Apple WatchはiPhone以上に進化を続けており、Apple Watch Ultraに至っては、初代Macintoshの画面解像度がほぼ同じくらいにまでなり、バッテリーも2日くらいは持つようになった。ならばApple WatchがあればiPhoneがなくても何とかなるか? この問題に意図せず直面してしまった筆者の例を報告したい。
筆者の職場はフルリモートなのだが、秋葉原の隣駅である浅草橋のシェアスペース「技研ベース」を都心部に行くときの拠点として使わせてもらっている。この日は朝から午後4時くらいまでそこでやる仕事があり、M2 MacBook AirとDTM用の機材を持ってこもろうと、ACアダプターやAirPods Pro(先代)も用意周到に準備して出かけた。
家を出るときにはスマートロックSesameをApple Watch Ultraで施錠。20分間のウオーキングを計測し、駅に到着した。左手に装着したApple Watchを右側に持ってきて、変身するようなポーズをとって改札をくぐる。今度はセンサーに手を当てる前に両手首をクロスさせプルプルさせようと思う(仮面ライダーBLACK/BLACK SUN風に)。
ホームでSNSチェックでもするかとなったときに、ポケットの中を探ったがiPhoneが見つからない。iPhone 14 Proを家に置き忘れたことにここで初めて気づいた。
家に戻ったら午前10時スタートの取材対応に間に合わない。技研ベースはWi-Fiがあるから行ってしまえば何とかなるかなと思い、引き返さずに電車に乗った。
これからは、モバイルでの通信はApple Watch Ultraに頼ることになる。
Apple Watch Ultraにはセルラーモデルしかないので母艦なしのスタンドアロンで使える。自宅に忘れたiPhone 14 Proからの通知もちゃんと届く。
取りあえずWi-Fiが使える技研ベースまで行けばなんとかなると、1時間ほど電車に乗って現地に到着。その間はAirPods ProをつなげてApple Musicを聴いて時間をつぶした。
筆者はBluetoothオーディオを聴けるスマートグラスのHuawei Eyewearを常用しているのだが、これはiPhoneとひも付けているものの、それをApple Watchと連動させることはできないので残念ながら使えない。スタンドアロン状態のApple Watchと接続できるのは、やはりAirPods系ということになる。そういえば、家を出るときにHuawei Eyewearから何か警告音が出ていたな。それが母艦と離れたというアラートだったのか、と思ったが時すでに遅し。
Apple Musicでは、ユーザーに合わせたプレイリストやステーション、アルバムがカテゴリーごとに表示される「今すぐ聴く」が使える。いつもはこれを聴いているのでちょうど良い。Apple Musicを長時間聴いているとバッテリーが心配になるが、ロングライフのApple Watch Ultraなら安心。
長時間の暇つぶしなら、ポッドキャストもいい。純正のPodcastアプリがApple Watchに対応している。
支払いで使えるのはSuica/PASMOとQUICPayだ。クレジットカード(AMEX)をApple Watchに登録しているのでPASMOのチャージと、QUICPayでの支払いはApple Watchだけで可能。対応店であればどこでもいつまでも生活できる。
一方、対応店が多いPayPayは支払えない可能性が高い。店側に読み取り用リーダーがなく、客が店のQRコードを読み取る形式のものだと使えない。当然だ。Apple Watchにはカメラがないのだから。自分のQRコードを店側に見せて支払う形式でなければいけない。また、単体でのチャージができないので、残高までしか使えないのを注意しないといけない。
そうこうしながらシェアオフィスの技研ベースに到着。ここにはWi-Fiだけでなく、4KディスプレイとHHKBが無料で使えるので、ノートPCさえ持ち込めば快適な作業ができる。
午前中は取材を受ける方だったので、MacBook Airでデモをしながら新聞記者の方にお話をして無事に終了。お昼になったのでランチをと考えたところ、ここの名物であるギークカレーが食べられないことに気付く。
元アスキーの編集者でデザイナーの佐藤卓さんが作るカレーは絶品なのだが、支払いが前述のようにPayPayの、こちらが読み取るタイプなので、現金を持ち歩いていない自分には支払い能力がない。残念ながら別の店に行ってしまった。
技研ベースに戻って次の打ち合わせ前に一仕事しようと思いMacBook Airを再び開く。そういえば、このマシンではTwitterを使っていなかったな。じゃあIDとパスワードを入れて……。ここでつまづいてしまった。
2要素認証。iPhoneの携帯電話番号にSMSとして送られてくる認証番号が届かないのだ。IDとパスワードはChromeやSafariにクラウド保存されているのでそのまま使えるのだが、2要素認証でiPhoneを使っている場合には詰んでしまう。
今回はTwitterクライアントサービスであるHootSuiteにそのままログインできたので、そこにひもづいているTwitterがそのまま使えて難を逃れた。
あぶなかった。こういうことがあるから、2要素認証に使っているiPhoneやAndroid端末は常に身につけておく必要が生じるのだ。
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