Googleが自身で開発した「Pixel 7」「Pixel 7 Pro」が、10月13日に発売される。Pixelシリーズは、Googleが得意とするソフトウェアやAIを融合させ、新たな価値を提供するためのハードウェア。2021年に発売された「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」からは、プロセッサも独自設計の「Tensor」になり、AIの活用が一段進んだ。コンピュテーショナルフォトグラフィーをリードするカメラ機能や、日本語を含めた文字起こし機能は、同モデルの代名詞になりつつある。
最新モデルのPixel 7シリーズには、第2世代のTensorとなる「Google Tensor G2」を採用。この処理能力を生かし、カメラや画像処理に新機能が加わっている他、AIを使った顔認証にも対応した。また、Pixel 7 Proの望遠カメラは光学5倍へと倍率が上がり、AIを組み合わせた超解像ズームも最大で30倍まで拡大可能になった。そんなPixel 7、7 Proを発売に先立ち試用した。ここでは、その2機種のレビューをお届けしよう。
デザインを一新し、フラグシップモデルらしい高級感を打ち出したPixel 6、6 Proだが、最新モデルのPixel 7、7 Proもその路線は踏襲している。Pixelのデザインを象徴する「カメラバー」も健在だ。あたかも端末の“目”のようなカメラバーだが、Pixel 7、7 Proではメタリックな塗装になり、本体のフレームとの一体感を高めている。同じカメラバーだが、受ける印象が異なる理由といえる。
昨今のスマートフォンは、どのモデルもセンサーやレンズが大型化しており、薄いボディーから突起しているのが一般的だ。Pixel 7、7 Proも例外ではない。一方で、カメラバーを採用したことで、背面を下にして机やテーブルの上に置いた際の安定感は高くなっている。ケースをつけるとカメラ部分がアクセントになる、工夫されたデザインだ。どうせカメラが目立つなら、さらに強調して端末のアイデンティティーにしてしまえばいい――そんな逆転の発想が面白い。
前面は、Pixel 7がフラットディスプレイ、Pixel 7 Proがラウンドディスプレイになる。ラウンドディスプレイは左右が湾曲しているため、フレームが目に入りづらくなることで没入感がアップするのがメリットだが、その反面、操作時に意図せず触れてしまい、誤操作につながる。こうした声を受けてか、Pixel 7 Proは、カーブがより緩やかになった。6.7型ともともと片手では操作しづらいサイズ感だが、Pixel 6 Proよりは操作しやすくなった印象を受ける。
サイズや解像度以外では、Pixel 7が最大90Hz、Pixel 7 Proが最大120Hzとリフレッシュレートに違いがある。また、ピーク輝度はPixel 7が1400ニト、Pixel 7 Proが1500ニト。Proの方が100ニトほど高い。ただし、これらはあくまで数値の差でしかない。どちらもスクロールをはじめとしたレスポンスは高く、動作は滑らか。ディスプレイの輝度も十分高く、2機種に大きな違いがあるとは感じられなかった。
指紋センサーは、Pixel 6、6 Proと同様、ディスプレイに統合されている。側面や背面にセンサーを露出させるのと違い、手探りで場所を特定できないのはこの方式の弱点だが、体感的には、認証のスピードが以前より上がっているような気がした。指紋の登録の仕方にもよるため、一概には言えないが、ロック解除に失敗する頻度は下がった。さらに、機械学習を使った顔認証が指紋認証を補う仕組みのため、トータルでの使い勝手が大きく上がっている。
Pixel 7、7 Proの顔認証は、前面のカメラで顔を読み取る仕組み。赤外線を使って3Dで顔をスキャンしていた「Pixel 4」や「Pixel 4 XL」とは原理が異なる。AIで安全性を高めてはいるが、画面のロック解除以外には利用できない。この顔認証のUI(ユーザーインタフェース)が優秀だ。標準設定の場合、画面を点灯させるとまず顔認証が走る。そのまま認証に成功すると、指紋センサーの位置に鍵が開いたアイコンが表示され、タップするとホーム画面が現れる。
顔認証に失敗した場合、同じ場所に指を当てると指紋認証が有効になり、ロックが解除される。顔認証の成功、失敗に関わらず、ディスプレイの同じ場所に指を当てるだけで端末を使い始められるというわけだ。顔認証と指紋認証をうまく連動させ、どちらを使ったかをユーザーに分かりにくくしているといえる。ユーザーにとっての目的は、画面のロックを解除すること。それを考えると、このUIは直感的で分かりやすい。不評だったPixel 6、6 Proの生体認証を1世代でここまで大きく改善できたことは、高く評価できる。
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