9月に発表されたHuawei製「Mate 50」シリーズ。ライカとの提携解消や米国制裁下でありながらも世に放ったフラグシップモデルを今回実際に手にすることができたので、レビューしたい。
Mate 50シリーズはHuaweiのフラグシップスマートフォンだ。ベースモデルのMate 50、カメラ性能を強化した上位モデルのMate 50 Pro、ポルシェとのコラボレーションとなるMate 50 Porsche Design RS、廉価モデルのMate 50Eの形で展開される。
HUAWEI Mate 50ではSoC(プロセッサ)にQualcomm Snapdragon 8+ Gen 1を採用している。文句なしのフラグシップSoCではあるが、米国の制裁の関係で5G通信には対応していない。
搭載メモリは8GB、ストレージは128または256GBとなり、独自規格にあたるNMカードによるストレージ容量の増設にも対応している。
画面はフルHD+解像度のOLEDパネルを採用。エッジのないフラットディスプレイが採用されるなど、近年のトレンドに沿ったものになっている。リフレッシュレートは90Hzで、この部分は120Hzに対応するMate 50 Proと差別化している。指紋センサーも画面内に備えている。
カメラ性能については後述するが、Mate 50シリーズは衛星通信対応とHarmony OS 3.0も大きなアピールポイントとなっている。衛星通信機能は中国版GPSに当たる北斗を用いたもので、緊急時に圏外のエリアにおいても、ショートメールやSOS信号の発信が可能だ。一方で、グローバル展開されるMate 50では利用できない。
OSはHarmony OS 3.0を採用。同社が提唱する「シームレスな接続」を売りにしており、連携機能がより強化されているようだ。中国では家電商品のみならず、自動車との連携も含まれており、スマートフォンがデジタルデバイスを制御するハブのような存在になっている。
Huaweiのスマートフォンといえば、カメラ性能の高さが挙げられる。Mate 50のデザインを見て、まず目が行く点は特徴的なアウトカメラだ。特許を取得した6枚羽の可変絞りをメインカメラに備えており、過去に例の少ない構成となっている。
Mate 50はメインカメラに5000万画素のセンサーを搭載する。Mate 40シリーズ同様、暗がりでも多くの光を取り込めるRYYB配列のものを採用している。加えて、1200万画素の超広角カメラ、1200万画素の望遠カメラを搭載している。
Mate 50シリーズで注目すべき点は、「HUAWEI image XMAGE」の存在だ。ライカとの提携が終了したHuaweiにおいて、技術革新、撮影体験の革新を目的に、新たな画像処理技術のブランドとして展開される。
XMAGEの基盤となる部分は、光学機構、イメージングハードウェア、画像処理技術の3つとなる。Huaweiはこれらの分野に継続的に技術開発投資を行うとしている。ライカで得たノウハウを吸収し、Huaweiが目指すさらなる高みへ持っていこうとする取り組みだ。
そんな可変絞り、XAMGEのノウハウが詰まったMate 50で撮影してみた。
Mate 50の写りを見て感じるのは、HDR補正が大きく入り、白飛びがかなり抑えられていることだ。近年のトレンドでありがちな、HDR補正を過剰に効かせたものにはならず、比較的見た様子に近いもので撮影できる。
超広角カメラは13mm相当、望遠カメラは125mm相当となっており、標準モデルでありながら充実していることが分かる。
可変絞りの効果も大きい。昼間では基本的に絞って撮影するような挙動を見せ、開放で撮影する場面は少なかった。可変絞りを実感できるシチュエーションとしては、料理を撮影する場面だ。AIが認識するとF3.5やF4と絞って撮影するので、変にボケたり端が流れたりする描画が少なく、きれいに撮影できる。
夜景もきれいに撮影することができる。以前に比べて撮影時の処理時間も短くなっており、快適に撮影することができた。
アパチャーモードで絞りを自由に調整して撮影できるのもMate 50シリーズの大きな特徴だ。環境がそろえば手持ちながら光線を持つ写真が撮れる。
一方で、ライカ監修だったMate 40 Proとは絵のチューニングが異なり、Mate 50の方が彩度はやや抑えられていると感じた。ライカとXMAGEの差といえる部分だ。
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