2022年のスマホ市場で存在感を増しているのが、GoogleのPixelシリーズだ。7月にau、ソフトバンクからも発売された「Pixel 6a」が、ハイエンドに近い性能で5万円台前半という安さを実現し、販売ランキングでも安さで存在感を放つiPhone SE(第3世代)に待ったをかけるモデルとなっている。そして、10月には新モデル「Pixel 7」シリーズを発売した。
「Pixel 7 Pro」と「Pixel 7」も円安ドル高の中で価格を抑え、さらにGoogleストアでは大幅な割引施策を展開。下取りキャンペーンを12月まで実施する他、紹介キャンペーンの対象者や一部のGoogleサービス利用者に割引クーポンを配布するなど、これまでにない割引キャンペーンを展開して注目を集めている。
店頭でも、特にPixel 7が販売ランキングに入ってきている。キャリアが販売するハイエンドAndroidといえばXperiaやGalaxy、AQUOSだが、ここに来てPixelも加わりそうな勢いだ。
そこでこの記事では、2022年GoogleのPixelシリーズのラインアップと注目点や、Appleの「iPhone 14」シリーズなどのラインアップと性能を比較。今後Pixelシリーズが日本で定番モデルとなれるかについて考察していく。記事の価格は全て税込み。
まずはPixelとiPhone、それぞれのラインアップと立ち位置を改めて見ていこう。PixelはGoogleが開発した最新のAndroid OSやGoogleサービスをアピールするスマートフォンでもあるだけに、製品がiPhoneと対抗または買い替えを促せるほど魅力的なのかは非常に重要な要素だ。
最新のPixel 7シリーズは、12万円台でカメラや望遠撮影にこだわる人向けの「Pixel 7 Pro」と、8万円台でカメラや機能が充実した「Pixel 7」の2モデルだ。いずれも独自チップの2世代目「Tensor G2」を搭載。顔認証と指紋認証の両方に対応する。
最上位のPixel 7 Proは6.7型大画面に加えて、5倍望遠の4800万画素カメラ、5000万画素1/1.31型センサーの広角カメラ、1200万画素超広角カメラを搭載。マクロ撮影にも対応。このクラスのカメラを搭載した製品は10万円台半ばから後半の製品が多いだけに、12万円台で購入できるのは魅力的だ。
Pixel 7は6.3型の手頃なサイズと、ハイエンドとしては安価な8万円台という価格が魅力。5000万画素1/1.31型センサーの広角カメラ、1200万画素超広角カメラを搭載。前モデルのPixel 6は207gと重たかったが、10g軽い197gとなり持ち歩きやすさが若干改善された。サイズ感や機能を含め、Pixel 6aより上の製品が欲しい人に最適なモデルとなっている。
廉価版といえるPixel 6aは、6.1型ディスプレイと前世代のチップ「Tensor」を搭載。生体認証は指紋認証のみで、カメラも広角1220万画素と超広角1200万画素だが、Googleの撮影処理や夜景モード対応で使い勝手は良い。本体サイズは一番コンパクトで、横幅71.8mm、重さ178gだ。筆者の印象だが、日本人が持つ6型クラスのスマホとして絶妙に使いやすい大きさだと感じる。
iPhoneは前年と比べるとドル高による値上げの影響を受け、2021年と比べると全体的に割高感が否めない。
ただiPhone 14 Proシリーズについては、ノッチ部分が新デザインの「ダイナミックアイランド」に変わり、より高速なA16 Bionicプロセッサや画素数を強化したカメラなどを搭載。例年通り順当な進化を遂げている。高額にはなったとはいえ、懐にある程度余裕のある層にとっては魅力的なモデルとなっている。
一方のiPhone 14シリーズは、安価なApple Storeの直販でも11万9800円から。為替の影響を受けたとはいえ、前年発売当初の「iPhone 13」と比べて約2万円高い。その上、iPhone 14と「iPhone 14 Plus」ともに前年と同じA15 Bionicプロセッサ搭載など、13シリーズとの違いも少なく割高さは否めない。
秋冬から2023年春にかけて店頭の主役になりそうなのは、前モデルiPhone 13と「iPhone 13 mini」だ。最新のiPhone 14との違いが少ないながらも、キャリアの店頭では週末や月末に128GBモデルが5〜10万円あたりで特価販売されている。
iPhone SE(第3世代)は2021年から値上げしたが、キャリアの店頭販売は割引が旺盛で値上げを感じさせない。画画面が4.7型と小さくカメラ画質も微妙だが、iPhone 14と同じA15 Bionicを搭載しているので、アプリを快適に動かせる。当面は、機種変更や初めてのスマホといった需要に応えられるだろう。
PixelとiPhone各モデルの位置付けを、筆者主観ながら下の図に示してみた。個別の機種の評価は個人がスマートフォンに何を求めるかによって大きく異なる(カメラ重視、処理性能重視など)。ここでは価格と、ディスプレイやカメラ、プロセッサを総合的に見てどの程度の性能かという点でおおまかに配置している。実際の性能は、記事の最後にある程度評価しているのでそちらを見てほしい。
見て分かるのは、Pixel 7 Pro、Pixel 7、Pixel 6aの並びが、いずれも日本のキャリアのラインアップや、iPhoneのラインアップの手薄な部分かつ、安価で高性能な右下方向に集まっていることだ。米国での価格が安かったことから、ドル高後の日本市場でも割高さを感じにくい値付けになったのがいい方向に働いている。
特にPixel 6aは顕著で、iPhone SE(第3世代)の画面サイズの小ささやカメラ画質といった弱点を上回りつつも、店頭価格は同程度と魅力的だ。
また、同価格帯のAndroidと比べても処理性能がワンランク上で、機械学習による翻訳や画像編集などGoogleならではの機能も搭載。これらにより、以前のPixelと違ってauとソフトバンクの店頭にてPixelの存在感を高めることに成功したといえる。
そしてPixel 6aとPixel 7、Pixel 7 Proはデザインやコンセプトが一貫しており、店頭でも人気のPixel 6aをフックに上位機種もアピールできる。これは昔のPixelにはなかった流れだ。
iPhone側から見ると、iPhone 13シリーズとiPhone SE(第3世代)の間を埋めるモデルが存在しないことが、auとソフトバンクの店頭でPixel 6aを目立たせてしまっている。日本だと当面は、iPhone 13シリーズの店頭特価販売がこの穴を埋めるのだろう。Apple StoreではiPhone 14発売前まではiPhone 11がこの位置にあったのだが、現在は終売している。
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