AirPods Pro(第2世代)を超えるノイキャン性能 BOSEのワイヤレスイヤフォン「QC Earbuds II」を試す(1/3 ページ)

» 2023年04月08日 08時00分 公開
[金子麟太郎ITmedia]
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 ノイズキャンセリングイヤフォンといえば皆さんは何を思い浮かべるだろうか? メジャーなものだとAppleの「AirPods Pro(第2世代)」になるが、その有力な対抗馬となるノイズキャンセリング付きの完全ワイヤレスイヤフォンがある。Boseの「QuietComfort Earbuds II(以下、QC Earbuds II)」だ。

Bose Apple AirPods Pro 左からAirPods Pro(第2世代)と、QuietComfort Earbuds II

 ビックカメラとヨドバシカメラでの価格(税込み、以下同)はAirPods Pro(第2世代)が3万9800円、QC Earbuds IIが3万9600円。価格は大差ないが、性能はどれだけ違うのか。実際に試して比較してみた。

ノイキャンと音質を最適化する「CustomTune」

 まずは音楽を再生しない状態でノイズキャンセリングのオン/オフの違いを聞き比べてみた。

 QC Earbuds IIではノイズキャンセリングオフだと電車の走行音、車やバスのクラクションは聞こえるが、声量が小さい人の話し声は聞き取りづらい。では、ノイズキャンセリングオンだとどうか。耳元で話してもらってやっと人の声が聞こえるが、数センチから数メートル以上離れると聞こえない。車の走行音、人が歩く音など、街中の雑音も同様だ。その分だけ圧迫感が強い。

Bose Apple AirPods Pro 雑音がカットされるQC Earbuds II

 一方のAirPods Pro(第2世代)は、残念ながらQC Earbuds IIほどのノイズキャンセリングは得られない。ノイズキャンセリングオンでも電車の走行音、車やバスのクラクション、数センチから数メートル離れた場所にいる人の話し声も聞こえてしまう。人の話し声は音楽再生中ならそれほど気にならないが、それでも周囲の音がかき消されていない感が強い。

 では、なぜQC Earbuds IIの方がノイズキャンセリングの効きがいいのだろうか? Boseによると、ノイズキャンセリングと音質の両方をユーザーの耳の形状に合わせて、最適化する「CustomTune」という新機能の搭載が肝になっているという。

 イヤフォンがケースから取り出され、耳に装着されるたびにCustomTuneが起動。さらに、独自のトーンを再生して、内蔵マイクでユーザーの耳の内部の音響反応を測定することで、消音シグナルと音質を調整する。これらはわずか0.5秒で終わるとのことだ。

外音取り込みの性能差はある?

 ノイズキャンセリングとは反対の結果になったのが外音取り込みだ。駅とフードコートへ行き、その制度をチェックしてみたところ、AirPods Pro(第2世代)はかなり自然に人の声が聞こえる点に加え、QC Earbuds IIで「サー」と微かに聞こえるノイズはAirPods Pro(第2世代)では聞こえなかった。

 外音取り込みオンとイヤフォンを外した状態とで、それぞれ聞こえ方に差があるのかも確かめてみたが、QC Earbuds IIで微かに聞こえるノイズを除いて、音量、音質に差はほぼないが、やはりAirPods Pro(第2世代)のクリアな外音取り込みには好印象を抱いた。

 また、AirPods Pro(第2世代)では「適応型環境音除去」という新機能が追加されている。外音取り込みは基本的に音楽再生時などの音量とは関係なく、一定量の外音が取り込まれるが、適応型環境音除去では長時間、外音を聞き続けることで、聴力に有害な影響を与える場合に、外音取り込みのレベルを自動的に下げてくれる。なお、適応型環境音除去を利用するにはiPhoneの「設定」→「イヤフォン名」へ進み、「適用型外音取り込み」の項目をオンにしておく必要がある。

Bose Apple AirPods Pro 適応型環境音除去の項目がオンになっていることを確かめよう

 一方のQC Earbuds IIでは外音取り込みモードを「Bose Music」アプリからカスタマイズ、設定できるようになっている。アプリ内の「モード」から以下の項目のいずれかを選択し、モード切り替えを行う。プリセットされている項目は名前、ノイズキャンセリングを調整できる。

  • ノイズキャンセリングの「クワイエット」
  • 外音取り込みモードの「アウェア」
  • 「アウトドア」や「ウォーキング」などのプリセット
Bose Apple AirPods Pro QC Earbuds IIで使える「Bose Music」アプリ

音質はシチュエーションや付加機能で評価が分かれる

 続いて音楽再生時の音質はどうかチェックしていく。

 QC Earbuds IIはノイズキャンセリングオンだと特に低音域を含めて全体的にズッシリとしたサウンドになる。マニアなら数万円台のイヤフォンだけに、この点はBoseならではの音質と感じるはずだ。

 重低音もそれなりにずっしり聴こえるのは好みが分かれるところだろうが、ノイズキャンセリングオフだと楽曲がややパサパサとした印象になる。

 AirPods Pro(第2世代)はノイズキャンセリングの効きがQC Earbuds IIよりも弱いため、ノイズキャンセリングのオンとオフとで大差はない。周囲の環境音は取り込まれるが、当然ながら集中して聴くのには向かない。

 とはいえ、AirPods Pro(第2世代)の音質そのものを完全否定するわけではない。

 ノイズキャンセリングを抜きにして評価するならこうなる。自然な音の広がりやボーカルの聴き取りやすさ、という点を求めるならAirPods Pro、重低音や空間をうまく表現できる、という点を求めるならQC Earbuds II、といったところだろう。

 しかし、付加機能で比べると、AirPods Pro(第2世代)を選びたいところ。QC Earbuds IIにはない空間オーディオが使えるからだ。ここでいう空間オーディオとは、Appleの定額制音楽サービス「Apple Music」で音楽や動画を視聴したとき、まるで全方位から包み込まれるような音、リアリティーのあるサウンドを体験できる機能だ。音の楽しみ方が広がるのは間違いなくAirPods Pro(第2世代)といえる。

Bose Apple AirPods Pro 付加機能の多いAirPods Pro(第2世代)
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