2022年11月に発売されたNothing Ear(stick)は、インナーイヤー型(Nothingは「ハーフインイヤー型」と呼ぶ)のイヤフォンだ。イヤーチップは付いておらず、耳に挿して引っ掛けるタイプだ。密閉性の高いカナル型の装着感を好まない人には、Ear(stick)が適しているだろう。Appleの「AirPods」や「AirPods Pro」を使ったことがある人には、「Ear(1)、Ear(2)がAirPods Proの競合で、Ear(stick)はAirPodsの競合」と言えば、分かりやすいかもしれない。
Ear(stick)の大きな特徴はデザイン。リップスティック、あるいはステックのりのような筒状で、くるりと回すと透明のふたが開き、イヤフォンを取り出せる。イヤフォン、ケースともにEar(2)よりも軽く、3モデルの中では最も持ち歩きに適している印象だ。
Ear(stick)はノイズキャンセリング機能や外部音取り込みモードは備えていない。しかし、自分好みの音質に調整できる「イコライザ」機能は搭載している。
ワイヤレスイヤフォンを選ぶ際に、最も気になるのは音質だろう。同じブランドの場合、高価な製品ほど性能が高く、音質が良い傾向がある。しかし、音質の好みには個人差がある。そこで、「Apple Music」でジャンルの異なる数曲を聴き比べてみて、音の聴こえ方を比べてみた。
Ear(1)は、3モデルの中では最も大きめの音で再生された。低音域がしっかりと響き、ドラムの振動が感じられた。ポップスを聴くと、ボーカルが明瞭に聴こえるものの、ギターやドラムなど楽器音が強く感じられることもあった。オーケストラ楽曲もバランスのよい音質で再生されると感じられた。
Ear(2)は、Ear(1)よりも音量が控えめ。しかし、楽器やボーカルの音が明瞭で、豊かに表現される印象。J-POP、K-POP、ジャズ、クラシックなどを聴き比べたが、それぞれがバランスよく、音に一体感が感じられた。ボリュームを控えめにしても、臨場感が感じられる音質で、ボーカルは3モデルの中で最もライブ感が強く感じられた。
Ear(stick)は、軽やかで透明感のある音質。テンポのよいポップスを再生すると、ややシャカシャカした音になることもあった。クラシック曲では、ピアノやバイオリンの音が伸びやかに感じられた。クリアな音質を好む人には適しているだろうが、楽曲によっては雑味が入ることもあった。
あくまでも筆者個人の聴こえ方ではあるが、最も多くの人に好まれそうなのはEar(2)だろう。カスタマイズ性にも優れているので、より自分の好みの音質にチューニングして楽しむこともできる。音の迫力を重視するならEar(1)もおすすめだが、これから買うのならEar(2)を選ぶのが得策。Ear(stick)は低音域の表現ではEar(2)に劣るが、透明感のあるクリアな音が魅力。インナーイヤー型の軽やかな装着感を好む人は試してみる価値があるだろう。3モデルのスペックの違いもまとめたので、参考にしていただきたい。
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