動画撮影にも新機能が加わった。背景をボカした動画を撮影できる「シネマティックぼかし」がそれだ。iPhoneにインスパイアされた機能と言ってしまえばそれまでだが、人物や物にフォーカスを当てた雰囲気のある映像を撮影できるようになった。ボケの範囲もかなり正確で、以下の動画のように、手前の飲み物と人物の顔を交互にタップしても、すぐにフォーカスが切り替わる。さすがにストローぐらい細いものだとボケが中途半端にかかったりすることはあったが、精度は高めと言えるだろう。
ただし、iPhoneの「シネマティックモード」とは異なり、深度情報が記録されているわけではないため、後からピントを合わせる場所を変えたり、ボケ具合を調整したりといったことはできない。焦点をどこに合わせるかは撮影中に決定する必要があり、完成度を上げるのはなかなか難しいと感じた。解像度もフルHDまでで、4Kには非対応。テレビなどで表示する際には、やはりもう一段高い解像度で撮影したい。
動画の手振れ補正が強力なのは、以前からだが、Pixel 7、7 Proでもその実力は変わっていない。以下は、手ブレ補正の効果を確かめるため、早歩きしながら撮った映像だ。手ブレ補正は「アクション」に設定している。オン、オフ両方で撮り比べてみたが、効果は歴然。オンにすると、撮影者が歩いた際に起こる揺れがなく、映像が安定する。Pixel 7、7 Proは、静止画だけでなく、動画撮影用のカメラとしても優秀だ。
撮影後に手ブレなどのボケを補正する「ボケ補正」も、Pixel 7、7 Proからの新機能だ。ボケ補正はGoogleフォトの機能として組み込まれているため、過去に別の端末で撮った写真にまで適用できる。実際、盛大にブレた写真から、拡大してみるとディテールが甘い写真まで、複数のパターンで試してみたが、前者はさすがに補正し切れなかった。これ以上やろうとすると、Pixel自身が絵を作り出してしまうことにもなりかねないため、致し方ないところだ。これに対し、ディテールが甘い程度の写真であれば、ボケ補正をかけるだけでシャキッとした仕上がりになる。
背景の人や物などをあたかも最初からなかったかのように消せる「消しゴムマジック」も、引き続き搭載している。AIの処理能力が向上したためか、同じ写真に処理を加えたとき、初代Tensorを搭載する「Pixel 6a」よりもTensor G2を搭載するPixel 7 Proの方が、自動で消せる人の数が多かった。正直なところ、よくよく見比べないと違いが分からないほど微妙な差だったが、これも処理能力が向上した恩恵といえる。
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