iPhone 14シリーズが9月16日に発売される。16日に登場するのは、「iPhone 14」と「iPhone 14 Pro」「iPhone 14 Pro Max」の3機種。無印iPhoneとして初の6.7型ディスプレイを採用した「iPhone 14 Plus」は、やや遅れて10月7日に登場する。
本稿に先立ち掲載された記事で分析しているように、iPhone 14シリーズは無印とProの差がこれまでより大きい。Proモデル2機種は、iPhone X以降、iPhoneのアイデンティティーになっていた“ノッチ”を廃止、新たにDynamic Island(以下、ダイナミックアイランド)を採用。カメラも1200万画素から4800万画素に向上している。
一方で、無印のiPhone 14は、プロセッサが先代の「iPhone 13 Pro」や「iPhone 13 Pro Max」と同じ「A15 Bionic」に据え置かれており、ノッチを採用した形状も変わっていない。次の一手を模索するProモデルに対し、これまでのiPhoneで培った要素を受け継いでいるのが無印のiPhoneといった印象だ。発売に先立ち、そんな3モデルの実機を試用することができた。ここでは、新機能が多いiPhone 14 Proを中心にしながら、シリーズ全体のレビューをお届けしたい。
iPhone 14 Proや14 Pro Maxは、前面のデザインが大きく変わった。Face IDなどの認証や、インカメラでの撮影をするためのTrueDepthカメラの形状が変わったからだ。ベゼルと一体になり、ディスプレイに食い込むように配置されていたTrueDepthカメラが、Proモデル2機種では、いわゆるパンチホール型になった。このデザインをUI(ユーザーインタフェース)と連動させた機能を、Appleはダイナミックアイランドと呼ぶ。TrueDepthカメラの配置が変わったことで、上部のベゼルがすっきりして、対称性がより高まった印象を受ける。
対するiPhone 14は、iPhone 13シリーズまでと見た目はほぼ変わっていない。iPhone 13でややコンパクトになったノッチを踏襲しており、外観だけでは前モデルとの区別がつけづらい。ただし、カラーリングが変わっており、特にブルーやパープルには、明るい色味が採用されている。どちらかといえば、濃い色味が多かったiPhone 13との大きな違いだろう。試用したブルーは淡い色合いで、ガラスの処理は異なるが、色味は「iPhone 13 Pro」のそれに近い。
Proモデル2機種は、おなじみとなったステンレススチールのフレームとすりガラスのような質感の背面を採用する。光沢の強いフレームと、手触りのいいガラスのコンビネーションは、Proモデルならではの高級感。代償として重さが増してしまっているが、適度な重量はチープさを払拭(ふっしょく)するのにも貢献している。こうした考え方は、どちらかといえば貴金属のアクセサリーに近い。
無印とProモデルのどちらも、カメラの配置はiPhone 13シリーズまでのそれを踏襲している。一方で、カメラのスペックが上がったこともあり、台座となるカメラユニットの面積や、カメラそのものの厚みは増している。特にProモデルでは、それが目立つ。4800万画素の高画素カメラを採用したためと推察できるが、iPhone 13シリーズまでと比べても、カメラ回りのデザインの主張が激しくなった格好だ。
米国版はeSIMオンリーになり、左側面にあるSIMスロットがなくなったが、日本版には健在。逆に、ミリ波には非対応のため、右側面に受信感度を高めるためのアンテナは搭載されていない。デザイン上は一長一短といったところ。どちらかといえば、フレームと素材が異なるミリ波アンテナの方が目立つこともあり、デザイン優先であれば日本版に軍配が上がる。
【訂正:2022年9月16日13時20分 初出時に掲載した写真は左側面でした。おわびして訂正いたします。】
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