その名の通り「通学定期券」は学校に通学する人を対象に発売される定期券(定期乗車券)である。通学定期券は誰でも買えるわけではなく、初めて購入する際、または年度をまたいで継続購入する際には通学証明書類の提出が必要である。当然、係員による確認も必要なので係員のいる「定期券発売窓口」での購入が原則だ。
しかし昨今、人手不足や新型コロナウイルス感染症による乗客の減少を受けて、鉄道/バス会社は定期券発売窓口の縮小/廃止を急速に進めている。その影響で、通学定期券の購入に際して鉄道やバスを使って移動して定期券発売窓口に赴かなければならないケースも増えている。当然、少なくなった窓口に購入客が集中することにもなるため、混雑も激しくなる。
鉄道/バス会社によっては、混雑時に臨時窓口を開設したり、係員の手動操作(確認)をもって駅の自動券売機で購入できるようにしたりする措置を講じている。それでも“常設”窓口は減ってしまったので、混雑に拍車が掛かることは想像に難くない。年度内の継続購入は一部の自動券売機でサクッと行えるのだが、そのことを知らない人も思いのほか多く、新年度前後でなくとも窓口が混雑してしまうこともある。
今回、モバイルSuicaとモバイルPASMOの通学定期券の発売対象を「中学生以上」に広げるのは、窓口の混雑緩和を図ると同時に、購入のために必要な余計な手間を掛けさせない(≒窓口のある駅までの移動の手間を省く)ことを狙っているものと思われる。
JR東日本の場合、通学定期券の新規購入や年度またぎの継続購入をする際は、駅の「みどりの窓口」に行くか、写真の「話せる指定席券売機」を使う必要がある。しかしJR東日本はみどりの窓口の縮小/廃止を進めており、それなりに乗降客数の多い駅でも窓口がゼロ(または多客期のみの臨時営業)となるケースも続出している。話せる指定席券売機があれば何とかなるのだが、現状では設置駅も限られているモバイルPASMOでは「鉄道定期券」と「バス定期券」を1枚ずつ購入(搭載)できるが、発売できる事業者が限られている。
モバイルPASMOの鉄道定期券は、以下の会社の駅を“発駅”とするものを購入できる。首都圏Suicaエリアを含めて「連絡定期券」も購入可能だが、経路によってはモバイルPASMOでは購入できないこともあるので注意しよう。
モバイルPASMOのバス定期券は、以下の会社のものを購入できる。路面電車の定期券もバス定期券として発売される。なお、対応している会社でも、系統/路線によっては発売していないこともあるので注意しよう。
ちなみに、モバイルSuicaでも「PASMOバス定期券」は搭載できる。ただし、以下の条件と制約があるため気を付けよう。
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