こうしたPixel 7、7 Proの機能は、新たに搭載されたTensor G2によって実現しているものが多い。最初に挙げた顔認証や、30倍の超解像ズーム、ボケ補正や消しゴムマジックなどは、いずれもAIの力によるものだ。カメラのように、ハードウェアの進化との掛け算で性能が向上している機能もあるが、Pixelシリーズを支える屋台骨といえるのはやはりAI。それを処理するためのプロセッサが、AIの処理能力を60%向上させたTensor G2だ。
そこで「Geekbench 5」を使って、CPUやGPUのパフォーマンスをチェックしてみた……といきたいところだが、発売前のためかGoogle Playから同アプリをダウンロードできなかった。過去のPixelでも同様のことがあったが、発売前のため、対応端末にリストアップされていなかった可能性がある。そこで、Google Playにはない「AnTuTuベンチマーク」で、Pixel 7 Proの動作を過去モデルや他社のモデルと比較してみた。なお、AnTuTuベンチマークは現在、Google Playから削除されており、公式サイトからしかダウンロードできない。いわゆるサイドローディングになるため、利用時には注意が必要になる点は付け加えておきたい。
まずはPixel 7 Proから。スコアは約75万点と高く、ハイエンドモデルと呼んでも差し支えない性能であることが分かる。1世代前のプロセッサにあたる初代Tensorを採用したPixel 6aは、同じAnTuTuベンチマークのスコアが約71万点。AnTuTuベンチマークはプロセッサ以外にも、メモリやストレージなどまで加味して総合点を出すため、大きな差は出なかった。とはいえ、個別に数値を見ていくと、GPUや画像処理の性能は向上している。
一方で、競合他社のハイエンド並みかというと、そこまでの性能ではないのも事実だ。例えば、「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載した「Galaxy Z Fold4」は、AnTuTuベンチマークのスコアが約91万点と高く、Pixel 7 Proを大きく引き離している。メモリやストレージのテストはプロセッサと直接的には関係がないため、これを考慮しないとしても、GPUのスコア差が大きい。約75万点というスコアは、Snapdragon搭載機だと2021年のフラグシップモデル並み。決して性能が低いわけではないが、パフォーマンスの高さに重きを置いた端末ではないことが分かる。
とはいえ、ベンチマークアプリでのスコアは、スマートフォンのいち側面を表しているにすぎない。どちらかといえば、Tensor G2はPixelシリーズに必要な処理に対して最適化を施していることが売りだ。結果として、ここまで見てきたように、カメラ機能はスマートフォンの中でトップクラスの性能を誇る。日本語に対応した文字起こしや、音声入力とキーボード入力がシームレスな日本語入力、再生中の動画にまで適用できる翻訳など、他の端末にはない多彩な機能を搭載しているのも魅力だ。他社のハイエンドモデルと比べると価格も一段安く、人にお勧めしやすいスマートフォンといえるだろう。
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