なぜ? バッテリーを交換できるスマートフォンが減った2つの理由(1/3 ページ)

» 2022年12月26日 10時30分 公開
[はやぽんITmedia]

 スマートフォンを長く使うにあたって、多くの方が気にする点の1つがバッテリーの劣化だ。かつての携帯電話では多くの機種でバッテリー交換ができたが、現在ではほとんどが交換できなくなった理由について考察していていきたい。

 バッテリー交換できない背景には大きく分けて「スマートフォンの本体設計」と「非純正バッテリー使用による事故防止」が挙げられる。

スマホの高機能化が進むにつれ求められた「バッテリーの大容量化」

 スマートフォンのバッテリーにはリチウムポリマーが使用されている。リチウムイオンバッテリーの電解質をポリマーと呼ばれる半固体状態にすることで、より柔軟な形状のバッテリーを製造できるようになった。限られた本体スペース内のギリギリまでバッテリーを大きく作れることから、より大容量のものを搭載できるようになった。

 スマートフォンではバッテリーの容積は本体の大部分を占める。バッテリーを小型、薄型化できれば本体もより薄く軽量にできる。加えて大容量化できれば、さらに高性能な機能を追加することもできる。

iPhoneバッテリー iPhone XSなどではL字型のバッテリーが採用されるなど、リチウムポリマーによって形状の自由度は高まっている(関連記事

 一方、取り外し可能なバッテリーパックと呼ばれるものは、周りにプラスチックのカバーなどを取り付けている。前述の通り、近年のバッテリーは半固体電池ともいえるもので、このようなものは片手で簡単に曲げて変形してしまうくらい強度が貧弱なのだ。

 もちろん端子部がむき出しであればショートする可能性もあり、過度な衝撃が加われば破損、発火する恐れがある。これらの事故を防ぐためにもカバーなどで覆われているのだ。

iPhoneバッテリー バッテリーパックはカバーなどによって事故防止を図っている。ショートを防ぐためにも専用の持ち出し用ケースなども販売されていた

 かつての携帯電話でバッテリーパックが主流だった理由の1つに、バッテリーの大容量化を必要としなかった背景がある。フィーチャーフォンのころはバッテリーが長時間持つ機種も多く、今ほどの高負荷な処理を必要とするアプリも少なかった。数日の旅行でも予備電池を持ち歩けば何とかなる時代だった。加えて、複数の機種でバッテリーパックを共通化してコストを抑えるメーカー側の動きもあり、バッテリー容量自体も据え置かれた。

 ただ、スマートフォン主流の時代ではそうも言ってはいられなくなった。高機能化が進むと共に消費電力も大きくなり、結果として大容量のバッテリーが求められるようになった。加えてiPhoneをはじめとした薄型化のトレンド、多くの機種ごとにバッテリーパックを設計製造することが非効率なこともあって、同じ容積比で容量を稼げる内蔵式のバッテリーに置き換わっていった。

iPhoneバッテリー Galaxy S5ではバッテリーパックとなっていたので、防水/防塵(じん)等級はIP67、樹脂製の背面パネルなど端末設計にも大きな制約があった。なおバッテリー容量は2800mAh

 また、GalaxyはバッテリーパックにFeliCaアンテナを内蔵していたため、海外から取り寄せた純正品や互換バッテリーではおサイフケータイが利用できなくなるといった問題もあった。

 端末の高性能化や本体の薄型化はユーザーが求めたものであり、スマートフォンでバッテリーが交換できない内蔵式になるのは自然な流れといえる。

 バッテリーパックは、同じ容積でもカバー分だけバッテリーが小さくなるため、容量では不利になってしまう。加えて、取り外しのできる機構を取り付けたり、裏蓋を外せたりするようにすると、金属やガラスパネルを使いにくいというデザインや機能面での制約もある。

 さらに、近年のスマートフォンでは世界的に見ても防水・防塵(じん)機能がトレンドとなっている。ハイエンド機種では必然的に機密性が求められるようになっているため、電源部に水分が付着する可能性は極力排除したい。

 近年では無接点充電に対応させるためのコイル配置などの理由も挙げられる。これらを両立したままバッテリー交換に対応させるのは難易度が高くなる。

iPhoneバッテリー 数少ないバッテリー交換可能なハイエンド機であった「LG G5」。モジュール式というアプローチをとったものの、後継機には引き継がれなかった。
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