています。このあたり、大幅に価格がアップしたiPhone 14シリーズとは対照的です。ネット上でも、iPhoneからの乗り換えを検討しているという声を見かけるようになりました。
では実際のところ、そのスペックはiPhone 14/14 Proと比べてどうなのでしょうか。iPhoneとAndroidでは、OSもハードも全く異なるので単純なスペックの羅列だけでは分からないことも多いのですが、取りあえず基本スペックを比較してみます。
まずはサイズから。iPhone 14と14 Proでは、サイズはほぼ同じですが、Pixel 7とPixel 7 Proは、Pixel 7が6.3型、Pixel 7 Proは6.7型と一回り大きくなります。Pixel 7とiPhone 14を比べても、Pixel 7の方がわずかに大きく、そして重いです。近年のiPhoneは大きく重くなったという印象がありましたが、この点はPixel 7/7 Proが悪い意味で上回りました。もっとも、Pixel 6(207g)と比較すると、それでも軽量化はされています。
ディスプレイの仕様としては、Pixel 7とPixel 7 Proがピーク輝度で1400ニトと1500ニトになのに対し、iPhone 14は1200ニトですが、iPhone 14 Proは最大2000ニト(屋外)と頭1つ抜けています。コントラスト比もiPhone 14/14 Proは200万対1と Pixel 7/7 Proの100万対1を上回っており、スペックだけで画面のキレイさを比べると、iPhone 14/14 Proに軍配が上がりそうです。
最近のスマートフォンでは重要な要素となっているカメラ機能は、Pixel 7が50MPの広角と12MPの超広角、Pixel 7 Proは50MPの広角と12MPの超広角に加えて、48MPの望遠も搭載しています。
iPhone 14が12MP(広角)+12MP(超広角)、iPhone 14 Proが48MP(広角)+12MP(超広角)+12MP(望遠)なので、単純比較ではPixel 7/7 Proがわずかに勝ります。ただ、ハードスペックではなく、ソフトウェアでの作り込みにかかっているともいえるのが、スマートフォンのカメラ機能です。Pixelはシャープに、iPhoneは情緒的な写真に仕上がるともいわれていますが、このあたりは好みの問題もあるでしょう。それでも無理やりに比較するなら、Pixel 7 Proの超解像ズームは最大30倍に対応しており、望遠を多用するなら Pixel 7 Proの方が良さそうです
なお、Pixel 7/Pixel 7 Pro、iPhone 14/14 Proのどちらもメインのカメラでは光学式手ブレ補正に対応していますが、iPhone 14/14 Proは、これに加えてソフト的に手ブレを軽減するアクションモードを搭載します。アクションカメラ代わりにもなる強力な機能で、Pixel 7にはない特徴です。
そんな高度なカメラ機能を支えているのがSoC(プロセッサ)です。Pixel 7とPixel 7 Proは、第2世代となったGoogle独自のTensor G2を搭載。一方のiPhone 14はApple独自のA15 Bionic、iPhone 14 ProはA16 Bionicを搭載しています。
Tensor G2は、Pixel 6が搭載する前世代と比べて、機械学習の処理性能が60%高速化し、かつエネルギー効率も20%向上しているとのこと。とはいえ、前世代も含め、TensorはフラグシップではあってもハイエンドなSoCというわけではありません。執筆時点ではPixel 7はまだ発売されていませんが、ベンチマークの結果はSnapdragon 888やA15 Bionicに及ばないとの情報も出ていました。
ただし、Tensorは機械学習、要するにAI性能に特化したSoCです。スマートフォンの演算処理そのものは既に十分な性能を持っているとも考えられるので、それよりもリアルタイム翻訳や画像処理など、これまで以上に重要になってくる機械学習に力を振り分けるのは当然のアプローチのようにも思います。
そして、最後に価格です。Pixel 7の日本での価格は、128GBモデルが8万2500円。Pixel 7 Proの128GBは12万4300円。ちなみに米国での価格は、それぞれ599ドル(約8万7000円)と899ドル(約13万円)です。日本での税別価格(7万5000円と11万3000円)で考えると、1ドル125〜126円の計算です。現在の為替からすると、かなり安く設定されているのが分かります。
加えて、期間限定ではありますが、Pixel 7なら2万1000円、Pixel 7 Proなら3万5000円分のGoogleストアクレジットがもらえるキャンペーンも実施中。さらに、同じく期間限定でスマートフォンの下取りプラグラムでも大幅な増額を行っており、併用するとPixel 7は実質0円(下取りで最大6万1500円+ストアクレジット2万1000円、計8万2500円割引)、Pixel 7 Proも実質2万7800円(下取りで最大6万1500円+ストアクレジット35000円、計9万6500円割引)で購入できることに。
さらに、povo2.0がPixel 6a発売時に配布していたGoogleストアで利用できる10%オフのクーポンコードを使えば、Pixel 7は実質−8250円戻ってくる計算です。最新機種が行う割引キャンペーンとしては、破格といっていいでしょう。
最初に書いた通り、8月のiPhoneの値上げ、そしてiPhone 14シリーズの価格が高額だったこともあり、Pixel 7への乗り換えを検討する声を見かけるようになりました。iPhoneユーザーはiPhoneが欲しいのであって、スマートフォンが欲しいわけではないと考えていたのですが、そうしたiPhoneユーザーであってもPixel 7のコストパフォーマンスは無視できないもののようです。
結局のところ、単純なスペック比較では、Pixel 7/Pixel 7 Proの分が悪いと感じますが、価格を含めた総合力では勝っているともいえそうです。ただ、PixelとiPhone、どちらがいいかは使う人の好みの問題でもあるのでじっくり検討してほしいところ。とはいえ、Pixel 7を購入するなら下取りキャンペーンを行っている10月16日までが絶対にお得なので、決断は早い方がいいでしょう。
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