サムスン電子「Galaxy S23 Ultra」が4月20日に発売となる。現在、「Wストレージキャンペーン」を展開しており、製品を予約、購入、応募することで、例えば1TBを買うと512GBの差額、512GBなら256GBとの差額相当の「Amazonギフト券」をもらえるという内容になっている。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2022年4月15日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
KDDIでは512GB、1TBはオンライン限定となっている。
本来であれば「512GBを予約、購入したら1TBが届く」というのがわかりやすいキャンペーンの立て付けであり、実際、海外でも同様の仕組みで展開されているという。
しかし、日本では「キャリアの流通関連で難しい」とのことのようだが、そこにはどうやら総務省の規制が絡んでいる気がしてならない。
一部、メディアは「キャリアのオンラインショップでは単体購入の予約ができず、キャンペーンが起用されない」という点を突っ込んでいる。
これにより「通信契約を紐付いた前提の割引はおかしい」という話になってくる。ただ、この点に関しては、KDDIの5G機種変更おトク割の1万6500円はキャリアが負担しているが、Wストレージキャンペーンに関しては、サムスン電子によるメーカー独自キャンペーンだから「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドラインの2万円のルール対象外になる」としている。
これがpontaポイントで付与すると、特定キャリアでの利用に限るポイントだと突っ込まれる可能性があるため、あえてAmazonギフト券でキャッシュバックしたと思われる。
おそらく、Wストレージキャンペーンを海外と同じ仕組み、つまり、512GBを購入すると1TBが送られてくるという仕組みにしてしまうと、その差額が2万8320円となり、余裕で規制の範囲を突破してしまう。これでは総務省に指されてしまうので、「Amazonギフト券を使ったキャッシュバック」という回りくどいやり方になっているようだ。
キャリアとサムスン電子としては、ハイエンドスマートフォンを買ってもらうと、なんとかガイドラインの穴を突いたキャンペーンを仕掛けてきているだろう。こうしたスキームを考えてくるのには頭が下がるばかりだ。
一方で、意味の無い「2万円上限ルール」なんてとっとと取っ払ってしまって、もっとわかりやすいキャンペーンを提供できる方が、国民のためになるのではないだろうか。
20万円以上もするハイエンドスマートフォンを購入し、アクティブに通信をするユーザーは当然のことながらキャリアにとっては「優良顧客」であるわけで、そうしたユーザーが予約して購入するのだから、もっと優遇されてもいいはずだ。
航空業界にはフルサービスキャリアの上級会員として旅を楽しみたい人もいれば、LCCでできるだけ安く目的地につければいいという人もいる。
上級会員にはマイルがざくざく貯まる仕組みが存在し、結果、顧客満足度が上がり、継続して優良顧客であり続けてくれる。
通信業界も二極化しているにも関わらず、総務省はなぜすべてユーザーに同一のルールを課そうとするのだろうか。
© DWANGO Co., Ltd.