楽天モバイルが望むプラチナバンドの適切な「移行期間」と「費用負担」は? 総務省が見解を表明

» 2022年11月08日 23時25分 公開
[田中聡ITmedia]

 総務省が11月8日、「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第15回)」を開催し、現状の報告書を公開した。

 2022年10月1日から電波法が改正されたことに伴い、一定の条件下で、携帯電話などの周波数を再割り当てできるようになった。その条件とは「電波の有効利用の程度が一定の基準を満たさないとき」「開設指針制定の申し出があったとき」「電波の公平かつ能率的な利用を確保するための周波数の再編が必要と認めるとき」の3点。

 このタスクフォースでは、楽天モバイルから要望のあった800〜900MHz帯のプラチナバンドの再割り当てをするにあたり、現在プラチナバンドを運用しているNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクからどのように、いつまでに移行して、それに伴う費用をどこが負担するのかなどを議論してきた。

総務省 楽天モバイルは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクから上りと下りで10MHzずつ、プラチナバンドの再割り当てを望んでいる

 総務省は、再割り当てにおける基本的な考えとして、周波数の移行には多大な負担が発生するため、既存免許人(既存3キャリア)と同等に有効利用する必要があることを示している。また、再割り当ての対象となる周波数幅は、申出人(楽天モバイル)の契約数やトラフィック量などを勘案する必要があることも記している。

 周波数を移行するにあたり、相互に協力して迅速に移行や基地局展開に努めること、既存ユーザーに不利益が生じたりサービスの品質劣化が起きたりしないよう適切な移行期間を設定することも求めている。

 移行期間については、電波法の免許の有効期間が5年間であることから、再割り当ての時点から5年間が適切だとしている。また、プラチナバンドが再割り当てされた場合、レピーター(電波を増幅させる中継器)を交換する必要があるため、その作業時間を勘案する必要があるともしている。

総務省 移行期間の考え方

 移行費用負担の基本的な考えとして、既存免許人の周波数の使用を停止するための費用は、既存免許人の負担を原則とすることが適当であり、任意で周波数移行における終了促進措置を行うべきだとしている。

【更新:2022年11月9日9時55分 移行費用負担の基本的な考えを追記しました。】

 プラチナバンドにおけるレピーターの交換は、新規認定開設者(楽天モバイル)が既存免許人(既存3キャリア)に対して移行計画外の工事を求める場合は、新規認定開設者がレピーター交換費用を負担することが適当としている。既存免許人の基地局増強については、事業者の自助努力で対応すべきことのため、終了促進措置の対象外との考えを示している。

 隣接帯域を使用する他社回線との干渉を防ぐために用いる基地局の受信フィルターは、一定の効果が確認できたが、端末が既存基地局から遠ざかると影響が軽減されることから、フィルターを挿入しないからといって既存免許人の基地局運用が阻害されるわけではないとしている。そのため、フィルターの挿入も終了促進措置の対象外とすることが妥当だと述べている。

総務省 移行費用の負担の考え方

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