Pixelといえば、やはりコンピュテーショナルフォトグラフィーを全面に打ち出したカメラだ。当然ながら、Pixel 7、7 Proも、カメラ性能は強化されている。ただし、メインとなる広角カメラのハードウェアスペックは、先代と同じ。クアッドベイヤー配列の5000万画素オクタPDセンサーを搭載しており、レンズのF値も1.85だ。ピクセルビニング前のピクセルピッチも、1.2μmから変わっていない。ホワイトバランスが正確で、明るく撮れるカメラ性能は健在だ。
一方で、Pixel 7 Proは超広角カメラと望遠カメラが進化している。まず超広角カメラは、画角が114度から125.8度に変わった。カメラのUIで見ると分かりやすいが、超広角に設定すると、倍率が0.5倍になっている。超広角カメラが先代と同じPixel 7は0.7倍だ。これによって、より広々とした写真が撮れるようになった。もう1つが、4800万画素の望遠カメラ。こちらは、画素数やF値は同じだが、光学ズームの倍率が4倍から5倍へと上がった。ピクセルピッチは、その分0.1μm縮まっている。
たかが1倍とあなどるなかれ。4800万画素をリモザイクして切り出すことで2倍、AIによるデジタルズームで3倍と数字が掛け算で増えていくため、超解像ズームは最大で30倍まで拡大することが可能になった。超解像ズームが20倍だったPixel 6 Proと比べると、+10倍の進化だ。以下は0.5倍、1倍、2倍、5倍、30倍で撮った写真。0.5倍では豆粒のように見えなかった人物が、30倍だとポーズはもちろん、服装のディテールや表情まで分かる。さすがに拡大すると粗は目立つが、ディスプレイに映し出すぐらいなら“ギリギリOK”のクオリティーだ。同じ最大30倍のズームが可能な「Galaxy Z Fold4」と比べると、その違いがよく分かる。
人物以上に、看板や建物、乗り物などはAIによる補正効果が高い。色のグラデーションや凹凸が少なく、画像を推定しやすいのだろう。30倍で撮っても、文字やイラストなどがクッキリと出ている。ここまで来ると、ギリギリOKを超えて実用的だ。また、10倍程度までならさらに画像の劣化は少なくなる。リモザイクで切り出しているので、ピクセルピッチが狭くなるなどのデメリットはあるが、スマートフォンのズームとしては十分以上の性能といえる。
先に述べた通り、広角カメラはPixel 7と7 Proで差分はない。等倍で撮れば、どちらも同じような仕上がりになる。一方で、2倍から5倍までのズームを使うと、Pixel 7 Proに軍配が上がる。Pixel 7 Proは、広角カメラだけでなく、望遠カメラの情報も使って足りない情報を補っているからだ。
以下に掲載したのは4倍で撮った写真。Pixel 7の方は、肌がかなり平たんで塗りつぶしたようになっているのに対し、Pixel 7 Proはズームしたのかどうか分からない自然な仕上がりだ。メインカメラは同じだが、コンピュテーショナルフォトグラフィーに使える情報が多い分、Pixel 7 Proの方が有利になるといえる。
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