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クレカやデビットカードで増えてる謎の“波マーク” 一体ナニモノ?(1/2 ページ)

» 2022年11月12日 17時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 最近、クレジットカード、デビットカードやプリペイドカードに“波”が描かれることが増えています。新しく契約(取得)したカードはもちろんですが、再発行や更新して届いたカードにもこのマークが付いていた、ということもあるかもしれません。

 この“波”は、一体ナニモノなのでしょうか。そして、スマートフォンにも何か関係するのでしょうか……?

こういうマークです こういうマークの付いているカード、増えましたよね?

波マーク=タッチ決済対応カード

 結論からいうと、この“波”は「EMVコンタクトレス」という規格の非接触IC決済に対応していることを示す共通マークです。このマークは「リップルマーク(波マーク)」とも呼ばれており、EMVコンタクトレスに対応する決済端末、ICカードリーダーやカードに記されています(以下、EMVコンタクトレスによる非接触決済を「タッチ決済」と呼びます)。

 ただし、決済端末やICカードリーダーの場合、“ハードウェアとして”EMVコンタクトレスに対応しているという意味であり、実際にタッチ決済を利用できるかどうかは分かりません。決済端末やカードリーダーの設定状況、あるいは加盟店とアクワイヤラー(決済を担当するカード会社)との契約次第なので、店頭の掲示をよく確認しましょう

EMVコンタクトレスマーク(端末) リップルマークは、EMVコンタクトレスに対応する決済端末やICカードリーダーにも記載されています。ただし、マークがあるからといってタッチ決済を利用できるとは限らないので注意しましょう

「EMV」って何?

 「EMV」は「Europay(ユーロペイ、※1)」「Mastercard(マスターカード)」「Visa(ビザ)」の頭文字で、これら3社が接触ICカードの共通規格を定めたことがルーツです。この座組は「EMVCo」として組織化されており、American Express(AMEX)、Discover、ジェーシービー(JCB)、Mastercard、銀聯(UnionPay)、Visaの5社が参加しています。

(※1)ヨーロッパにおいてMasterCardブランドの決済サービスを展開していた企業。2002年にMasterCard(現在のMastercard)と合併して消滅した

EMVCo EMVCoは接触/非接触IC決済規格の他、3Dセキュア(インターネットにおける本人認証)規格やモバイル(スマートフォン)で非接触IC決済を利用する際の規格なども定めています

iDやQUICPayとは何が違う?

 非接触IC決済というと、日本ではNTTドコモが主導する「iD(アイディー)」やジェーシービーが主導する「QUICPay(クイックペイ)」「QUICPay+(クイックペイプラス)」も広く普及しています。これと最近広まっているタッチ決済は何が違うのでしょうか。

 簡単にまとめると、大きく「仕組み」と「使える場所」が違います。

仕組み

 iDやQUICPay/QUICPay+は、ソニーが開発した「FeliCa(フェリカ)」という非接触IC通信規格を使っています。また、自動販売機での利用を想定して決済センターに利用可否を都度問い合わせない「オフライン決済」にも対応しています(※2)。

 一方で、タッチ決済は、国内外で広く使われている「NFC Type-A」「NFC Type-B」という通信規格を採用しています。クレジットカード、デビットカードやプリペイドカードの「決済メディア」の1つとして加わるもので、原則として利用する際に決済端末とセンター間で通信を行う「オンライン決済」にのみ対応します(※3)。

 FeliCaを使うのか、NFC Type-A/Bを使うのか――メディアの違いはありますが、「かざして使う」という点では違いはありません。

(※2)利用時にひも付く預金口座から利用額を引き落とす「デビットタイプ」や、あらかじめチャージ(入金)した範囲内で利用する「プリペイドタイプ」のカードは、原則としてオンライン決済となります
(※3)タッチ決済を使った交通利用など、即時にオンライン決済が行われない場合もあります

オンライン取引 タッチ決済はカードの「決済メディア」の1つという扱いとなるため、基本的に決済ごとにオンラインで「問い合わせ」が行われます(デビット/プリペイドタイプのiD/QUICPay+でも決済ごとの問い合わせはあります)

使える場所

 iDは、iDの加盟店で利用できます。QUICPay(クレジットタイプ)はQUICPay加盟店またはQUICPay+加盟店で、QUICPay+(デビット/プリペイドタイプ)はQUICPay+の加盟店で利用できます。ただし、iDやQUICPay/QUICPay+の加盟店網は国内にとどまっており、海外では利用できません

 一方で、タッチ決済はおのおののカードブランドのタッチ決済に対応している加盟店で利用できます。各ブランドは海外にも加盟店網を広げているため、海外のタッチ決済対応加盟店でも利用可能です

タッチ決済 タッチ決済は海外でも利用できることが強みです(写真は約4年前に筆者が撮影)
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