プラチナバンド再割り当てを巡って平行線の議論を続ける楽天モバイルと既存3社。アスキーの原稿で「もはや楽天モバイルに割り当てられるプラチナバンドは残っていない」と書いたところ、株式会社アゴラ研究所 代表取締役所長の池田信夫氏から「事実誤認。470〜710MHzのうち192MHz空いている」と指摘をいただいた。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年11月5日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
実際、地上波テレビ放送に割り当てられているプラチナバンドには、使っていないホワイトスペースが多く、うまいことまとめれば、新たに192MHzもの空き地ができるというのだ。
ただ、問題なのは余っているプラチナバンドがあっても、3GPPが割り当てている標準規格に合致していないことには使い道がない。そこで、調べてみたところ、600MHz帯となるバンド71を確保できれば、楽天モバイルに割り当てることも不可能ではなさそうなことがわかった。
バンド71は、アメリカ・Tモバイルも使っているため、すでにiPhoneでも利用可能であり、日本で流通しているデバイスもしっかりと対応している。
Tモバイルは600MHz帯で5Gを展開したことで、一気に5Gのエリアを拡充したように見せた。楽天モバイルとしては4Gの展開を優先したいだろうが、エリクソンのDSSを使えば4Gと5Gの混在も可能だろう。ただ、楽天モバイルはエリクソンとの付き合いはほとんどないだけにDSSの導入は難しい。それであれば、600MHzで4Gと5Gの両方を展開できるぐらいの周波数幅を割り当ててしまえばいい。
放送局側に理解してもらい、600MHzあたりを整理すれば、既存3キャリアがそれぞれ1000億円規模の工事費用を負担し、5MHz幅を楽天モバイルに10年かけて割り当てるという面倒くさく、無駄な出費も避けられるのではないか。
そもそも、総務省は将来的に必要になる周波数帯を整理し、電波オークションで割り当てる準備を進め、検討会も実施している。
それであれば、プラチナバンドも検討対象にいれ、放送局側の電波を整理しつつ、楽天モバイルが電波オークションで入札できるようにすべきではないか。
周波数帯を調整する必要がある放送局側にもメリットがあるような座組にすれば、楽天モバイルと既存3社、そしてユーザーにとってもハッピーな結論になるのではないか(楽天モバイルは追加の金銭的な負担が必要となるが)。
© DWANGO Co., Ltd.